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崩れ落ちる前に 《詩》

「崩れ落ちる前に」

ガラス細工の夜に願い祈る事

記憶を削り続けた 辿り着くまで

僕等のゴールはきっと
別の場所にある

障害を悪 健常を善とするのなら

善人なんて何処にも存在しない


人の心に何かを

届かせる為の正しい言葉を 

どうしても見つけ出せない僕が居た

其れは何 そう訊かれても

有効な定義など持ち合わせてはいない


顔と名前を持たない僕を

誰でもない誰かが見つめている

僕の書き残した比喩的な言葉の羅列は

比喩的な意味において誰一人として

人を傷つけないし 人を殺さない

そして 誰一人として

救えやしない

繰り返されて離れない君の声

僕等の目の前にある 

其の既存のシステムは

不安定で暴力的な

基礎の上に構築されたものであり

いずれは崩れ落ちる 

其の時を待ち焦がれている


其れは僕等の精神の中に意識的に

プログラムされてると言っても
過言ではない

奪うとか奪われるとか 

傷だらけの不完全な愛情 

其れでも君を


崩れ落ちる前に崩せ 風がそう歌う

見えない糸で僕等は
強く結ばれていると信じている

さあ 走れ

崩れ落ちる前に 此処まで


夢見る者がそうする様に 
僕は星に願いを捧げる

今夜だけ愛して欲しいと 

ちっぽけな夜が泣いている

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