車椅子のロージー 《詩》
「車椅子のロージー」
少しの乱れも無く調和した共同体
そんな夢の中にだけ花は咲く
誰かが誇らしい気にそう言った
無音の雷鳴と目に見えぬ雷光
其れが脳裏に焼き付いている
僕と言う固有のただひとつの人格が
名前を持たぬ混沌
未明の暗闇の中で
かろうじて息をしている
抽象的な命題を空に描き
頭は現実とは別の場所にある
恵まれてるとか 恵まれて無いとか
魅力的な微笑みを浮かべ
君は両切りの煙草に火を付けた
緩やかなスロープを車輪の回転を
両手で制御しながら降る
静かな哀切に満ちた風と
題名の無い日々が過ぎて行く
車椅子のロージー
教えてよ 何が欲しいの
君はアスファルトの隙間に
咲いた花を見つめていた
どんな場所にだって花は咲く
そう君は囁いた
僕は其の言葉を忘れない