追憶の果て 《詩》
「追憶の果て」
細かい雨が降る
雨は僕の目には映らず
人知れず
静かに音も無く地面を濡らしていた
其れは新しい季節の到来を
意味している様に思えた
夢の無い深い眠りが
通り過ぎる足音が聴こえ
何かが僕の中で終わってしまった
そんな感覚を誤魔化し続けていた
もともとピースが
揃って無いパズルは
完成する事は無い
わかっていた結末だった
雨に濡れた街に枯れた花を捧げ
哀しき祈りを添えた
追憶の果て
零れ落ちた薔薇の花弁
其れでも街は
覚醒して行く命の様に生きている
僕は午前0時の鐘の音を聴く
失われたピースを探しながら
届かぬ月に手を伸ばす
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