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税金のことを大まかに知っておこう

今回は「税金」についての基礎知識を共有していきます。


僕たちを取り巻く「経済」と税金は深く関わっています。


ビジネスでもプライベートでも、あらゆる場面で税金に遭遇します。


税金と賢く付き合うことができれば、それは仕事にも人生にも役立つはずです。


なので、自分のためにも、家庭のある方は配偶者やお子さんのためにも、一緒に勉強していきましょう。


今回は梅田泰宏さん著の「『税金』の仕組みとルール」という本を参考にお話していきます。


そもそも「税金」ってなに?

税金とはいわゆる「会費」のようなものです。


つまり同好会とか自治会とか、人が集まって何か団体を作るとき、連絡や会議をするので必ず費用がかかります。


同好会や自治会ではその費用をまかなうために会費を徴収します。


国や地方公共団体が徴収する税金もそれと似たようなものです。


警察・消防・道路・水道あるいは福祉・教育など、国や地方公共団体が行っている公共サービスには多額の費用がかかっているはずですからね。


僕たちは、それらのサービスを利用する都度費用を支払うわけではないので、まとめて会費のようなものとして、税金を納めていると考えることができます。


ただし、サービスの対価として直接支払う仕組みではないため、不公平感や疑問を感じることがあるかもしれません。


時々一部の会員、例えば大企業だけが優遇されていると言う議論が起きたりするのも、会費のような税金の仕組みに原因があるといえます。


そもそも、なぜ税金を納めないといけない?

それは、税金が国民の義務だからです。


憲法第30条には「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と定められています。


ですから僕たちは、会費のようなシステムに納得してもしなくても、たとえ不公平感や疑問を感じたとしても、税金を納めなくてはいけません。


日本で生活していく以上、税金と無関係ではいられないのですから、社会人として基本的な知識はしっかり押さえておくべきですね。



私たちは何のために税金を納めている?

税金には大きく分けて4つの役割があります。

1. 僕たちが納めた税金は、主に公共サービスの費用として使われます。この「公共サービスの資金調達」というのが、税金の第一の役割です。

2. 税金を使って格差を是正する仕組みがあります。税金をかけたり徴収する制度のことを「税制」と呼びますが、現在の日本の税制では、収入や遺産の多い人ほど、より高い割合の所得税や相続税を課せられることになっています(累進課税)。そして、その割高の分の税金は社会保障制度などを通して、所得や財産の少ない人にも分配されるんです。つまり税金が、収入や遺産の多いところから、少ないところに分配される仕組みになっています。これを「所得の再分配」と言って、税金の第二の役割とされています。

3. 税金は、「景気の調整」の役割も持っています。というのも、特に所得税は、好況のときには、課税額が増えると税率が上がるので景気を抑制する方向に働き、反対に、不況時には、税率が下がるので景気を刺激する方向に働くことがあります。言ってしまえば、景気の自動調整装置のような役割も果たしているわけです。

4. 他にも、税金が政府の「政策の手段」として使われることがあります。例えば、証券投資を盛んにしたいと考えたら、株の売却益や配当に対する税金を優遇する制度を作ったりするんです。



日本で暮らす、どんな税金がかかる?

税金にもたくさんの種類がありますが、「何に対して課税されているのか」を考えてみると、無限に思える税金もいくつかの種類に分類することができます。


まず、第一のグループは所得税や法人税のように、個人の収入や会社の利益等に課税される税金です。


課税の対象になる収入などを「所得」と呼ぶので、このグループを「所得課税」と言います。


実は住民税等も、所得の額が課税の基本なので所得課税のグループです。


次に、相続税や固定資産税等、資産を手に入れたり持ったりすると課税される「資産課税」のグループです。


さらに「消費課税」


消費にかかる税金と言うと、消費税がまず思い浮かびます。


他には酒税や、たばこ税、ガソリンにかかる揮発油税と言うものもあります。


このほかに、「流通課税」と言う分類をする場合もあり、印紙税、登録免許税といった税金を含めます。


ただし、資産課税や消費課税との境目はあまりはっきりしていないそうです。


このように、日本では「所得」「資産」「消費」「流通」を対象に税金が定められており、それぞれについて納税することを求められます。


またそれぞれの税金には、どこが課税して、どこの収入になるのかと言う違いもあります。


課税権が国にある税金が「国税」、地方公共団体にある税金が「地方税」です。



税金は、どこからどれだけ集められている?

国の税金による収入(税収)の額が特に多いのは、所得税、法人税、それに消費税です。


特に消費税は、すべての税金の中で最大の額です。


理由は言うまでもなく、令和元年10月から実施された消費税率引き上げ。


実は平成30一年に最大の額を集めていたのはちょっと所得税でしたが、それを消費税が追い抜いたんです。


2%の税率アップにより消費税収の予算は約2.4兆円も増えたそうです。


個人の納める所得税と合わせると、歳入総額の約40%になることを考えれば、僕たち消費者である個人個人が日本の国の財政を支えていることがよくわかります。



日本の税金は安い?

僕たちにとっては「税金が高い」というのが正直な実感ですが、諸外国と比べたデータ上では必ずしもそうとは言えません。


ただ、単純な税率の比較は実はあまり意味がないそうです。


というのも、税金が高くても、例えば医療費や、子供の教育にかかる費用等が安ければ、結果的に家計の支出は少なくて済むからです。


なので、税負担が重いか軽いかは、納める税金と受ける行政サービスのバランスで判断しなければなりません。


要は納めた税金が国民のために有効に使われていると、僕たちが実感できるかどうかなんです。



税金の額や種類はどうやって決めているのか?

先ほども言ったように、税金は会費のようなものなので、ビジネス上の取引のように市場原理で価格が決まる事はありません。


そこで、国等の都合で勝手に増やしたり減らしたりされないよう、「法律の定めるところにより」課税することになっています。


これを租税法律主義と言います。


国は「所得税法」や「法人税法」など、すべての税金について法律を作り、地方公共団体も「地方税法」によって課税しているわけです。


このような税金について定めた法律を総称して「税法」と呼ばれています。



ニュースでよく聞く「税制改正」ってなに?

税法は、その年の予算に合わせて毎年、改正されています。


通常、この年度改正のことを「税制改正」と言い、「令和○年度税制改正」と言う呼び方をします。


税制改正は例年、前の年の12月ごろからニュースになり始めますが、実はそれよりもずっと早く動き始まっているそうです。


一つの動きは「税制調査会(政府税調)」で、総理大臣の諮問を受けて税制改正についての審議を始めます。


一方で各省庁も4月から翌年度の税制改正の準備を始めます。


何故かと言うとよく年度の予算の要求、「概算要求」の締め切りが通常は8月にあり、その要求のためには財源である税金の要求、「税制改正要望」を象徴ごとに提出しなければならないからです。


さらに秋からは「自民党税制調査会」も議論を開始し「与党税制改正大綱」をまとめます。


これらの意見や要望を受けて、12月ごろに内閣が「税制改正大綱」を閣議決定します。


これがいわば税制改正案です。


税制改正大綱の内容は、年が明けると税制改正法案として国会に上程され、審議の上、3月に可決成立すると4月から施行というのが大体のスケジュールになります。


このような中で大きな位置を占めてきたのが、実は「自民党税制調査会」。


自民党税調は党の政務調査会の一つですが、税制改正の方向性を議論するだけでなく、各省庁や地方公共団体、さらには業界団体などとも調整して具体的な改正案を検討しています。


そして連立を組む公明党とも調整の上、12月の早い時期に「与党税制改正大綱」を取りまとめます。


内閣はそれをもとに、「税制改正大綱」を決定しているというわけです。


もっとも、これらのプロセスでも内実はちょくちょく変化します。


例えば、自民党税調はかつて、税制に精通した「インナー」と呼ばれる大物の国会議員を中心に構成され、首相でさえ口を出せない「聖域」とされていたそうです。


でも近年は阿部長期政権のもとで首相官邸の影響力が強まり、税制改正大綱にも官邸の意向が強く反映されていると言われている。


決定のプロセスは同じでも、内実は常に変化しているんですね。


このような変化を引き起こしているのは、何回かの選挙で安倍長期政権を可能にしてきた国民の投票行動に他なりません。


ですから、税制改正の内容を誰が決めているかと言えば、税調でも政府でも国会でもなく、結局は国民の一票一票が決めているといえます。


(都知事選の投票率低かったですね。残念。)


税金は、どこにどうやって納めるのか?

税金の納め方には2つの方法があります。


1つは、所得税や法人税などのように、直接、私たちが手続きをして収める「直接税」です。


もう一つは、物などを買った時に、実はその値段の中に税金が含まれていて、間接的に収めたことになる「間接税」です。


収める額についても、税金の種類によって自分で計算するものと、税務当局が計算してくれるものがあります。


所得税・法人税・消費税等は、自分で計算して申告するやり方です(申告納税)


これに対して、固定資産税や自動車税等は、自分で何もしなくても納税通知書が送られてきます。税務当局が計算して割り当ててくれるんです(賦課課税)


申告納税にしても賦課課税にしても、実際には「銀行や郵便局などの金融機関」に収めるというのが正解です。


税務署が直接、納税を受け付けるわけではないんですね。


税務署は申告の受付や納税通知書の作成といった事務を行っています。


現在、全国に524の税務署があって、管轄する地域の税金を割り当てる業務(賦課)と、取り立てる業務(徴収)にあたっています。


また、税務署の上には全国11局の国税局と沖縄国税事務所、さらに国税庁があり、税務署に対する指揮監督を行っています。


税務署とは別に、各都道府県に「都道府県税事務所」、市区町村には「税務課」があって、地方税の事務を行っているのはこちらです。


ですから、一口に税金の申告といっても、法人税は税務署、豆腐県民税は税事務所、市町村民税は税務課と、窓口が変わります。


最近はインターネットを利用して国税の申告などをする「e-Tax」、地方税の窓口になる「eLTAX」の利用も一般的になりました。


インターネット上で、クレジットカードを使って国税を納付できる制度もあります。



税金を納められなかったら、どうなる?

一旦課税された税金を、納めなくて良いことにしてくれると言う制度はありません。


納付を待ってくれる制度はありますが、これも特別な事情がある場合だけです。


災害などで大きな損害を受けた場合や、納税者や家族などが病気にかかった場合など、特殊な事情で税金の納付が困難な場合に、税務署長の許可で「納税猶予」を受けて、1年以内の期間の分割納税が認められるんです。


また、相続税では、原則5年以内に分割して収める「延納」、モノで収める「物納」の制度がありますが、他の税金では認められていません。


そこで、期限までに感応できないと、50日以内に督促状が届き、さらに10日経過すると、採算の差し押さえ等の滞納処分の手続きが行われることになります。


また、法人税や所得税は申告納税ですが、申告納税制度をきちんと機能させるための調査が行われていて、脱税などは厳しくチェックされます。


不正行為で税金を逃れようとすると、法人税法違反、所得税法違反、相続税法違反等で処罰されることになります。


その罰則規定は意外に厳しくて、10年以下の懲役もしくは10,000,000円以下の罰金です。


さらに、例えば所得隠しの場合、ペナルティーの意味で35%または40%と高率の「重加算税」がかかります。


さらに、損害遅延金にあたる「延滞税」が原則として綿7.3%または14.6%。


その上に本来の税金も納めなければならないのです。


いわゆる申告漏れで修正申告をしたり、税務署から正しい納税額を通知される「更生」の処分を受けた場合も、原則10%の「過少申告加算税」がかかります。


もし、期限内に申告をしないで、納税額を通知される「決定」の処分を受ければ、原則15%または20%の「無申告加算税」です。


これらの期限後申告等が5年以内に繰り返された場合は、無申告加算税、重加算税がさらに10%加算されます。


ただし期限内に申告漏れ等に気がついた場合は、提出後でも訂正がで切るみたいです。



税金を納めすぎたらどうなるのか?

申告漏れでなく、逆に多く申告してしまった時は、一定の手続きをすれば税金を戻してもらえます。


申告期限から原則5年以内に、「更生の請求」手続きを行えばいいみたいです。


環付金額を少なく申告した場合も、更生の請求により正しい環付金額にしてもらえます。


特に、給与所得者の医療費控除や雑損控除等については、確定申告をすれば5年前までさかのぼって環付を受けられるので覚えておきましょうね。


今回はここまで。


次回はもう少し「所得」に関する部分を掘り下げたいなと思います。


読んでいただきありがとうございました。

Seiji



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