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お試し怪談①「煙草」


ご挨拶

弊サークル「青碧せいへきつどい」は、2023年11月11日の「文学フリマ東京37」に初参加します。

記念すべき第一号は、「怪談」がテーマです。
しかも、創作怪談集ではなく"実録"怪談集となっております。
つまり、我々サークルメンバーが直接体験した、あるいは知人友人が体験したものを聞いて集めた「怖い話」「不思議な話」を掲載します。

※上記のwebカタログから、「☆気になる!」をチェックしていただけると嬉しいです。
初参戦ですから、広く皆さんに知っていただきたく思います。
どうぞSNSにてご共有していただいたり、ご友人にご紹介いただきたく思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

理念について

「それぞれ各々の奇妙な体験」の一次性を保つため、書き手として脚色を極力くわえないでありますから、構成が巧いとは言えないお話もございますが、その荒削りな印象も、リアリティとしてお楽しみいただければ幸いです。
勿論「語り」として洗練されたものも中には含まれています。それは語り手や書き手の技量のみならず、そのお話が何度も人と人との間でやり取りされるうちに研磨されてきた、下流の丸石のようなものです。角の取れ方は、そのままそのお話の履歴書とお考え下さい。

一次性という観点から、基本的に本文中で書き手が聞き書きに対して考察をくわえることはありませんが、書き手がすなわち体験者の場合、その限りではございません。体験者の考えるところは、そのお話の重要な構成要素と言えるからです。


本題

さて、前置きが長くなりましたが、本題となります。今回の(一連の)記事では、『青碧集 第一号 怪談』掲載話の中から、皆様に本書の雰囲気を想像していただくため、三つほど「お試し怪談」をご紹介させていただきます。

第一話は、「煙草」です。掲載話の中では、比較的短いお話になります。

お試し怪談①「煙草」(SH-0012)

 筆者の母方の祖父母の話。
 祖父母が若い頃、祖父の運転で出かけた帰り道、祖母はどうも帰途にかかっている時間が長すぎるように思った。そこで、今自分たちはどこを走っているのか、車外に注意を向けてみたものの、特に渋滞しているというわけでもない。暫くそのまま気にしていると、どうもさっき見たような景色が流れてきた。
「お父さん、なんか同じところを回ってない?」と夫に聞いても、彼は「あぁ、あぁ……」と上の空の返事しか寄越さなかった。道が分からなくなっているようで、どうにもただごとではない雰囲気を感じ取った祖母は、そこで煙草を取り出して火を点け、その煙をくゆらせた。
 車内が煙で充満したころ、いつの間にか車は何度も繰り返し見ていた景色から抜け出し、順調に帰途を辿って自宅に戻った。
 祖母曰く、祖父あるいは車自体が悪いものに取り憑かれているようで、そういうものは煙を嫌がるからそうした、ということだった。

(戯鳥)

これは、この記事を書いているサークル代表・戯鳥の祖母の体験談です。「狐につままれたような」とは言いますが、運転中には是非やめて欲しいものです。事故が起きなくて良かった。

このような形式で、他の二話も掲載いたします。

文学フリマ東京37にお越しの方は、是非弊サークルへお越しください! 実際の本を手に取って見てみてください。ご覧いただくだけでも構いません。フリーペーパーもご用意しています。


青碧の集い 代表 戯鳥


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