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風待ち日記

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水無月のほとりで風を待つ、いつかその日が来るまで
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#思い出

散りばめられた星を縫うように

散りばめられた星を縫うように

「思い出されるためには忘れられなければならない、それがいやだ」というような言葉をどこかで見かけたけれど、あれを見たのはどこだったろう。

そういうことこそノートに書き留めておけばいいのに、うっかり記録し忘れている。私の中にはその言葉のかたちだけが、ひっそりと残っている。

その言葉を目にしたとき、私はたしかにそのとおりだと思った。

私たちは普段起きる出来事すべては覚えていられないようにできている

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ゆらゆらり

ゆらゆらり

今年はよく熱を出した1年だった。

2月には家族全員でコロナにかかり、11月にはよく分からない風邪に負けて熱が出た。

そしていま、私はまた熱が出ている。

妹の机からこっそり失敬した「ねじの回転」を問題なく読めるくらいには元気なのだ。

午後からの授業も出るつもりだった。今日から授業で扱う小説が小川洋子の「余白の愛」にうつるのだし、私はこの小説をとても好きだと思ったから、授業も楽しみにしていたの

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