seigo

スピリチュアルと芸術と自然が好きです。物語と詩集を主に書いています。宮沢賢治が好きで研…

seigo

スピリチュアルと芸術と自然が好きです。物語と詩集を主に書いています。宮沢賢治が好きで研究してゆきたいと思っています。作品が気に入ったらサポートしてもらえるとすごく嬉しいです。

マガジン

  • インディゴチャイルド

    インディゴチャイルドシリーズ。傷ついた少年は旅に出る。その先で様々な出会い、様々な経験をして成長してゆく。

  • メモリアルフィフティーン

    小説メモリアルフィフティーン集。高校の屋上で不登校の少年と少女が出会う。彼らにとってお互いが初めて出来た友達だった。

  • 詩集

    自分が書いた詩をまとめています。よかったら読んでください!

  • 僕らの旅路

    僕らの旅路という小説集。ある夜散歩していた僕は公園で一人の家出少女と出会う。そして僕はその少女と一緒に暮らすようになった。

  • 森の住人

    小説森の住人集。童心を思い出して、キャンプ場を訪れた僕は不思議な女性と出会った。

最近の記事

陰の青春6

家に着くと、母さんは綺麗にしているわねと僕を褒めて紅茶を飲んでいた。僕もそれに付き合っていた。 「そういや、学校の養護の先生が話あるって言ってたよ。帰ったら教えてくれって」 「へえ、そう。あなた相変わらず保健室に行ってるのね・・・」 「別にいいだろ?」 「まあ、無理に教室に行けとは言わないけどね。先生には連絡しとくわ」 伝える事も伝えたので、僕は部屋に籠もって音楽を聴いていた。明るくなったか。何が僕をそうさせたのかな。 翌朝、目が覚めると、母さんが料理を作っていた。こんな光景

    • 陰の青春5

      その週の土曜日、僕は朝から電車に乗って、病院へと向かった。さて、あいつはどうしてるかな? 「こんにちわ」 「あ、陽」 何だか凛花はしょげているようだった。 「どうかしたのか?」 「別に。何だか生きるのに疲れちゃって」 「病院で何かあったの?」 「伯父さんと伯母さんが喧嘩してたの。どっちがあの子の面倒を見るのかって」 「へえ」 以前は凛花のことを脳天気で明るい女の子だと思っていたのに、予想以上に彼女の人生も色々あるらしい。 「私なんかいなくなっちゃってもいいのかなって思ってさ」

      • 陰の青春4

        結局、あれから缶ジュースを飲みながら、子供達がはしゃぐ声を聞きながら、公園で本を読んでいたのだが、寒くなってきたので、帰ることにした。久しぶりに公園で過ごして、少しは気分も落ち着いたようだ。そう、何か僕にもやれることがあったらいい。僕に出来ることって何だろうな。ネットで何か発信してみるというのはどうだろうか。そういうのは詳しくないから、今度凛花に相談してみようか。 凛花の言葉を思い出して、もしかしたら大学に行くかもしれないと、一応そのための勉強を暇つぶしがてらすることにした。

        • 陰の青春3

          眠れない。あれから、買ってきた三冊の内、漱石の人生と作品について書いた本を読んでいたのだが、そろそろ寝るかと思って、本を閉じて、布団に入ったはいいけど、いつもと同じ時間になっても全然眠れない。仕方ない、一端起きるか。スマホを見ると、午前一時近い。やることがないな。こんな時間に外にも出たくないし、何となく凛花にメールを送ってみた。 「まだ起きているか?」と。 スマホを側に置きつつ、寝っ転がって目を閉じていた。たまにこういう日はある。一度精神科とか行った方がいいかもな。不眠の治療

        陰の青春6

        マガジン

        • インディゴチャイルド
          0本
        • メモリアルフィフティーン
          0本
        • 詩集
          20本
        • 僕らの旅路
          16本
        • 森の住人
          4本
        • スピリチュアリティワールド
          3本

        記事

          陰の青春2

          眠い。今何時だ?っていうかここどこだっけ?スマホを見ると、既に夕方の6時だった。ヤバ。普段ならとっくに帰ってる時間じゃないか。どうやら保健室で予想以上に眠ってしまったらしい。先生もどこかに行ってしまったようだった。 「・・・ん?」 隣のベッドには凛花がいた。 「あれ?ここどこ?」 「あ、あなたたち起きたのね。ちょっと会議が長引いちゃったものだから。今日はもう遅いし、二人とも帰りなさいね」 「・・・」 凛花は低血圧らしくて、まだぼーっとしていた。僕は黙って、さっさと帰り支度を整

          陰の青春2

          陰の青春

          スマホを見ると、正午を過ぎていた。眠い。昨日の予定では今日は午後からは学校に行こうかなと思っていたけど、今日はもういいか。まだ眠気の残る体を起こして、窓を開けて外の空気を部屋の中に入れる。台所でお湯を沸かして白湯を飲むと少し目が覚めた気がした。スマホでメールをチェックする。凛花からメールが着ていた。 「今日も寝坊?沢田先生がため息ついてたよ?高砂のやつはやれば出来るのになーって」 やれやれ。相変わらずお節介だな。取りあえず部屋にいたくない気分だったので、起きて早々外出すること

          陰の青春

          空の詩

          透かしてみる葉  空の向こう側へと見詰める視線 ただ一人だけを祈ることせず 全人類の幸福をたまに祈った 僕は眠る   光に包まれたベンチの上で 地上にいても 空の上にいても 僕が僕でいられればそれでいい そう思った 夜は僕を孤独にさせる  僕はどこへいくのだろう 闇の中をただ一人進む  そんな幻想が晴れれた時 あの子の笑顔を思い出した 深い深い心の奥で  彼女の歌う声が聴こえた ああ、会いたい  僕は一人じゃない それを思い出した 

          空の詩

          桜舞い散る今日この頃2

          橋を渡り、向かい側へと歩いて行くと、だんだん音が大きく聴こえてくる。ギターもリズミカルでいい感じだが、何より彼女の歌声が素晴らしいと僕は思った。まるでプロの歌手のようだ。隣のベンチまで行って、とりあえず腰掛けて聴いてみることにした。彼女は僕に気がつき、チラリとこちら見たが、気にせず歌い続けていた。無料で演奏が聴けるって素晴らしいな、などと思いながら、彼女の美声に耳を傾けていた。一見誰も聴いていないように見えるが、歩いている人の中にも、彼女の歌の良さが分かる人がきっと居るだろう

          桜舞い散る今日この頃2

          桜が舞い散る今日この頃

          ひらりと桜の花びらが窓から舞い込んできた。どこから来たのだろうと不思議に思った。近所には桜が咲いているところなんてないのに。寝転がっていた床からむくりと起き上がり、水を飲んだ。今日は何日だっけな?そうだ、今日から四月だった。寝てばかりいたので、時間感覚が狂っているが、暖かい春の陽に誘われて鴨川に散歩にでも行こうかという気分になった。いつまでも落ち込んでいても仕方ない。 いつもの自販機でカルピスを買って歩きながら飲む。やはりゴロゴロとばかりしていたので、体がなまっているのを感じ

          桜が舞い散る今日この頃

          時の中で

          時の中で 僕は漂うように歩く 世界は何を望んでいるの 僕は何を求めているの 光溢れる時の中で 僕は君しか見えなかった そして僕らは大人になる 願いよりずっと先で 僕を待っている君がいる 僕が君と会えるのは夢の中だけだった それでもいいと僕は思う   眠ろう 僕は幻想でもいいから君と会いたかった 君がいるということがどうか幻ではありませんように

          時の中で

          僕らの旅路18

          僕と綾って端から見たら何に見えるんだろう?やっぱり兄妹かな? 出発してから何時間か運転して疲れてきたので、少しパーキングエリアで休憩していた。綾はトイレに行っている。 売店で買ったサンドイッチを頬張りながら、スマホで現在地を調べる。マップで改めて見てみると、随分と遠くへ来たもんだ。出発したあの街から2時間か3時間程は走っていた。目的地まで後一時間という所だ。 「なんか眠い」 戻ってきた綾が目をこすりながらそう言った。 「昨日あまり寝れなかったの?」 「まあ、ちょっ

          僕らの旅路18

          森の住人3

          鹿が川の水を飲んでいる場面に遭遇した。今日はキャンプ場から森へ入って真っ直ぐ進んだ先にある、小川に行ってみることにした。いつもは反対側の人工的に手入れされた庭の方に行くことが多いのだが、今日は野生を感じてみたかったから。そこで計らずも、鹿と対面できるとは僥倖だった。 僕は鹿を驚かさないよう細心の注意を払いながら、鹿が水を飲む様子を観察していた。しばらく眺めていたが退屈になり、もうちょっと近づいてみるかと、足を踏み進めてみた。やはり、靴が落ち葉を踏む、多少の音がしてしまう。そ

          森の住人3

          僕らの旅路17

          「空、朝だよ」 気づくと、どうやら、綾が起こしてくれたようだった。シャっと綾がカーテンを開けてくれたので、僕は伸びをして朝陽を浴びる。 「朝ごはん出来てるよ」 「うん。ありがとう」 綾は13になってますますしっかりしてきたようだ。今日から旅に出ることにしたんだった。顔を洗って考える。どこに行こうかなと。 綾が作ってくれた今日の朝食はスクランブルエッグとトマトのサラダとトーストだった。むしゃむしゃと食べながら、綾を見つめる。 「綾はどっか行きたいところある?」 「

          僕らの旅路17

          僕らの旅路16

          綾と二人で図書館で本を読んでいた。気候が涼しくなってきて、よく晴れた日だった。こんな日はいい。実にのんびりとした気分になれるし、読書も捗る。今日は愛衣先生も来ないし、二人でどこかで食事して帰ろうということになっていた。僕は賢治の研究書を読んでいた。賢治と友人の保坂について書かれた本。賢治には友人がいた。賢治は保坂にも法華経を信仰しようと手紙で誘うが、結局二人は決裂してしまう。どこまでも二人で一緒には行けなかった。僕と綾はどうだろうか?僕らが別れてしまうことも、この残酷な世界で

          僕らの旅路16

          ある文学少年が徒然と思ったこと3

          奈美恵ちゃんからメールが届いた。無事一人暮らしを開始することが出来たとあった。よかったと思った。僕と似たような女の子だ。願わくば幸福であって欲しい。 最近以前にも増して本を読んでいた。大抵は開店と同時に本屋を訪れて、ひとしきり色んな本を漁った後、何冊か買って帰って、寝るまで読んで過ごすというパターンが多かった。文学は明治から現代まで大体有名どころを読み尽くした。今は仏教に関する本を主に読んでいる。 奈美恵ちゃんは僕に触発されたのか最近では小説を書くようになっていた。何度か

          ある文学少年が徒然と思ったこと3

          ある文学少年が徒然と思ったこと2

          今の僕は一応学校に籍が残っている。そして学校は家の近くにあった。だから、そっちの方に足を向けないことに注意しながら、僕は家の周りをぐるっと歩いていた。 公園でココアを飲みながら目の前ではしゃぎ回る子供達をぼんやりと眺めてていた。 「あれ?葉さん?」 背後から声が聞こえたので振り向くと、Tシャツに短パン姿の奈美恵が、びっくりしたという風に口に手を当てていた。 「・・・奈美恵ちゃん?どうしてここに?」 白い小型犬を連れている。 「私は犬の散歩を。大体いつもこの公園を通

          ある文学少年が徒然と思ったこと2