翼

心に深く傷を受け落ちてゆく私が見える。

その落ちてゆく私とひとつになる。

今度こそ救い出す。

かつて、自由を奪われ支配を受け入れる事でしか生きられないときもあった。

歪んだ愛の支配する砦の中で生きるのは、吐き気のする生ぬるい軟禁であった。

悪戯に翼を与えられたかと思えば、足掻いた先でもぎ取られる。叩き落ちる。

片足に付けられた足枷。

ドアに手が届きそうになった頃、丁度よく張り詰め自身の体が曲がる。やがて地面に叩き付けられる。

何度、生きるのを【諦めろ】と言われただろう。

何度、生きる【価値が無い】と言われただろう。

もう一人の私は、私を守るために、これらと眠りについた。

もう一人の私は、私を生かすために何処までも落ちていった。

私が生きていけるように記憶を消した。

ああ…すまない。

だから迎えに来たよ。遅くなったね。

記憶を取り戻したんだ。

獣の咆哮を上げ怒る私が、落ちた先にいる。

迎えに来たよ。

もう、大丈夫だ。恐れなくていい。

私は、随分強くなったんだよ。

私は、それらを含む獣を受け容れる。

もう一人の私。獣を抱きしめていてくれてありがとう。

お帰りなさい。私の心の中庭に。

あたたかさを味わって。

今度は。私があなたを抱きしめて生きる。

あなたに触れる。

本物の翼が生える。

私は、羽ばたき、あなたと共に生きる。

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自己との向き合い、PTSD、フラッシュバック。大分前に経験した自己を受け容れる感覚を書き出しました。

もし、傷を負い、出口の見えない苦しみの中に身を置く人が居るなら。諦めないでと伝えたい。生き抜くことにも自分と向き合うことにも意味があると伝えたい。出口は、必ずある。なければ、ぶち破って新しい道をつくるまで。

どんなに口に出すのもおぞましい体験をしても。それに従うしかなかったとしても。汚れたと醜さに打ち震える日があったとしても。

自分が自分を見捨てない限り、灯火は消えないよ。必ず、光は射すからね。だからさ、一緒に歩いてみようよ。

生きることを、命をやめないで。

苦しみの中にいるあなたに捧ぐ。

　　　　　　　　　　　　　　　青紗蘭

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kesun4さんの素敵企画に参加させて頂きました。kesun4さーん、ありがとう😸🍒✨