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【ポピースパイス】ケシ

 未熟のさく果を切ると乳液がにじみ出ますが、これを乾燥した粉末が阿片です。阿片からはモルヒネやコデインなど鎮痛や麻酔効果のある薬が得られますが中毒性があり、現在は各国とも一般の栽培を禁止しています。しかしポピーはかなり昔からこの阿片と種を得るために栽培されていました。紀元前1400年頃建てられたクレタ島のポピーの女神像はさく果を切る姿をしています。またローマ時代には煎ったホワイトポピーの種と蜂蜜を混ぜたデザートが上流階級ではやりました。種には催眠成分が含まれないので、スパイスとして今も利用されています。
 マホメットの時代(572〜632年)には、阿片の存在はアラビアやアジアでも知られていて、コレラやマラリア、赤痢などの治療用の他に、インドや中国では麻薬としても広まりました。合法、非合法を問わず、阿片をめぐって動いたお金は、想像を超えるものでした。
 西洋や中近東の料理では、種をパンやケーキにふりかけたり、蜂蜜や砂糖と一緒に砕いてペストリーの中身に入れたりします。日本でもアンパンの表面には「ケシの実」がついています。トルコではハルバなどのデザートに使います。インドでは他のスパイスと一緒に砕いてペースト状にし、肉や魚料理のソースにとろみをつけるのに使います。麺類やライスのソース、野菜料理のあしらいなどに利用することもできます。風味を引き立てるためには香ばしく煎ってから使ったほうがいいでしょう。
 種からは油もとれます。種を冷却圧縮してとれた最初の油は無臭で、アーモンドのような軽い味があり、質のいいサラダ油になります。次に加熱圧搾してとれる油は石鹸や軟膏用に使われ、漂白して絵の具の材料にもされています。

#スパイス図鑑  49ページより

花言葉は、「心の平穏」「いたわり」「思いやり」「恋の予感」「別れの悲しみ」「慰め」「休息」です。


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