『書く習慣』を読んだら、私はカフェで刺身になった
いしかわゆきさん著『書く習慣』を購入したのは9月だった。サンプルが気に入ってすぐにAmazonでポチり、冒頭の「あなたの書けないはどこから?お悩み診断チャート」をやりつつ最初の方に目を通し、めちゃくちゃ読みやすいしわかりやすい!と感動したところで、
つい、いつものクセで大事に本棚にしまい込んだ。
几帳面で努力家な人が聞いたら発狂すると思うんですけど、私はよく積み本をしてしまう。つまり、気になって買うんだけど、読まないまま本をコレクションしちゃう。
いやいや偉そうに語ってんじゃないよ自分(笑)
違いますねん、誓って読む気はありますねん。
いつも読もう読もうと思っているんだけど、勉強したり仕事したり家事したりYoutube見たりうさぎと遊んだりゲームでハンバーガー作ってたりしてたら、読まないまま、そっとしまわれていく本がある。もはやこれは癖、性癖なのである。ゆるしてほしい。
でも『書く習慣』を読了する気は満々にあり、実家の京都にも連れて行ったし、11月に友人と行った北海道も一緒に旅した。この本の総移動距離は最近買ったものの中でもダントツに長い。何度も言うけど、読む気はあった。
そして今日、外で作業するためにカバンに入れようとしたノートPCの充電を忘れていたことに気づいた時、この本のことを思い出した。
「いつ読むの? 今 日 で し ょ ? !」
そんなわけで私は、PCの代わりにこの本を入れて、今日はインプットする日だと心に決め、家を出たのであった……。
はぁ。ここまで600字も書いてしまった。前振りが長くなったんですが、その本というのがこちら。
早い話が、書く習慣をいかに身につけるかというノウハウ本なんですが、
著者のいしかわゆきさんがこれまで培われてきた「たのしく書く」ためのコツがギッシリ……いや、ミッシリギッチリ……詰まっていた。
なのに、冒頭にも書いた通りとても読みやすい。カフェにいた数時間の間にサラッと読めてしまった……! 積み本してる場合じゃなかった。
一冊読む頃には、私が普段感じている、「書くハードル」を、「これでもか! ンこれでもかッッ!!!」というくらいに限りなく下げてもらった。
おまけに泣かされた。カフェで食べていたキッシュプレートは、最後の方、味がしなかった。
◆◇◆◇◆
「意味がない」文章に意味づけするのはあなたじゃない
どんなに「ヘタクソ」でも結局は書いたもん勝ち
私はうまい文を書かねば……と思い続けた結果、辛すぎて執筆活動を一時やめた経験のある人間なので、まずこのふたつの言葉がグサーっと刺さった。
ぐるぐると頭の中で文章をこねくり回していると、「あれ? これおもしろいか?」「もしかして誰にも理解してもらえないのでは?」とか後ろ向きなもう一人の自分が囁き始めることってよくある。
で、その結果、書かない、書けない、未完のまま投稿せず100億年……みたいな文章が下書きに溜まっていく。
かわいそうに。眠れる文章よ、安らかなれ……。
でもそうなんだよなぁ、作品に意味づけするのはあくまでも読者。まずはとにかく最後まで書いて、公開ボタンを押す勇気を持つことが大切なんだと思う。
どれくらい読まれるか、どれくらいイイネを集められるかって目先の評価に拘るんじゃなくて、いかに「今」「自分が」納得できる文章が書けるか、これが重要なんだよな。
うまいか下手かじゃなくて、書くか書かないか、書いて公開するかしないか、話はそれからだ。
正直、その文章をいいと思ってくれる人が現れるかどうかはわからない。もしかしたら見向きもされないかもしれない。でも、書き終わらなければ、そしてそれで満足せず、書き続けなければ、それが誰かに届く可能性って0%のままじゃないか。
だから絶対にやめてはいけない。継続しなければならない。一度書くのをやめた自分への戒めとして、強く思う。
ほかにも、
いい感じにまとめようとしない
とか、
「誰でも書けそう」な文章に足りないのは「書き手の本音」
とか、
過去の自分に向けて書くと、「未来の誰か」が救われる
とか、
ページをめくるたびに心をぐさぐさと刺され削ぎ落とされて、読み終わるころにはすっかりハートがお刺身みたいになってしまった。
ここ数年で文章を書く中で感じた、嬉しかったことや悲しかったことが走馬灯のように脳裏を巡り、良いことも悪いことも全部まとめて昇華されたような気がして胸を打たれた。
そして、極め付けは最後のページに、
「この本をいいと思ってくれたあなた。
あなたに向けて書きました。
たくさんの本がある中で出会ってくれてありがとう」
って書かれているのを見た時、全米ならぬ全私が泣いた。
どのステージに立っても書き手が思うことは同じなのかもとか、
こちらこそ、書いてくださってありがとうございますとか、
カフェの片隅の隙間風が吹き込むちょっと寒い席で、その言葉確かに受け取りましたとか、
いろんなことを、思って。
◆◇◆◇◆
ゆきさんによると、
「文章は未来への手紙で、今この瞬間を振り返るための人生の軌跡になる」
のだそうだ。
文章は自分自身へのエール。
私も未来の自分に、「この時頑張ってたなぁ。えらい!」「もっとがんばろう!」って思わせてやりたい。
そしてしかるべき時に、「この時のこの行動が、今日の奇跡を生み出したんだね」なんて振り返れたら最高じゃないか。
そのために今はとにかく楽しく言葉を紡ぐ。
前を向いて、鉛筆握る。
未来の自分と酒でも酌み交わしながら語り合うために。
今日こしらえたハートの刺身を、生姜醤油つけてつまみながらね。
こんなところまで見てくださってありがとうございます! もしサポートをいただけましたら、わが家のうさぎにおいしい牧草を買います!