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椎名幸夢
2022年11月2日 13:08
煙草の煙を深く吸い込み、吐き出す。白い煙はもくもくと新潟の寒空に登っていく。 俺はその様子をぼうっと眺めていた。――いや、何も考えない様にしていたと言った方が正しいか。「長時間運転お疲れ様。スイセン」コンビニの入り口から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。俺は笑って見せる。「なぁに、これから歌うナナカさんに比べれば、楽勝っすよ」 ナナカ、伊勢七叶は凍った様に表情を変えず、俺の隣に立つ。俺はコー