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機動戦士ガンダムが想像以上におもしろい

「ガンダム」という単語はこれまで何度も耳にしてきた。ザクと呼ばれる緑色のメカのことも、「2度もぶったね、父さんにもぶたれたことないのに!」(※)というセリフも知っている。
けど、実際にアニメ本編は見たことはなく、ガンダムはただおじさんたちが好きな古いアニメという認識しかなかった。

そんな折、Amazonプライムを眺めていると、ガンダムが配信されていることを知った。ガンダムは絶対見た方がいいと絶賛している人もいて、そんないいのかなぁと何の気なしに見てみた。結論から言うと、とても面白かった。気がついたら全43話を見てしまっていた……。

ということで、今回はアニメ『機動戦士ガンダム』をまだ見たことがない人に向けて、大まかな紹介をしてみようと思う。

(素人の解説なので間違ってるところがあるかもしれません)。


ガンダムの概要

ファーストガンダムと言われるガンダムシリーズ1作目『機動戦士ガンダム』は、今から43年前の1979年に放映が始まった。監督は富野 由悠季(当時は富野喜幸)。

アニメの舞台は未来世紀0079年と言われる近未来。地球では環境破壊と人口増加がとまらず、連邦政府は宇宙に移民する計画を立てる。しかし、その計画は途中でうやむやになり、多くの人が見捨てられることになった。地球連邦軍に対し、異を唱えたある活動家が立ち上がり「ジオン」と呼ばれる団体が生まれる。
そのジオン軍と、連邦軍が戦争を繰り広げるのが『機動戦士ガンダム』の物語だ。「2度もぶったね」でおなじみのアムロ・レイは連邦軍側で、赤い彗星ことシャア・アズナブルはジオン軍側だ。

しばらく戦況は膠着していた。ある日、シャアが偶然見つけた敵軍の後を追っていると、連邦軍が謎の極秘兵器を開発していることを知る。その兵器は最先端のモビルスーツ(有人操縦式の人型機動兵)だった。で、その極秘兵器こそ「ガンダム」なのだ。
その情報を持って帰ろうとするも、手下の一人がガンダムを襲って手柄をたてようとしてしまい、再び戦争の火種をつけてしまった。というのが第一話の流れだ。


僕の所感

ガンダムでは、一話から最終話までずっと戦争が行われてる。メタファーとかではなく、シンプルな戦争が行われている。それが却って新鮮だった。僕が子どもの頃に見たアニメで、戦争が繰り広げられるアニメはなかった。もちろん戦「闘」はあったけど、戦争ではなかった。

戦争はいわば「大きな物語」だ。大きな物語においては、個人は蔑ろにされる。ガンダムの登場人物は皆、否応なく戦争という大きな物語に巻き込まれている。大きな物語と個人それぞれの小さな物語の間には葛藤があり、ガンダムではその描写も随所にある。

戦争だからもちろん味方も敵も死んでいく。相手の命を奪わないと、自分や味方の命が奪われる。自分たちを守るために相手を殺す。それは相手側にも言えることだ。だから相手からしたら、自分の方こそ憎き敵なのだ。

そんな戦争のやるせなさを表しているシーンがある。11話『イセリナ、恋のあと』にて。

連邦軍が、敵の若き大佐「ガルマ・ザビ」を倒したあとの話。ガルマにはイセリナという恋人がいた。イセリナはガルマの死の哀しみから、連邦軍に復習を誓う。戦闘服も着ず普段着のまま戦闘機に乗り込み、アムロたちの前に立ちはだかる。ボロボロになりながら、イセリナはアムロに銃口を向けながら言う。

「ガルマ様の仇…」

アムロはその言葉に相当なショックを受ける。アムロが膠着している間、イセリナは引き金を引こうとするも力尽きて、戦闘機から落下し死んでしまう。

その後、アムロたちは彼女を土葬するのだが、そこでアムロはこう吐露する。

「なんていう名前の人なんだろう…。僕を仇と言ったんだ…」

仲間たちは下を向きながら、彼女の上に土を被せる。…というシーンで11話が終わる。

(いやこれアニメかよ、すごい表現だな! アニメの範疇越えてるやん!)

アムロや連邦軍側が決して正義ではないと描写しているのがすごい。


古いから見なくていい?

先日、友人にガンダムがおもしろいといった話をしたところ、「古い」と一蹴された。友人曰く、古い作品より新しい作品を見たいとのこと。
でも、なぜ古い作品がダメなのか。新しさとクオリティは比例しているからなのか?いやそんなはずはない。たしかに作画の技術は新しい作品の方が上だ。けれど、作品のクオリティは新しさとは無関係である。むしろ昔の作品の方が作品としての深みがあることは、アニメに限らず幅広いジャンルの作品に言えることだ。

たしかにガンダムの一話を見ると、絵柄が古いなぁとは思う。それに「男らしくあれ」という価値観が透けて見えるところも多々ある。けどそれは枝葉の問題で、古さを簡単に凌駕するほどよく作り込まれた作品であることに、見続けていると気づく。
ガンダムはよくあるロボットアニメではない。モビルスーツの「ガンダム」はいわば表の看板で、その裏には生々しい人間ドラマが詰め込まれている。

だから、もし時間に余裕がある若い人がいれば、ガンダムを一回見てもいいんじゃないかなぁと思う。

情報量が多くて設定も緻密なので、まだまだ言えることはあるのだけど、ひとまずここらへんで終わりにしよう。  

(※ 正しくは「父さん」ではなく、「親父」でした)。

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