タカタ

28歳。関西の人。自由に投稿してます。内容は本やアニメの感想、エッセイなど。村上春樹と…

タカタ

28歳。関西の人。自由に投稿してます。内容は本やアニメの感想、エッセイなど。村上春樹と嵐と進撃の巨人が好きです。明け透けに語るときもあれば語らないときもある。

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  • 雑感

    アニメ、書籍、映画などいろいろ雑多に雑感集。

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最近の記事

2024年上半期に読んでよかった本5選

僕が最近読んだ本の中から、これはよかったなという本を紹介する記事。2024年上半期編! 例年は、僕がその年に読んだ本を紹介していましたが、今回は僕が今年読んだ本で、なおかつ今年出版された本に限定します。 どの本も、信頼できる語り手(信頼できる出版社)が著者なので、安心してお読み頂けるかと思います。 なぜ働いていると本が読めなくなるのか 三宅香帆 集英社新書  日本の労働史を辿りながら、労働と読書(趣味)について論考する一冊。 「なぜ働いていると本が読めなくなるのか

    • アニメ『葬送のフリーレン』雑感 ~文学のような名作~

      アニメ『葬送のフリーレン』を観た。その感想のような批評のような雑記。 ざっと感想 魔法が出てくるファンタジーの世界観ではあるけど、アクションシーンがたくさんある怒濤の展開はない。(後半はけっこうあるけど)。どちらかというと静かな物語。早く先が観たい!となるアニメではなかった。でも、決して退屈さはない。 人物描写や心理描写が細かく、すごく文学的でリアリスティック。長く心に残るような素敵な作品。(余談だけど『蟲師』というアニメと近しいものを感じた。) 「葬送」 「葬送」

      • 散歩する理由 ~未知かつ既知との遭遇~

        用というほどでもないくらいの用をこしらえて、近隣の町に出かけることがある。 例えば、電車で30分ほどの距離にある古本屋に行くためとか。しかし、肝心の古本屋に滞在したのは数十分ということがざらにある。おそらくそれは仮初の目的。本当の目的はぶらっと散歩すること。 店を後にした道すがら、川沿いを歩く。普通の道だ。強いて言えば、緑が生い茂っていて、右手には工場らしきものが見える。けど、取り立てるほどのことでもない。 初めて歩いた所だが、見覚えがある気がする。もちろん気のせいだ。

        • 朝井リョウ『正欲』の雑感

          何かと紹介・引用されている作品なので読んでみた。以下、朝井リョウ『正欲』の雑感です。 ・内容をざっくり説明すると、社会が想定する「普通」から外れた人たちをめぐる群像劇。 空気 ・朝井リョウは、空気を描くのがうまい。空気といえば、山本七平の『空気の研究』を思い出す。空気とはある種の前提のことだ。日本においては、このうまく言葉で説明できない「空気」が蔓延している。 (『空気の研究』では空気に「水」を差すことについて述べられている。水といえばこの物語における重要なモチーフ!)

        2024年上半期に読んでよかった本5選

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          完全には理解できないからこそ ~『他者といる技法』の紹介あるいは要約~

          言うまでもないが、本には、いい本とそうでない本がある。たくさん読んでいると少しずつその差が分かってくる。 そして、いい本の中でもとびきりいいものがある。ハッとするというか、あっと言わされるというか。自分の考えに風を通してくれるような本に、たまーに出会う。 今回は、僕が最近読んだそんな一冊を紹介する。 社会学者・奥村隆氏の著『他者といる技法』。「他者といること」をテーマに、社会学の観点から考える一冊だ。”ともにいることの苦しみと希望”という帯の言葉が内容を的確に表している

          完全には理解できないからこそ ~『他者といる技法』の紹介あるいは要約~

          人には誰しも「心の穴」がある

          "人には誰しも「心の穴」がある。それを完璧に埋めてくれる相手は存在しない。魅力も欠点もその穴から生まれるものなので埋めなくてもいい。大切なのはその穴を自覚し、受容すること。受容し、受容されるのが愛" 『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(二村ヒトシ)という本に書いてあったことだ。 この『なぜあなたは~』は、自己啓発本のような風貌だが、読みごたえがある一冊。恋愛論を起点に人間の心理を深く洞察している。 著者は言う。「心の穴」は当人が幼く心が柔らかいころ、自

          人には誰しも「心の穴」がある

          2023年下半期に読んでよかった本10選

          年の瀬ということで、最近読んだ本の中からいくつかの本を紹介する記事、2023年下半期編です。 僕が2023年下半期に読んだ本の中から選出するので、必ずしも最近の本というわけではありません。 紹介する順番にとくに規則性はないです。それに、ジャンルも雑多。ランダムに紹介していきます。気になる本が見つかったら嬉しいね。 批評の教室 ――チョウのように読み、ハチのように書く 北村 紗衣  ちくま新書 2021年 文学や映画を批評するための入門書。 ネット上には感想文が溢れ

          2023年下半期に読んでよかった本10選

          最高の作品『進撃の巨人』最終回の雑感

          『進撃の巨人』は面白い。それは北海道の海鮮は旨いと言うのと同じくらい当たり前のことだが、何度言っても言いすぎることはない。 先日、ついにアニメ『進撃の巨人』が最終回を迎えた。漫画の方は2021年に完結していたが、アニメとしても終わる意義は大きい。作画もクオリティも高くて文句なしの堂々たる終わり方で、感動すら覚えた。 賞賛の言葉はディテールが問われない(by 武田砂鉄さん)ので、『進撃の巨人』の素晴らしさを表現しようとしても、ありきたりなものにしかならない。そこから脱却する

          最高の作品『進撃の巨人』最終回の雑感

          ジャニーズ問題に対する一ファンのとりとめのないエッセイ

          あなたが例の問題を知っているテイで話を進める。 大騒ぎである。僕もテレビとスマホを見てずっと振り回されっぱなしだ。「見なきゃいいじゃん」と言われるかもしれないが、ジャニーズは好きなのでそういうわけにもいかない。 吸い寄せられるように、数々の意見をスクロールしながら見た。できれば見ないようにしたいのだけど。それでも見てしまうのは、声の多いところに行きたがる人間の性のせいだろうか。 「ジャニー喜多川氏の性加害」と「所属タレントの功績」は独立している別物だと思う、思いたい。し

          ジャニーズ問題に対する一ファンのとりとめのないエッセイ

          牛すじを煮込め

          スーパーで牛すじを買った。3割引きシールが貼ってあったからだ。 買ったはいいものの、何を作るか決めていなかった。スマホでレシピを調べれば、牛すじは大抵煮込むものと知る。ということで「牛すじ煮込み」を作ることにする。 ただ、レシピサイト曰く、牛すじというのはかなり煮込む必要があるらしい。どのレシピを見ても、小一時間は煮込むとある。それほど待ってられるだろうか。 さぁ調理という段階で気が付いたが、牛すじは固い。包丁を入れても簡単には切れない。なんとか切って、一口大サイズにし

          牛すじを煮込め

          2023年上半期に読んでよかった本10選

          2023年も半年が過ぎたということで、最近読んだ本の中からいくつかを紹介する記事、2023年上半期編です。 僕が最近読んだものであって、最近出版されたものではない本も混じっています。あしからず。 数年前から同様の記事は書いているのですが、考えてみれば本の紹介というのは、ある種の自己紹介も兼ねているのかもしれない。 読みやすい順とか、出版年順とか考えたのですが、順番は適当です。 アニメ療法 心をケアするエンターテインメント パントー・フランチェスコ 光文社新書 202

          2023年上半期に読んでよかった本10選

          結婚式を開く人、開かない人

          友人の結婚式に招かれた。 結婚式は、色の三要素でいうところの彩度と明度が高い。鮮やかで明るい。それに華やか。その空間の中では、みんなもれなく笑顔。だけど、ほんの少し緊張感も漂っている。稀有な空間だ。 月並みな表現しかできないが、よかった。結婚式という行事の意義が分かった気がする。家族や友人を集め、式というかたちにすること自体に大きな意味がある。 結婚式を開くということは、その時点までにおける人生の総決算みたいなものだ。それまで関わってきた人たちが一堂に会する空間ができあ

          結婚式を開く人、開かない人

          奥さん、僕は自転車ではないんですよ。

          あるある!とはならないだろうが、日常生活における些細な違和感について。 自分が自転車に乗っていて、親子とすれ違う状況を想像してほしい。前方数メートル先に親子が見える。子どもは4歳前後で、そばには母親がいる。こちらはほどほどのスピードで進んでいる。 両者は徐々に近づく。すると母親は自転車に乗ったこちらを察知し、子どもに言う。「自転車来てるよ!」。 特段珍しいシチュエーションではない。僕も何回も経験している。ただ、その度に多少の違和感を覚える。その違和感は母の「自転車来てるよ

          奥さん、僕は自転車ではないんですよ。

          黒歴史だと思える感覚は大切かもしれない

          SNSと黒歴史 Twitterで何かを呟く度、黒歴史をひとつずつ積み重ねているような気がするのは僕だけだろうか。 Twitterは、文字制限があるので短文で、気軽にカジュアルに投稿ができる。そのおかげか、秘めておいた方がいいことも一時の感情にまかせて投稿できてしまう。そういうツイートを後からみると「なんでこんなことを呟いてしまったんだろう」と思うことがある。 しかも、どんなツイートも光の加減によっては黒歴史に見えてしまう。なので、僕はしばらくTwitterをするのを控え

          黒歴史だと思える感覚は大切かもしれない

          なぜ嵐の曲は他のジャニーズの曲と比べてランニングに合わないのか

          ご機嫌いかがですか? 元気にしてますか? 最近忙しくて会えないけど、ランニングしてますか? 冒頭の文が相葉くんのソロ曲のパロディだと気づく人はいるだろうかという懸念はさておき、今回はランニングと嵐の曲について書く。 ランニングと音楽 僕は週2回、だいたい休みの日にランニングをするようにしている。その際、ipodとワイヤレスイヤホンを身につけている。音楽を聞きながら走ると、意識が曲の方に流れて苦しさが紛れる。音楽がなければランニングは習慣になっていなかったかもしれない。

          なぜ嵐の曲は他のジャニーズの曲と比べてランニングに合わないのか

          村上春樹の新刊の雑感

          村上春樹の新作書き下ろし長編の『街とその不確かな壁』を読んだ。小説ないし文学の感想というのは、読んですぐに出てくるものではないだろうが(あとからじわじわ効いてくるものだから)その感想を雑に書く。箇条書きです。 ・読んでどうだったか? ありきたりな言い方になってしまうが、すごくよかった。村上春樹の長編は一応全部読んでいるのだけど、上位に入る出来じゃないだろうか。というより、彼の作品は作を重ねるごとに進化しているというか、時代に合わせて的確に変化している。文体も洗練され続けてい

          村上春樹の新刊の雑感