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忘れられた打ち上げ花火:第9話 「あなたの二番目にしてください #1’」

偶然に
あなたに出逢えた
その奇跡が

本当に歌詞にリンクして

運命的なものを
感じていたのは

一緒なの


「わたしもあなたの二番目にしてほしい」


***


>> ちょっとリアル(現実)で話がしたい

ゲームでチャットが来たから
わたしは仮想世界からログアウトして

いつものように寝る体勢になってから
LINE通話を鳴らした

ゆったりとした優しいあなたの声が
今日はいつもより少し低めのトーンで聞こえる


「ねぇそれ、どういう意味?」


って ”わざと” 聞き返した
意味はわかっているの

でもちゃんとあなたの想いを
あなたの言葉で、声で聞きたい

そうね、また意地悪しちゃった


「そのままだよ、ゆりさんの二番目にして欲しい」

心地よいあなたの声を耳にして
ゆっくりと 目を閉じた



あなたとの出会いは
4年ぶりに復帰したオンラインゲーム

新しく所属したサークルのリーダーをしていたのが
あなただった


面倒見が良く、新しく所属したメンバーを気にかけては
色んなイベントやコンテンツに誘い出してくれた

太陽のように明るく
常に前向きなあなたのゲームスタイルに
どんどん惹きこまれていったのは
わたしだけじゃない

あなたの周りには
たくさんプレイヤーが集まっていた


>>  このボス一緒に倒しに行こう!

そう言われてパーティーを組む

<<  まだレベルも上がり切ってないし、弱いから迷惑になってしまうわ

遠慮しようとしても

>>  大丈夫!とりあえず一回行ってみようよ

ちょっと強引に手を引っ張ってくれた


そんなあなたの人柄を
引っ込み思案な自分と比べて
羨ましく思うと同時に
とても尊敬していたの

まさにあなたは ”勇者” のようだった


チャット会話のテンポもちょうどよく
仲良くなるのに時間は掛からなかった

お互いの好きな食べ物の話から始まって
音楽の話、恋愛の話、友達の話
夜通しチャットし続けた日もあった

わたしが今まで出会ったことのない
考え方を持っているようで
あなたの話はすべてが新鮮だった

次第に、興味を惹かれるようになる

>>  次の祝日のゲームイベントを二人で一緒にやらない?

丸一日わたしの為だけに 
時間を空けて誘ってくれた

>>  チャットを打ちながらイベントのプレイをするのはやりづらいから音声通話をしたいけど、いい?

相当な信頼関係ができてからじゃないと
わたしは音声通話は絶対にしないと決めている

でもそのときは
あなたへの興味の方が勝ったので
考えて 考えて OKした


けれども
イベントの日が近づくにつれて
抑えられない程の不安におそわれ始めた

あなたとよく通話でコミュニケーションをとっている
共通のフレンドに内緒で相談することにした


<< 今度彼と通話する約束したのだけれど、どんな方なのかな


たずねたら
思いもしなかった答えが返ってきた


>> すっごい優しい感じの高校生だよ



そう

あなたはまだ高校生だった




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