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25年後のプロポーズ #1

どうしたって
振り向いてくれない
あなたへの想いを
必死に消そうとした25年が
心のダメージを回復してくれたのに

なぜ再びエンカウントしてしまったのかしら


***


オンラインゲームで恋愛できる人って
実はさほど多くはないと思っている

なぜなら

現実世界の生活と仮想世界の冒険で
ちゃんとそれぞれキャラクターを演じ分けて
楽しんでいる人が多いから


わたしが好きになった人も  ”そういう”人だった




大抵のオンラインゲームでは
キャラクターの見た目であるアバターの他に
ジョブ<職業>を一つ決めて
スタートするものが多い

様々なゲームを通じて
わたしが選ぶメインのジョブは
モンク<武道家>だ


モンスターの目の前に立ちはだかり
積極的に体術で殴り蹴り  ダメージを与える前衛職


前衛職だけ集まっても  強い敵は倒せない
だから回復職と呼ばれる  白魔導士<僧侶>などの職業の方と
ペアになったり  パーティーを組んだりすることが  自然と多くなるのだが


あなたの職業は「モンク」だった
そうなの  わたしと一緒


二人で回復アイテムを駆使しても
強い敵は倒せないことが多いし
他の職業の方を誘ってパーティーを組むことも
モンクが二人という偏りがある編成が難しく
断られることが多かった

それでも
同じ職でありながらペアを組んでいたのは
同じ頂点を目指していた同志だったから


”レベル30になったら  強い武器を一緒に取りに行こう!”
”レベル60になったら  あのカッコいい装備が身に付けられる!”
”レベル75の新しい必殺技を使って  敵を倒したいね!”


同じ職業だからこそ、同じ目標を持って
励まし頑張り合えた
そんなあなたとのやり取りが  大好きだったの



あなたは現実生活の話をめったにはしなかった
わたしのリアルの生活を聞くことも一切なかった

毎日決まった時間にログインして
毎日決まった時間にログアウトしていたから

なんとなく年上の社会人だろうなって感じてはいたの


あなたはオンラインゲームで関わった人と
現実の関係にまで発展させようと思う人ではなかった


どんなに「好き」って伝えても
どれだけ「好き」って言ってくれても

それは仮想世界でのアバターを演じているに過ぎず
真剣な想いとして
あなたの現実の心に届くことはなかった




ゲーム世界のストーリー時間は
現実と同様に止まることなく常に進んでいく

何度世界を危機から救っても
さらに強い敵が現れて世界が支配される

そのたびにさまざまな職業の冒険者達と  
たくさんの時間をかけて
無理難題とも思えるコンテンツに挑戦していくの

これがオンラインゲームとして
最高にテンションのあがる面白味なんだけれど

同職であるあなたとは役割が重複してしまうから
別々のパーティーやチームで活動をする機会の方が
次第に増えていった


世界の時間が進めば進むほど
レベルが上がり強くなればなるほど

つまり  それは

あなたとの時間が
失われていくということだった


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今まで小説を読んでくださった方、女性の生き方として興味を持ってくださっている方、作品を通してnoteに来てくださった方に、自分の気持ちに向き合いながら正直に感じる思いをエッセイに込めて描き続けていきます。 生き方や愛に思い惑うときにも、エンターテイメントとして楽しみたいときにも、喜んでいただけるような内容を届けられたら、嬉しいです。 新しいスタートを切った*うみゆりぃ*をよろしくお願いいたします

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