Positive Reading第3回ー「文字」と「図書館」に惹かれて集めた25冊を紹介ー
「文字と図書館」。
なぜか惹かれてやまないテーマです。
ボルヘスの「バベルの図書館」や中島敦の「文字禍」に引き込まれて、気づいたらそのテーマに関連しそうな本も集めるようになっていました。
そのような何らかの「きっかけ」になる本との出会いは貴重なものです。
読書が好きと言っても、ランダムに読むだけでなく、ある一定の疑問やテーマを持って読むとより楽しくなります。
『Think Clearly』の著者、ロルフ・ドベリによると、「読む意味があるかどうか」で選書することを勧めています。
ロルフ・ドベリは本を読みすぎるのではなく、経験に投資せよという一貫した主張をしています。
ですので、彼からすると私は本を読みすぎているかもしれません。
けれども、私が漠然とテーマを持って選書出来るようになったのも、今まで多くの本を読み漁り、数えきれないほどの取捨選択を行ってきたという経験のたまものです。
そのテーマの一つとして、今回は「文字と図書館」をあげたいと思います。
他のテーマについては以下の記事を読んでくださると幸いです!
「文字と図書館」は時代も国も定まっておらず、遠大すぎて、氷山の一角どころか、氷の結晶の一粒という感じですが、振り返りとして読んできた本を独断と偏見でまとめたいと思います。
と思ったのですが、読み終わらずに本棚に鎮座している本も多くあったので、ごちゃまぜにしています。
個々の感想はまたの機会に…
始まりの本
・J.L.ボルヘス 鼓直訳「伝記集」(「バベルの図書館」)岩波文庫 1993年
・中島敦「文字禍」筑摩書房 2008年
始まりの本がモチーフになっていると思った本
・円城塔「文字渦」新潮文庫 令和3年
・アルベルト・マンゲル 野中邦子訳「図書館 愛書家の楽園」白水社 2018年
文字そのものへ広げていった本
・古賀弘幸「文字と書の消息 落書きから漢字までの文化誌」工作舎 2017年
・杉浦康平「文字の霊力」工作舎 2014年
・宇野直人、江原正士「漢詩を詠む①」平凡社 2010年
書道に関する美術館図録諸々も集めてます。
フォントに広げていった本
・正木香子「タイポグラフィ・ブギー・ブック」平凡社 2023年
・正木香子「本を読む人のための書体入門」星海社新書 2013年
・トーマス・S・マラニー 比護遥訳「チャイニーズ・タイプライター 漢字と技術の近代史」中央公論新社 2021年
・今市達也「レタースペーシング タイポグラフィにおける文字間調整の考え方」BNN 2021年
タイポグラフィや活版印刷に興味が出まして、デザイン雑誌を買ったり、ワークショップをチェックしたりしてます。
図書館や本そのものへ広げていった本
・マシュー・バトルズ 白須英子訳「図書館の興亡 古代アレクサンドリアから現代まで」草思社文庫 2021年
・高宮利行「西洋書物史への扉」岩波新書 2023年
・ハビエル・アスペイティア 八重樫克彦、八重樫由貴子訳「ヴェネツィアの出版人」作品社 2018年
・内田洋子「モンテレッジオ 小さな村の旅する本屋の物語」文春文庫 2021年
・八木福次郎「新編 古本屋の手帖」平凡社 2008年
・川瀬一馬「日本における書籍蒐蔵の歴史」吉川弘文館 2019年
・高田大介「図書館の魔女 1~4巻」講談社文庫
さらに概念を広げていった本(主に芸術方面へ)
・長谷川三千子「バベルの謎 ヤハウィストの冒険」中公文庫 2007年
・小松英雄「丁寧に読む古典」笠間書院 2008年
・加藤徹「漢文力」中公文庫 2007年
・渡部泰明、阿部泰郎、鈴木健一、松澤克行「天皇の歴史10 天皇と芸能」講談社学術文庫 2018年
・筒井康隆「残像に口紅を」中公文庫 1995年
和漢朗詠集や懐風藻、新古今和歌集も集めました。
「文字」や「図書館」の概念は広げていったらエンドレスになりますが、文字と言葉の不可逆性であったり、文化の違いを生み出すものであったり、まだまだ興味深いところがあると感じるテーマです。
こうしたテーマをいくつか設定しながら、同時進行的に読書をしていると、本選びにミスったと思うことが少なくなりました。
作家や研究者にとっては、失礼な話になってしまいますが…
自分のテーマを持つことは難しいことで、見つけたとしても満足いくかどうかというとこれまた険しい道です。
だけど、どんどんつながっていくことを感じられる快感には何にも代えがたいものです。
こうして能動的な読書、積極的な読書としてのPositive Readingを今後も続けていきたいです。
マニアックな選書になっていると思いますが、もしこれもおすすめ!などありましたら、ぜひコメントくださいませ!