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これが生物の教科書だったら、もっと生物を好きになっていたのに!【徒然読書33】

高校時代、好きな教科の一つが生物でした。

時々生物系の本も読みたいなあという欲が出てくるので、手に取った本がこちら!

以前学んでいた分野から離れて初めて、その分野に惹かれる現象は何でしょう…

生物系となると専門用語が多くてとっつきにくいかもしれませんが、『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』はノーベル生理学賞を受賞した方がとてもわかりやすく書かれています。

筆者は細胞周期研究で人間の遺伝子が酵母の細胞周期を制御できることなどを発見した方です。


生物の世界は緻密なシステムで成り立っていて、その「かたち」が様々なところで応用できると思います。

バイオミメティクスのように、生物の形状や特性をまねて新たな素材などを作るという学問分野もありますね。

この本はこんな方にオススメ!

生物や生命の仕組みに興味がある方
生物学を学びなおしたい方
たまには違うジャンルの本を読みたい方

以下引用していきますが、見出しは私が勝手につけたものです。
こういう見方もできるなあという独断が100%です。

ちなみに、この本は「細胞」「遺伝子」「自然淘汰による進化」「科学としての生命」「情報としての生命」の5つのステップで構成されています。

1.生物学と「人間社会」の共通点

人は誰しも、孤立して切り離された存在ではなく、人の細胞と微生物細胞がからみあい、絶え間なく変化し続ける、巨大なコロニーなんだ。
p23

よく孤独死とか孤独感の高まりと言われていますが、細胞観点からすると大きな集合体と見ることができます。

細胞は隔離してくれる膜の内側で、自分たちが稼働するために必要な秩序を定め、それを高めてゆく。同時に、自分を取り巻く周囲の環境に無秩序を生むことができる。
p31

「外膜」で内側と外側を明確にして、柔軟性のある障壁を構成している…
外側にむき出しになっているのではなくて、内側で守られる環境も必要なのかなと思います。

「区画化」はあらゆる種類の複雑なシステムを機能させる要だ。
効果的に機能するためには、区分けが必須だけれど、同時に、比較的近くでつながっていないとまずい。
P123

「外膜」で区切られることは化学反応を同時に起こすために必要だけれど、あまりにも遠くで行われると(独立しすぎていると)効果がない。

これを人間社会でみると、個人個人だけでやっていて全く重ならなかったり繋げれる距離になかったら何も生み出さない、ということになるのでしょうか。

生命に必要な情報が世代を超えて受け継がれる方法の「トップダウン」で概念的な理解と細胞が作られて分子スケールで機能する方法の「ボトムアップ」で機械的な理解が必要なのだ。
P159

これは二重らせん構造が重要である、の例えでしたが会社内の組織構造と同じことが細胞にも起きている!!と衝撃でした。

二方向での理解ができるようになれば、いろんな視点が見えるかもしれません。

2.生物学と「自己」の共通点

誤り率自体が自然淘汰の対象である。
長期的に見れば、最も成功を収める種とは、不変と変化の絶妙なバランスを保てる種ということになる。
P91
自然淘汰を生き残る生命体は「なんとかやっていかれる」から存続するのであって、必ずしも、最大効率、あるいは最短のやり方をするわけじゃない。
p188

自然淘汰で生き残るのは偶然の積み重ねで、あまりにも変異が大きすぎても生き残れないのです。

かと言ってまったく変わらなかったら環境変化についていけない。

これを遺伝子レベルじゃなくてマインドでみたら、変わりつつ変わらないもの(軸)もしっかり持つことが生き残るとの言えるのかなと思います。

それは確固たる方針があるわけじゃなくて、感覚的に選んでいく部分もあるから、答えがない世界になりますね。

3.生物学と「情報社会」の共通点

「細胞は、生命の複雑な特性を実現するために連携して働く、個々のモジュールの集まりなんだ」
P168
意味を掴むには、単語を正しい順序で読み、それがより高いレベルの文や段落や章となって、「いかにして情報を伝えているか」を理解しなくてはだめだ。
P173

情報であふれる社会で、内部でどう動いているのかがブラックホールになるところが多くなっています。

例えば、スマホでもなぜタッチパネルで反応できるかとか考えたらキリがないです。

ですが、これがこうなってこうやって情報を伝えているとリレー方式で伝えれるレベルで理解することはできます。

情報がその内部でどう処理されているか?の考え方が現代社会の超スピードについていく手段のひとつかもしれません。


たとえ話が多くてイメージしやすく、訳も語り掛ける感じで平易な文章になっているから、読み進めやすいです!

読書のスパイスとして読んでみても良いかもしれません。
今回は抽象的な部分ばかり取り上げていますが、セントラルドグマやATP、DNA、RNAなど専門的な用語もわかりやすく説明されています。

ここまで読んでくださりありがとうございました!




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