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自選集:詩

35
密室で延焼する憎悪と、古戦場に揺れる花と。
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2018年3月の記事一覧

人と比べて自分に無いものを数えるより、まだ有るものを活かしていたい。どんな人間も最後には土へと還り、骨しか残らない。最期に向き合うのは、別れを告げる世間の目線ではなく、もう偽れない自分の本心。あの世にはどんな財産も持ってはいけない。精一杯やった満足感だけが、静かに瞳を閉じさせる。

物事の解釈は時と共に推移していく。熟考した岐路での決断についてさえ、後にならないと自分の心がはっきりしない事もある。壊さないと作り直せない。殻を破る時には痛みを伴う。馬鹿げた失敗だと思っていた行動が、後に強烈な存在感を放つ重要な布石として輝き出す。熟練の囲碁打ちの一手のように。

[日記2 3/24] 骨は捻じ曲がり、満足に立てない。心は奇妙なこだわりから自ら砕いた。血は青い。瞳は見当外れの怒りに燃えている。口角は道化師のように吊り上がる。そんなヒトモドキが見た幻覚を根拠に、正しき人々の異端審問が行われる。その幻覚は、ヒトモドキ自身の罪科を写しているのに。

[日記 3/24] ここは汚れ過ぎてる。もう壊れてる。あの雄々しさはもはや過去。期待するのはやめよう。大本営発表みたいな話を真に受けるなんて馬鹿げてる。自分だけでもうまくやる方法を考えないと。今は不正義でもいい。この場所が終わるとき、この場所のルールも同時に息を引き取るのだから。

天使が飛んだ日

天使が飛んだ日

耳を塞いでも鳴りやまぬ罵声 外は灰色の雲と降り止まぬ雨

今日も少女は暗い部屋で 一人膝を抱えるだけ

「私は何も間違ってない! あなたが悪いんでしょ!」

「俺に偉そうな口を利くな! ぶん殴られたいのか!」

家の中ではいつも終わらぬ口論 拷問みたく傷増えていく心

今日も少女は出口のない迷路 どうやら一人取り残された模様

「いい加減ちゃんとお金入れてよ! あの子だけでも良い子に育てないと!」

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