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折り返し地点

 所沢市のスーパー銭湯でこの記事を記している。
 カプセルルームを確保し、その中で寝ようかと思ったが夜食を胃の中に据えてしまったのでどうにも眠気は回るが寝る気になれない。
 さて、何の為に所沢市へ行ったろう。
 写真が答えである。
 ベルーナドームに、オリックスのビジター応援をしに行ったのだ。
 結果は3x-0と大敗であった。
 スコアにしてみれば大した差は感じないかもしれない。
 しかし、現地で野球を楽しんでここまで状態の悪い試合を見ているというのもなかったものだ。
 西武はこの日、育成ドラフトで入団した菅井投手が支配下に入って再びの登板となった。
 既に試合は経験しているようだったが、今回のマウンドは久しぶりだったようだ。
 まぁこの菅井の状態が良かった良かった。
 オリックスに被安打は許しているんだけれど、3塁から先は野手陣の守備のキレも相俟って遠く感じるんですよね。えぇ。
 と、大敗した思い出を残してもなんだかなぁという事で、自分にとって試合を現地する楽しみ。そして観戦するルーティンの中で特別な事を知るそう。
 それが試合前に歌う、スタメンの選手の応援歌だ。
 1番から9番まで全員の選手を歌唱していく。
 そしてその最後に、監督応援歌として現在のオリックス監督・中嶋聡の応援歌を歌うのだ。
 その歌詞は
『お前のパワーを その手に託して
 飛ばせ 場外アーチ』
というものである。
 この歌の歌詞の中にある
『パワーをその手に託して』
という言葉。
 これがどうしても自分の中では、特別な思いを込めて歌ってしまう部分なのだ。
 何度も記しているように、自分は祖父の影響でオリックスをここまで追いかけてきた。
 祖父はオリックス前身の阪急時代から応援し、そして青波時代も変わらず声援を送ってきた。
 しかし、祖父は中嶋政権の快進撃と成長を見届ける事なく逝去してしまった。
 そんな中で、試合前。こうして歌う応援歌の中にある言葉を拾って
「おじいちゃん、どうにかオリックスが勝てるように天国から見守ってください、力を貸してください」
との特別な思いを自分は込めている。
 その思いが結実したかのようにして、その日の観戦した試合で勝利を収めた時には非常に嬉しい思いになる。
 いつも、テレビの中で見ていたオリックスの試合は暗黒期まっしぐらの時代だった。祖父はきっと気が気でなかったかもしれない。

 所沢市という場所は、鉄道にとって特別な要素を持つ場所である。
 この地は、近代史の偉人の1人である『島秀雄』が幼少期。国鉄の技師であった父・『島安次郎』に連れられ、幼い頃に飛行機や自動車といった乗り物を見にやってきた街だったのである。
 和歌山県の薬問屋の次男坊として生まれた父・安次郎は機械工学に転向しその後、日本の鉄道の礎を作った。そして息子・秀雄もその後を追っていく。
 島秀雄は、生涯に
『日本に最適な蒸気機関車』
 としてD51形蒸気機関車を設計。
 そして
『日本初の長距離電車』
 として80系・湘南電車を世に送り出す。
 後にこれらの偉業を結実させて、現在の社会になくてはならない我が国の誇りである交通機関
『新幹線』
が誕生するのは言うまでもない完成系のゴールである。
 そうした誇り高き技術者の基礎が、この『所沢』にはあるのだ。
 今、自分の居る地でそうした技術者が幼少期を過ごしたという歴史は何処か感慨深い気持ちである。
 D51形蒸気機関車たちより以前。
 時代を飾る乗り物たちの本当の故郷というのはこの所沢にあるのだろうと考えさせられる。
 島秀雄がこの周辺で乗り物に対する見聞や知識を構築し、興味を開拓して行かねば我々の恩恵や交通の発達はまた違った方向へ向かい、そして近代化もきっと遅かっただろう。
 一先ず、残したい事をこの場でどうにか記せたので今日は終了としようか。
 脱力した明日を、どうやって過ごそう…

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