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S.C.P. Japanのスポーツを通じた共生社会創り【パート①】:いらない価値を壊して、新しい価値を創る

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こんにちは。いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。今週のコラム担当の野口(@noguchiaya)です。今後数回に分けて、私たちがどのようにスポーツを通じた共生社会創りに取り組んでいるのか、その考え方をシェアしていきたいと思います。

でも、その前に、、、

バースデーキャンペーンの告知

2月27日を持ちまして、一般社団法人S.C.P. Japanは1周年を迎えました。1周年を記念して、現在バースデーキャンペーン第2弾を実施しています。もしよければ、以下のTwitterの投稿をシェアしていただき、是非皆さまにもバースデーキャンペーンにご参加いただけますと嬉しいです!

S.C.P. Japanの2020年度の年次報告書とバースデーキャンペーンの詳細はこちらからご覧いただけます。

「公平・公正(Equity)アプローチ」と「平等(Equality)アプローチ」

さて、本題です。私たちのスポーツを通じた共生社会創りの考え方。本日のテーマは「いらない価値を壊して、新しい価値を創る」です。

ジェンダー、障がい、多様性理解、共生社会。こういった活動や研究をしていると必ず登場する、「公平・公正(Equity)アプローチ」と「平等(Equality)アプローチ」ですが、それぞれメリットもデメリットも含んでいます。簡単に言うと、平等アプローチで「違いはない」と主張すると「課題が見えなくなり」、公平・公正アプローチで「課題がある」と主張すると、特別な存在のようにみられてしまうということです。

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いらない価値観を壊す

では、ここでいう「課題」とは何のことなのでしょうか?それはその個々人の課題ではなく、個々人が直面している社会の中にある課題です。

良くも悪くも社会は出来上がってしまっています。何もない状態で私たちは生きているわけではなく、国があり、法律があり、制度があり、仕組みがあり、、、そしてその社会の仕組みの中で生きる上で長い歳月をかけて社会の中で作られてしまった当たり前(社会規範)もあります。そして、そういった社会の仕組みや社会の規範は、これまで中心となって社会づくりを担ってきた人たちの視点や考え方によって作られてきました(※中心となって社会をつくることができた人達を特権階級とも言います。)。障がいがない、ヘテロセクシュアル男性がこれまで社会を作ってきたと言われています。(国際協力の文脈まで考えると、先進国も特権階級ですね。)

そのため、いままでもずーっと私たちは多様性の中で生きていたのだけれども、社会の仕組みや社会の規範上、存在が「ない」、存在が「軽視」されて扱われてきた人たちがいます。この出来上がってしまった社会の偏った価値観によってできた制度やルール、社会構造を壊すことと、またそれらによってできあがった特定の人たちに対する偏見や差別、無意識のバイアスを取り除くことが重要です。それには「公平・公正アプローチ」が必要で、あえて同じ要素を持つ人たち(例えば、障がいを持っている人、女性、LGBTQ+当事者、日本以外の国籍の方)に特化して議論をしたり、特化したプログラムを展開したりします。特定のカテゴリーの人たちが直面している課題を可視化して、出来上がってしまった社会の仕組みやルール、価値観を壊し、偏見や差別を取り除いていく取組です。

新しい価値観を創る

出来上がった社会の中にある「いらない価値観」を壊すことと同時並行で、「新しい価値観」も創っていかないと、未来は作れません。その新しい価値観は、平等に大人も子供も障がいの有無も性別も性的指向も、国籍も人種も関係なく、みんなが同じ目線でフラットに対話をしてお互いを理解して、共により良く生きていくためにどうしたらいいのかを考える過程の中で生まれます。真っ白なキャンバスに一緒に新しい絵を描いていくような感じですね。皆等しく平等で、そこには特権階級なんてものはなく、1人1人の声が同じ重さの価値として受け入れられ、安心できる場所で一緒に新しい絵を描きながら、新しい価値観を作り出していくプロセスです。

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運動やスポーツでどうやって新しい価値観を創るの?

その空間を作るのに、運動やスポーツは有効です。私たちは出来上がっているスポーツを活用するのではなく、運動やスポーツのルール自体も柔軟に壊していくことが大切だと考えています。年齢、障がいの有無、性別、性的指向、国籍、人種、関係なくそこに集まる人たちが、誰もが良い時間を過ごせるゲームのルールや約束を話し合いで決めながら、誰も排除されない空間を作っていきます。運動やスポーツを活用することで、継続して集中力を保ちながら、自分の意見を伝え、相手の意見を聞き、自分たちでルールや約束を作るという経験ができます。その経験を通して、誰もが主体性を持って自分たちの居場所、生きる場所、社会、を変えていける力があることを実感していきます。こういった運動を通じて、社会参画・民主主義(デモクラシー)の経験を積むことは、Game Centered Approachの指導方法論の中で活発に議論がされています。(私たちも勉強中です!)

今週はS.C.P. Japanのスポーツを通じた共生社会創りのアプローチとして「いらない価値観を壊して、新しい価値観を創る」という点をご紹介させていただきました。

私たちの活動自体はとてもシンプルです。①運動プログラムの提供、②講演・研修・啓発、③情報発信の3つです。シンプルなアウトプットを支える私たちの軸の1つを今週はシェアさせていただきました。また、なぜ私たちがジェンダーだったらジェンダー、障がいだったら障がいと、シングルイシュー(1つの課題)に特化せずに、複数の課題に対して同時に向き合っているのかお伝えできていたら幸いです。

S.C.P.Japanの活動はウェブサイト/各種SNSで発信していますので是非ご覧いただけたらと思います。

ここから有料記事となりますが、多くの人に発信するほどではないけど、「細々と思う小さく短い一言」を有料部分に記載しています。内容自体は無料部分で全てカバーされています。本記事を読んで、「新しい視点を得られた」、「S.C.P. Japanの活動を少し応援したい」、と思っていただけたら、有料記事を購入いただけますと幸いです。よろしくお願いします。

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