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「 一人称単数 」

 村上春樹さんの小説を読むのはこれで2回目だ。

 1回目は中学生の時、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」という本を読んだ。

 読んだきっかけは不純で単純。「中学生で村上春樹の小説読んでるのすごくない?」というちょっとした虚栄心からだ。

 実際に読んでみると、やっぱり難しい。そもそも当時の私にとって知らない言葉が多かった。あらすじも正直ほとんど覚えてなかったのだが、それでも結末のなかで1つ強烈に心に残るものがあった。

 あの本を読んで変わったことがあるとするならば、なんとなく友達グループでいる時の自分自身の立ち位置を肯定できるようになった気がしたことかもしれない。

 それもまた、いつかちゃんと本を読み返してnoteにでも書き留めておきたい。


 全然関係ない話になってしまったが、そんなことがあり、村上春樹さんの世界観を理解できるにはもっと大人にならなければいけない、ある程度の知識と集中力と気合いが必要なのだと感じていた。

 まあ、悪くいえば敬遠していたともいえる。

 でもお正月に、ふと、短編集ならと思い古本屋にて購入した。

 この短編集は、時には、村上さんの自伝体のような言い回しでかかれているお話も多い。まるでエッセイのような。

 本当にあった出来事なのか、それともフィクションなのか。どちらとも断定できない絶妙な場所を突いている。

 この短編集の1つ1つの話に勝手に共通点を見つけるのならば、昔そんなことがあったような〜でも夢だったかもしれないような、、、

 そんな記憶が曖昧になってしまった出来事のような話、明け方に見る不思議な夢を詰め込んだような、そんな短編集だと思う。

 とにかく上手く説明することが難しい。あまり村上春樹小説を読んだことがないから断定できないが、これが村上春樹小説の世界観なのかもしれない。


 ちなみに、特に好きな話は、「ヤクルト・スワローズ詩集」と「謝肉祭」だ。

 「ヤクルト・スワローズ詩集」はのんびりと自分の好きなものを応援している様子が、「謝肉祭」はお話に登場する女性が魅力的だった。

 村上春樹さんの描く女性って、芯が強くて何故か惹かれる女性が多い気がする。


 あと口コミを見る限りかなり人気がある「品川猿の告白」はやっぱりユーモアがあって面白い。

 人間と話せる猿が出てくるというだけでも面白いのに、愛や人生(猿生?)を語り出す猿の言葉に思わずこちらも考えさせられてしまうのだ。


 浅〜く村上春樹さんの世界観に浸りたい人や私みたいな村上春樹小説初心者におすすめだと思います。

 エッセイに近い形だったけれど、他の作者さんのエッセイには見られないような個性の豊かさや様々なジャンル(特に音楽!)に対する知識量の多さに惹かれました。

 今度は長編小説を読みたいです。

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