あの先輩にインタビュー! ~博士研究員 古川睦実さん(後編)~
こんにちは。東北大学サイエンスエンジェル(SA)のたこです。前編につづいて、博士研究員の古川睦実さんにインタビューしています。
後編では博士研究員1年目で2児の母でもある古川さんに、博士研究員になってみて感じたことや育児との両立など、女性から見た博士研究員という職について語っていただきました。
博士研究員になってみて
たこ)実際に博士研究員になってみて、学生時代の「民間と大学」のイメージと違いはありましたか?
大学だと民間よりも研究資金面では苦労するけれど、今でも研究の「自由度の高さ」には魅力を感じています。新しく感じた魅力としては、「名前が残ること」かな。民間だと実績は企業に属するけれど、アカデミックだと自分の名前が入った論文を出すことが重要で、自分で責任もって自分の業績を誇ることができます。
たこ)自由度が高いと、自分で決断しなければいけないことが多いと思いますが、不安はないですか?
元々、人に言われて何かやるのが好きじゃなくて(笑)あんまりリスクは考えたことないですね。これ分かったら面白そう!っていう純粋な気持ちでやってきたし、これからもそうありたいと思います。
たこ)ポジティブですね!ポジティブな女性の方が研究員には向いているのでしょうか?
ポジティブすぎて、世間的には変わってると言われる人が先生方には多い気がします(笑)
実験や研究自体は、男女で特に向き不向きや有利不利がある訳ではないので、女性に限った話ではないですが、失敗するかもと心配する人よりかはきっと成功する、と思える人の方が続けられると思います。
博士号を取得した後は、半年~5年任期の短い雇用が多くて、男性でも30代後半くらいで准教授などに就くまでは職が安定しないことが多いです。女性の場合は出産・育児があったり、そもそも身近に女性研究者が少なかったりするので、更に人生設計は立てにくくなります。
ですので、不安になりがちな人よりは「まぁ、なんとかなるっしょ」っていう前向きな人の方が向いているのだと思います。
研究と育児の両立について
たこ)修士1年時に第一子、博士2年時に第二子をご出産されているとのことでしたが、研究と出産・育児との両立はいかがですか?
出産当時は(学生なので、)産休・育休とかはなくて、その期間だけ研究室を休んでました。けれど、その間も完全に研究から離れるのは良くないなと思ったので、実験自体はできないものの、論文読んだり、自分の論文の構想を考えたり、家で出来ることをやってました。
現在は保育園に子供を預けて、研究を行ってます。好きなことを仕事にできているので、仕事に対するストレスがほぼなくて、仕事も育児も楽しみながらできてます。もちろん子供の急な発熱とか、そういったハプニングもあるけれど、研究室のメンバーと協力しながら乗り越えています。
たこ)女性研究員の方だと、結婚や出産が早いことが多いのですか
早いか30代後半かのどちらかが多いのかなという印象です。
私は学生の頃に結婚・出産しましたが、もし博士研究員である20代後半から30代前半の時期に出産という形になっていたら、もっと大変だったと思います。一番、論文や学会発表などの業績を積まなきゃいけない時期で忙しいというのもあるし、短期的な雇用なので、出産で一回失職してしまうと、その後再度雇用してもらえるかは分かりません。
だからこそ周りの女性研究員の方も、学生の頃の早い内に出産しているか、逆に雇用が安定してくる30後半に出産している人が多い気がします。
読者の方にメッセージをお願いします!
将来やりたいことがある人はそれを追求してほしい。もちろん多少大変なことはあるけれども、自分がやりたいと思ったことに挑戦していれば、くじけないで頑張れるから。
でも、多くの人はやりたいことがまだ決まってないんじゃないかな。そのなかで進路を決めなきゃいけないなら、まずオープンキャンパスに行くと良いと思います。中学生や高校生の時だと、研究内容を聞いてもよく分からないとおもうかもしれないけれど、興味がひかれる研究室を探してほしい。結局、大学で研究室を決める時は研究内容に興味がもてるか、が大事だから。
ただ、どんな選び方をしても、間違ってるということはないと思います。どの選択肢でもメリット・デメリットはあるから、ぜひ選んだ自分に自信をもって突き進んで下さい!
ご自身が経験された進路選択や出産・育児などのリアルをお聞かせくださいました。やりたいことを見つけ、それを追求し続けている先輩の姿は、とても魅力的でした。読者の皆さんにも、この魅力が伝わり、進路選択の一助になれば、と思います。
記事へのコメントやSAへの質問は、いつでもこちらのフォームよりお待ちしております。
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編集後記
鍋はたくさんの人とわいわい楽しめるのがいいですよね。私の研究室ではイスラム系の方も食べられるように、芋煮は豚肉の仙台風だけじゃなく牛肉の山形風の両方作って、楽しんでます!(たこ)
東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「科学って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。2021年度より、自然科学に加え人文・社会科学も含めた科学分野としての活動がスタート!メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。
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