あの先輩にインタビュー! ~博士研究員 古川睦実さん(前編)~

こんにちは、サイエンスエンジェル(SA)のたこです。

活躍している女性の研究者や大学教員を紹介する「あの先輩にインタビュー!」シリーズ第2弾は、東北大学大学院農学研究科 博士研究員の古川睦実さんです!現在、博士研究員1年目2児の母でもある古川睦実さんに、研究の魅力から育児などのプライベートなことまで、学生に近い目線から語ってもらいました。

前編では、博士研究員になるまでの進路選択について、後編では女性から見た博士研究員という職について伺いました。(後編はこちら

SA素材画像5

顔写真

経歴 

1991年 北海道札幌市生まれ
2009年 北海道立札幌南高等学校卒業
2015年 東北大学農学部卒業 学士(農学)取得
2018年 東北大学大学院博士課程前期修了 修士(農学)取得
2021年 東北大学大学院博士課程後期修了 博士(農学)取得
(その間、2019-2021年 日本学術振興会特別研究員-DC2)
2021年 東北大学大学院農学研究科 博士研究員(インタビュー当時)
2021年11月-現在  東北大学大学院農学研究科 助教

研究概要

私は、家畜自身の免疫機能の向上による疾病防除を目指した研究を、機能形態学の強みを活かして行っています。主として行っている組織切片を用いた解析では、細胞レベルから組織レベルひいては個体の情報までをも、組織切片を通して知ることができます。例えば、下の写真は腸管の組織切片ですが、腸管のどこの部位にどのようなものが存在しているかがわかり、また、どのように機能しているかを類推することができます。

染色画像2

このような手法を駆使して、免疫臓器の形態形成・機能成熟機序に関する研究を行っています。免疫を司る免疫臓器は動物種によって大きく異なり、哺乳類の特性である「乳」についても、含まれる抗体の種類・量ともに動物種によって違うといったように、動物種特有の免疫の世界が存在します。私はこういった「動物種特有の免疫の世界」を追究し、正確に理解することで、畜産分野における飼養管理技術を免疫学的観点から改良していきたいと考え、日々、研究に励んでいます。

SA素材画像5

博士研究員になるまで

たこ)高校の時に理系を選んだ理由は何でしたか?

小学生の頃から、読書よりも高山植物を調べたり、石のキラキラした断面を観察したりするのが好きで、興味の対象がもともと理系寄りだったと思います。その後、博物館で行っていた「人体の不思議展」とかを見たりしたことで、徐々に理系の中でも「生物」に興味がわいてきました。それに高校1年の時に数学とか理系科目が得意だったのもあって、理系を選択しました。

たこ)「生物」に興味がある高校生だと医学部や理学部などを選ぶこともありますが、大学受験の時に農学部を選んだ理由は何ですか?

食べるのが好き」というのがあって、農学部にしました。あと当時は意識していなかったけれど、今思うとオープンキャンパスとかでも、(現在の専門に近い)農学部の動物コースの研究室をよく見てて、自分の興味と合っていたのだと思います。

SA素材画像1


たこ)大学3年生の時に研究室を決めたと思いますが、決め手はありましたか?

大学1年生の時に基礎ゼミという授業の抽選で機能形態学(現在在籍されている研究室)にたまたま当たったのですが、受講してみると面白く、そこから組織学に興味をもちました。ただ、そんなに強い意志で選んだ訳じゃなくて、定員があいていて、同期ともめなくて済むというのもありました(笑)

たこ)最初から研究に深く興味があった訳ではないんですね。研究に志すきっかけがあったんですか?

研究に興味を持つタイミングは人によってそれぞれだと思うんですけど、私の場合は自分が選んだ研究室のテーマが「深く追求したいな」って思えるようなところだったので、博士研究員にまでなれたのだと思います。

たこ)深く追求したいと思えるテーマだったんですね。

基礎研究応用研究の両方の側面があるテーマでした。現在行っている研究も、ある臓器の生物学的意義という基礎研究の側面とそれを使って現場に応用できて畜産に貢献するという双方向に向かえる研究だと思っていて、すごく楽しいなと感じています。

また機能形態学、組織学という学問自体も、組織切片のミクロな情報を積み重ねることで、個体というマクロなことが分かってくるという面白さがあると思います。

たこ)民間企業でも研究職はありますが、大学で博士研究員になろうと思ったのは何故ですか?

学部3年生の時に、民間企業への就職活動をやってみて、「このまま就職でいいのか」と感じたことです。当時民間の研究開発職を中心に見ていて、やっぱり利益を追求する分、研究の自由度が高くはないなというのと、学部卒では専門性が高いことはできないかもしれないと思って。そんな時に色んな先生方の研究室紹介があって、「自分の研究テーマを自分で決めてやっている」というのが、魅力的にうつりました。

たこ)研究について語る先生方は生き生きとされていて、素敵ですよね。

SA素材画像5

前編は以上となります。

前編では、古川さんが博士研究員になるまでの進路選択をお聞きしました。読者の皆さんにも共感できるポイントがあったのではないでしょうか。

後編では古川さんが博士研究員になってみて感じたことや、出産育児などのライフイベントとの両立について伺いましたので、ぜひご覧ください。

後編はこちら

゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+
記事へのコメントやSAへの質問は、いつでもこちらのフォームよりお待ちしております。

編集後記

秋ですね~。芋煮やおでんなど、鍋が美味しくなる時期なので、毎日何を作ろうかとわくわくしています。(たこ)


東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「科学って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。2021年度より、自然科学に加え人文・社会科学も含めた科学分野としての活動がスタート!メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。

#東北大学 #理系 #理系女子 #理系大学院生 #理系大学生
#進路選択 #女子高生 #大学受験 #リケジョ #サイエンス



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?