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【海外マンガ事情】日本のマンガがアメリカ市場で売れたのは「売る努力」をしたこの人たちがいたから!一橋ビジネスレビューのこの本が参考になります

日本マンガをどのように海外に売っていくか、というテーマをいろいろな切り口で掘ってきましたが、強力な参考文献を見つけましたので、紹介します。

一橋ビジネスレビューが出している、サンフランシスコに拠点を置く会社ビズメディアさんの企業分析レポートです。

ビズメディアというのがどういう会社かというと、この書籍の「北米マンガ市場の開拓者」というサブタイトルがもうすべてを語ってくれていますが、

・1980年代からアメリカの書店に日本のマンガを売ってもらう活動を続けていた
・今でこそ「マンガ」はアメリカに受け入れられているが、1980年代では「アメリカにはアメコミという伝統があるから日本マンガは売れない」というのが常識だった
・この会社の創業の方々も、最初はどこへいっても「こんなのアメリカでは売れない」と断られ続けていた
・地道な努力と戦略でアメリカ市場に徐々に支持を広めていった
・今では当たり前になった反転印刷(日本マンガは右のコマから左のコマへと読むが、アメコミは左のコマから右のコマへと読む。よって鏡を通したように左右反対に印刷するという手法を入れた)でのマンガ出版をアメリカで初めて行った。これはむしろ日本の作家さんの心理的抵抗を説得するほうが苦戦した模様
・つまり、現在、アメリカで日本のマンガ作品が読まれていたり、日本マンガのコスプレイベントなどが盛んになったのは、この会社が築いた下地あってのことである

上述の書籍は、このビズメディアさんの企業としての成長史や、マーケティング戦略を分析しているものです。

私自身は一橋ビジネスレビューを普段読んでいるわけではないのですが、マンガを扱う企業を徹底分析してくれたこの回は、マンガに興味ある人にぜひ読んでほしいオススメ版と思い紹介します!

大リーグには野茂英雄が単身で行ってくれたから、その後、日本人選手がいくことが当たり前になったわけですし、

セリエAには中田英寿が単身で行ってくれたら、その後、日本人選手がヨーロッパのサッカーチームに所属することが当たり前になったのです。

同じように、アメリカで日本のマンガが人気商品として定着したのは、まずはこのビズメディア社の創業メンバーが乗り込んでいってくれたからです。

日本マンガ史においてもっと知られていい大貢献者ではないでしょうか

このビズメディアの事業がノッてきた2000年代は、トウキョウポップやダークホースといった類似のライバル会社がアメリカに出現し、さらには、スーパーマンやバットマンを出版するアメコミ大手のDCコミックが、「日本マンガ輸入事業部」を作って市場参入してきました。

競合の出現で苦戦したものの、いまだにビズメディアはアメリカ市場における日本マンガ出版のトップ企業です。DCコミックの「日本マンガ輸入事業部」はけっきょく市場撤退したそうです。

アメコミの大手出版社が乗り込んできたのを追い出したとは!(笑)

これって大金星じゃないでしょうか。もっともっとこの会社が知られていいな、と思った次第ですし、

政治家の方あたりが「日本のマンガは素晴らしい文化だから海外で売れるのだ」と言っていることを真に受けちゃダメだ、ということでもあります。ちゃんと、その日本マンガを海外に紹介し、売ってきてくれている人たちの努力があってのことなのですよね。素晴らしい文化だから輸出すればすぐ売れる、なんてことはないのです。

そして日本でも「世界に通じるマンガを描けるマンガ家になりたい」という夢を持つ人たちと同じくらいに、「日本のマンガを世界に売り込める敏腕プロモーターになりたい」という夢を持つ人も出てきてほしい、と思ったのでした。

優秀なクリエイターと、優秀な売り手、双方が揃ってはじめて世界で戦えるのです。

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!