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ラテン語・古代ギリシャ語の効用について⇒いちおう英語力が上がります#Ab、Apoで始まる英単語で確認!

以前に別の記事で、ラテン語や古代ギリシャ語のような「実人生では使わない言語を勉強する余裕を持ちたい」という内容のお話をしました。

それに対する補足です。あの記事では斜に構えて「ラテン語や古代ギリシャ語は完全に趣味の世界、だから良いのだ」という論理でしたが、完全に実人生で役に立たないかというと、多少は良い影響もある、という話です

良くも悪くも昨今の日本に蔓延するプレッシャー「英語がうまくなりたい」にある程度、貢献します

本日ご紹介する「ラテン語や古代ギリシャ語からの英語勉強法」はかなりマニアックな話なので、本気でこのメソッドをやるのは大変な時間がかかりますが、この記事をばっと読んだだけでも英語の成り立ちに関する「チョットお役立ち雑学」くらいにはなるのではないでしょうか?そう信じて…。

英単語は(そのかなりの部分は)ラテン語や古代ギリシャ語からの借用語!

ラテン語や古代ギリシャ語の効用は、まずここにあるといえるでしょう。

日本語と漢語の関係を思い出していただくと、わかりやすいと思います。

「役得」とか「懲戒」とか「遺憾」とかいった熟語は、たとえ辞書の中身を丸暗記していなくても、日本人なら「漢字を見ているだけで、なんとなく、意味は分かる」ところがありますよね?

これと同じようなことが、英語とラテン語・古代ギリシャ語の間にも起こっているのです。実は英単語の中にも、日本の漢熟語のように、「古代のコトバをかけあわせて作った造語」がたくさんあるのですね。そのベースとなっているのが、ラテン語や古代ギリシャ語からの借用語なのです。

※いっぽうで、goとかcomeとかwalkとかswimとかいった基本単語系は、古代英語から継承されてきた、土着のコトバです。抽象的な単語が「漢字熟語」で、生活に密着した基本単語は「やまとことば」である日本語と、このあたりはなんだ似ていますね

実例で確認しましょう!頭にAb「アブ」のつく英語は、「~から離れてしまう」というニュアンス!

具体例をお見せしましょう(ちなみにこの記事は、DICTIONARY OF ROOT WORDS: GREEK AND LATIN ROOTSという本を参考文献にしております)。

頭にAbがつく英単語(abnormal(アブノーマル(異常))、abroad(アブロード(海外))、abuse(アビューズ(虐待))、absence(アブセンス(欠席))、abstain(アブステイン(棄権))を見てみましょう。こうして並べただけでも、何か気づくことはありませんか?どれも「普通の状態から離れる」というニュアンスの意味になっていますね。

この"ab"という接頭語はラテン語由来で、英語でいう[away]の意味なのです。ab+〇〇〇で、「何かから離れた、そこから逸脱した、そこから外に出ていく」という意味合いになります。

さっきの単語で、やってみましょう。

「abnormal(アブノーマル(異常)」は、わかりやすいですね。「ノーマルから+離れる」です!

「abroad(アブロード(海外))」もわかりやすいですね。「いつもいる土地から+離れる」

「abuse(アビューズ(虐待))」「使う(use)から+逸脱する」。使い倒して壊しちゃう、乱暴に扱ってダメにしてしまうから、意味が転じて、虐待、です。

「absence(アブセンス(欠席))」は、ラテン語のBe動詞esse(存在する)から出た言葉です。「存在することから+離れる」、つまり、「今はいない」ですね。この場合「存在しない」のではなく、「この世界のどこか離れたところにいるが、イマココにはいない(欠席)」ということです。

「abstain(アブステイン(棄権))」のtainは、「掴んで自分のものにする」というニュアンス。「掴んでおくことから+離れる」で、「棄権する」「慎む」となります。

ギリシャ語も見てみましょう:頭にApoのつく英単語も「離れる、切りわかれる」というニュアンス!

同じようなことが、ギリシャ語と英語との間にも起こります。先ほどのラテン語のabによく似ているのが、apoと頭につく英単語の成り立ち。ここでのapoはギリシャ語で、やはり[away]の意味を持ちます。

頻出単語ではapology(謝罪)がありますね。しょうもない話なのですが、私は中学生の時に英語の時間でなかなかこの単語を覚えられなかったので、「『私は太陽神アポロンじゃい(=アポロジー笑)、このあいだはすまなかったのう』と謝る」などというゴロを自分で発明して、暗記したことがあります。

ところが大人になってから判明したこと。結果論としては、ギリシャ神話とのダジャレでapologyを暗記した思春期の私の(しょうもない)ひらめきは、この言葉がギリシャ経由だとすると存外まとはずれでもなかった

先に述べたように、apoは「離れる」。logyは、「ロジック」と同じ語源です。「ロジックを自分のほうにひっぺがす」、つまり「言い訳」です!このニュアンスがわかると、よく日本人英語の弱点として問題にされるsorryとapologyの違いもわかってくるのではないでしょうか?sorryは気持ちの表明で、apologyは「実はこういう理由がありまして、こういう経過をたどりました」という経緯説明のほうです。

ビジネス上のトラブルでsorryを示しちゃうと変なことになるし、逆に家族ぐるみで付き合いをしている相手にお悔やみを述べるときにapologizeしちゃいけません、ということです。

もうひとつ、このapo系列で面白いのがapocalypse。「黙示録」ですね。オカルトやサブカルチャーの世界ではしばしば「世界の終わり」を思わせるニュアンスで登場する「アポカリプス」という単語ですが、この不思議な響きの言葉もギリシャ語由来です。「覆いを+ひきはがす」、つまり隠されていた真実を公開するというニュアンスです。キリスト教の世界観では現世は一回滅んだ後に永遠の王国が来るわけですから、「人類のレベルアップのために世界の終わりは一回はこないといけない」、それゆえに世界の終わりについての具体的な知識も、怖いながらも知っておかなければいけない真実ということです。

まとめ:ラテン語や古代ギリシャ語にさかのぼると、ただの暗記では見えてこない「それぞれの英単語のキャラクター性」が見えてくる!

いかがでしょうか?ラテン語や古代ギリシャ語を本気で勉強するのは大変な努力と時間が必要になってしまいますが、あくまで英単語のルーツを探る雑学レベルであれば、けっこう使えるネタがいっぱいなのです。

何をおいても、ただ漠然と「アルファベットの並び」を見ているだけの英単語暗記よりは、けっきょくは効率も上がってくると思っているのですが、いかがでしょうか?

興味のある方は、この方面では「英単語の語源」とか「英単語のなりたち」といったキーワードで調べると、よい本がたくさん見つかるので、ぜひ参考にしてみてください。


子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!