見出し画像

どんなに素晴らしい商品・サービスでも売り方次第でまったく売れない。。

こんにちは。BtoBマーケターです。
私はこれまで中小規模のBtoB事業会社に複数在籍し、マーケティング業務に従事してきました。

その実務経験の中で、疑問に思い直面したこと、試行錯誤したことやその解決策、「BtoBマーケティングあるある」を、noteでまとめていきたいと思います。

今回は、商品やサービスの「売り方」についてまとめていきます。

良い商品なのに売れない、良いサービスなのに売れない。
こんなことが実際にはよく起こってしまいます。

■「売り方」が特殊だった出版社

画像16

以前、専門書を取り扱う小さい出版社で編集職として在籍していたことがありました。その出版社の販売方法が特殊だったのをふと思い出しました。

流れとしては下記のようなかたちです。
案内先は過去の顧客や企業、病院、大学だったのでBtoB領域としての対象はごく普通なのですが、特殊なのはその案内先にテレアポし、専門書を送付する点でした。

送付の了承を得た方へ返送用の伝票と書籍を郵送します。
その後、試し読みをしてもらい「ご覧いただけましたでしょうか。内容にご納得いただけましたらご購入ください。もしご納得いただけない場合は同封した返送用の伝票でお送りください」と電話で連絡するというスタイルでした。

画像16

画像16

どうやら海外の販売方法をマネていたようなのですが、営業とマーケティング業務を経験した今考えると、売り物である書籍そのものを郵送する方法は斬新と言いますか、変わった売り方だったなと思います。

制作していたのは専門的な学術書だったので、購入を検討される方は、掲載しているすべての内容というよりは自分の業務に必要なこの部分を読みたい、というケースが多いのです。

邪推かもしれませんが、専門書自体が手元に届くので、必要な箇所をコピーしてしまうことで事足りるのは容易に想像できるのですが、その出版社のある種独自の「売り方」として取り入れられていた営業手法でした。
(私が退職した数か月後に倒産してしまったようですが。。)

■イヤがられる売り手本位の売り込み

画像16

画像16

上記のような私が在籍していた出版社の「売り方」は、営業先に全幅の信頼を置く、手元に届いた書籍をコピーなんてしないだろうというある意味、性善説に頼るスタイルなので、正直なところ「商売っ気」がないなと思ってしまいます。

確かに「一方的で必死な」売り込みはイヤがられます。

「飛び込み訪問」「飛び込み営業」といったように、相手が欲しい、と思っていないタイミングで「こういう商品・サービスがあります。どうでしょうか」と売り込むのは敬遠されがちな行為です。

とはいえ、訪問や電話営業をきっかけに「そういえば必要だな」と想起してもらえるケースもありますが、それはたまたまであって、そんなケースを成功パターンとして社内で流布され展開されてしまうということもあるのかなと。
(その「たまたま」を狙って行動せざるを得ないのも営業のつらいところでもあります)

ですが、会社である以上、売れなければ死活問題になってしまいますので、しっかりとした販売戦略・営業手法を用いて販売していく必要があります。

■顧客に寄り添う「販売戦略」を立てる3つのポイント

「販売戦略」とは、販売方法や販売経路などを検討・決定することをいいます。顧客に効果的な戦略を立てなければ、どんなに優良な商品やサービスでも売れません。

その販売戦略を立てるためには、下記の3つがポイントとなります。

●ペルソナ分析

画像16

ペルソナ分析とは、商品やサービスのプロモーション対象のユーザーを具体化する手法です。

年齢や性別、居住地、職業、ライフスタイル、価値観、性格などの詳細な設計をすることで、想定されるユーザーの心理を読むことで購入に至るまでの仮設を立てやすくなります。

●SWOT分析

画像16

画像16

SWOT分析とは、自社のS=Strength(強み)、W=Weakness(弱み)、O=Opportunity(機会)、T=Threat(脅威)の4項目を明らかにすることで、
戦略策定やマーケティングの方針、経営資源の最適化などをおこなうフレームワークです。

プラス面、マイナス面、外部環境、内部環境に分類し、ビジネス機会を見つけ出し、課題を明確にするという効果が見込まれます。

●カスタマージャーニーマップ

画像16

カスタマージャーニーマップとは、ペルソナ分析で設計したユーザーが、商品やサービスを知り、購入し、継続して利用するといった一連の行動とそれに伴う接点、感情を可視化し、旅(ジャーニー)に見立てた図式のことです。

横軸に時間軸(認知、検討、購入、利用、継続・追加購入など)、縦軸にタッチポイント(接触するためのメディアなど)や感情・思考(どう思うか)、行動を表す形です。

実際のユーザーの段階に即したイメージを具現化するので有用です。

■無料でお試し「フリー戦略」

上記の私が在籍していた出版社の営業手法に近しい方法として「フリー戦略」があります。

画像16

「フリー戦略」というのは、無料で役立つコトやモノを提供することで利益を生み出す手法です。
例えば、スーパーマーケットでの試食や本屋などでの立ち読みなどが該当します。

また、Webサイトやブログメディアなども例に挙げられ、来訪・閲覧してもらうことで理解を深めてもらい購入を促すという手法です。

画像16

画像16

無料で提供することで多数の顧客を広く集め、集まったその中の一部分の方々に欲しいと強く感じてもらい、お金を支払う価値があると認識してもらってご購入いただくという形です。

■「フリー戦略」による2つの効果

このフリー戦略には2つの効果が見込まれます。

画像16

まず1つは「返報性の原理が働きやすくなる」という点。
返報性の原理とは「何かをしてもらったらお返ししなきゃ」と感じる心理作用のことです。
無料で提供してもらうので、こういった作用が働くということですね。

画像16

もう1つは「ザイオンス効果が働きやすくなる」という点。
ザイオンス効果とは、何度も同じコト・モノに接触することで好感度が上がる心理作用のことです。
Webサイトやブログメディアなどであれば、複数回ページを見てもらうことで良いなと思ってもらうということです。

このフリー戦略と、私が在籍していた出版社の営業手法を比較すると、「無料」という観点では類似していますが、販売する商品そのものを「お試し」で提供するのか、一部分を「お試し」で提供するのかという点が大きな違いだと言えます。

■最後に

画像16

前述の専門書の編集職などを経て、マーケティング経験の方が長くなった今の自分としては、もちろんマーケティングアクションだけで売れることが理想なのですが、現実としては、マーケティングの力で取り扱う商品やサービスを「良い」と認識してもらい、良いと認識してもらった方々へセールスの力で売ってもらうという、マーケティングとセールスの連携で進めていくのが、とても大切だと考えています。

またそのために、しっかりとした販売戦略を立て、その戦略に基づいたアプローチをマーケティング・セールスそれぞれの役割のもとで行う、そしてその活動の成果を振り返り、PDCAサイクルを回し改善を繰り返して売上を上げるための確度を高めていくことも大切なのだと思います。

BtoBマーケターより。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?