マネジメント 理念・組織・マネジメント、経営の本質を理解する

僕のnoteの記事は、色々な方が読んで下さっています。
学生さんや勉強会に参加して下さっている方、お客様である経営者の方。元々こうした方へのメルマガ的な意味で書き始めましたが、今ではnote自体を読んで下さる方がおられます。
僕の記事の読者の、特に前者の方々は色々な質問を下さるので、記事の何割かはそうした方の質問に答えたものですから、僕の記事を読んで下さっている方は、遠慮なく質問など頂ければと思います。

さて前回も、マーケティングの位置づけについて質問を受けたことから記事を書きました。この内容について追加の質問を頂きましたが、お答えしていて、なかなか全体を把握することが難しいように感じました。
そのため今回はタイトルにある、理念や組織、マネジメントの関係について考えます。

・経営管理の分類
これは前回も示しましたがまずはマネジメントの分類についてのおさらいです。

マネジメントの分類
○トップマネジメント
○機能分野別管理
 ●生産管理
 ●財務管理
 ●マーケティング管理
 ●人事・労務・労使関係
 ●組織管理
 ●情報管理

これは基礎的かつ古典的な分類ですが、現在の企業でも必要なマネジメントと考えてよいでしょう。
経営学はテーラーの科学的管理から始まりました。その後、社会学など様々な考え方が取り入れられ、20世紀前半に、現代に繋がる経営学やマネジメントの形が考えられました。

・組織
20世紀に入る頃から、企業の組織について考えられるようになります。組織の考え方としては、初期のものとして、マックス・ヴェーバーの「官僚制組織論」が挙げられます。
企業の規模が急速に大きくなり、企業内の役割が高度化、専門化していくと、それぞれの役割を果す「部署」に組織を分けることで、それぞれの機能を果すことを考えました。

この考え方は、現在の企業や組織においても、基本的には同じと考えてよいでしょう。
もっとも、中小・零細企業では、こうした部署を独立して作ることが困難なので、経理担当や事務担当のような形で、一部の専門業務に担当者を充てがうことで機能を果たしています。またもう少し大きな企業であれば、経理課や人事課などが設けられています。
マネジメントの分類で示したような、機能別管理毎に組織を作ることは難しいので、それぞれの機能は、担当業務内で、言い方は良くないですが、経験則的に行われています。

さて、企業が巨大化していく中で、20世紀中盤までは、長い時間のサイクルで経営が行われていました。製品寿命も長く、またラインナップも多くありませんから、それぞれの部署が専門の機能を発揮すればよかったのですが、次第にそれが困難になります。
企業規模がさらに大きくなり、複合産業化が進展すると、事業部制といった組織の分割や分社化が進み、企業も複合企業、コングロマリットへと発達しました。

ところで、経営学では「企業」を「共通の目的を持った組織体」と説明します。
企業が事業を通じて利益を得ることが目的であることは大前提ですが、社会の発展と共に、労働者や消費者の権利が重視され、社会全体を考えた企業と事業の在り方が求められるようになります。そうすると、単に「儲ける」という目的だけでは組織が成り立たなくなります。
また巨大化した組織では、意思統一が困難になります。極めて良心的な見方をしたとしても、例えばそれぞれの良心やベストが、組織全体のベストになるとは限りません。そのため、組織全体の意思統一が必要になります。

・理念
理念とは、基本的な考え方です。僕が企業の理念を作るお手伝いをするときは、「必ず守るべきこと」と説明します。

20世紀の企業の、特に日本では、バブル経済崩壊以前は、「会社を大きくすること」が、殆どの会社の目的(ビジョン)であり、戦後の復興、発展の中で、ある意味では全ての日本人が目指してきたことでした。
そのため、豊かさの実現の中で、犠牲にされてきたものもあったのですが、現代ではそうはいきません。むしろ、その犠牲にされてきたことに目を向ける必要に迫られています。

皮肉な話ですが、21世紀に入り、世界的な企業の隠蔽や不祥事の発覚で、企業の社会的責任が再確認されました。多くの企業は、社会とからの信頼を取り戻すため、その姿勢が大いに問われることとなったのです。
しかし巨大化した企業が、複雑に関わり合う中で、企業の意志や方針などを全社的に共有するのは容易ではありません。
加えて、MDGs(SDGsの全身であるミレニアム目標)などといった世界が進むべき共通の指針が示されるなど、世の中の価値観が大きく変化していきます。

そうした中で、企業は理念(基本原則)を示し、その使命であるミッションやパーパスを明確にすることで、企業だけでなく消費者なども含めて、社会全体が新たな価値を共創していくことが、企業の発展のために不可欠となりました。

現在では、インターネットが発達し、20世紀には無かった人の繋がりが構築されています。多くの人々が、企業の有り様を、消費を通じて評価する社会が作られようとしていますが、結局のところ、「喜ばれる企業」を作ることが第一歩です。
そのため、理念などの考え方を実現するための組織とマネジメントが不可欠となりました。

理念と組織、そしてマネジメントの形は、それぞれが独立したものではなく、それぞれの目的を実現するために、不可分な機能だと考えればよいでしょう。

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