CI(コーポレートアイデンティティ)その3 皆が誇れるアイデンティティ

CI(コーポレートアイデンティティ)その2では、CIの開発計画について記しました。CIというと「デザイン」について思い浮かべる方も多いと思います。しかしここまでで、CIのデザインについては全く触れてきませんでしたが、それには理由があります。
多くの人が名前を知っている大企業ならともかく、中小・零細企業では、デザインの部分のCIだけを行っても全く効果はありません。経営理念や経営学の成り立ちでも記しましたが、自発的に成長し、なおかつ能力を発揮できる人材を育て、組織を形成し、目的を共有することで、企業はその力を発揮することが出来ます。そうした背景がない状態で、見た目だけ変えても全く意味がないと考えています。
一般的にCIはマーケティングの一環として考えられるものですが、僕のマガジンの中で、マネジメントのに含めたのはこのためです。

とは言え、やはりデザインについても述べなければ片手落ちになってしまいます。そこで今回はCIの中のVIについて記したいと思います。

CIのデザイン開発
CIは理念開発とデザイン開発の2段階に分かれることは説明しました。2段階としていますが、大企業ではこれらを同時に開発していきます。そのうえで人材育成のマインド教育として社員への浸透を図ります。しかし中小・零細企業の場合、まず理念開発と教育を進め、一定の効果が見られた後にデザイン開発を行うことが望ましいと考えています。
デザイン開発には以下のものがあります。

・企業またはブランドマーク
・企業またはブランドロゴ
・整式社名ロゴタイプ(英文・和文)
・コーポレート・メッセージなどのロゴ化
・コーポレートカラー

この後、使用規定などを策定し、ブランドマネジメントを行います。

僕は残念ながらデザイナーではないので、デザインについて深く述べることはできませんが、これらのVIがどのように機能するかについて述べたいと思います。

理念を体現する

画像1

これは業務提携をしているデザイン会社に、名刺の作成を依頼したときに作って頂いたデザインです。実はこの時、ロゴマークを作るつもうりはありませんでした。希望を聞かれ、他の方の意見も参考にして「僕の人柄や考え方がつたわるデザイン」というお願いをしましたが、実は全くの丸投げでした。
数日後デザイン案ができたということで、デザイン会社を訪問したところ、「やはりロゴマークがあった方がよい」ということで、これ以外にもう一つロゴマークの案がありました。しかし一目見て、この第1案に決まりました。
この後ホームページも作成しました(よろしければ参考までにhttps://sbe-labo.com/)。ホームページは違う方におねがいしましたが、コンセプトなどの会議も行っていません。ページ内の文章を「書きたいだけ書いて長くても構わない」という指示が来ただけでした。
どちらのデザインもかなりセオリーからは外れているそうですが、とても気に入っていますし、周りの方からとても評判がいいです。
名刺にせよ、ホームページにせよ、僕自身の経歴や考え方をとてもよく理解してくださっている方にお願いしました。どちらの方もとても作りやすかったとのことです。
理念設計や考え方、姿勢が明確であればあるほど、多くの人に伝わり、覚えて頂ける、優れたデザインができるそうです。

誇れるデザイン
僕がお手伝いさせていただいた、ある企業の例を挙げたいと思います。
その会社では指示した服装をちゃんと守らない社員や言葉遣いが適切でないアルバイトなどという悩みを抱えていました。当初経営理念を策定するお手伝いの依頼でしたが、CIについても提案しました。CIの機能と役割を説明し、一定の時間をかけて(すぐに実現すものではありません)CI教育に取り組みました。行動指針などが浸透し始めると、次第に服装や言葉遣いにも改善が見られるようになってきました。働く人の表情も次第に明るくなります。事業収益に改善が見られ始めた頃、あるスタッフから嬉しそうな表情で、こんな言葉をかけてもらいました。

「社員の名札をもらいました!」

当初服装や名札の徹底に苦労していたのですが、スタッフの皆さんが喜んで着用するようになったのです。

VIは、もちろん会社や製品・サービスをしってもらうという役割があります。しかしそれ以上に、会社に対する帰属意識を持たせ、その会社の社員であることに誇りを持たせることができます。つまり企業のアイデンティティが、働く人一人一人のアイデンティティに成長したのです。

ここまで来ればもう僕がお手伝いすることはありません。会社は自発的に成長していくことでしょう。

CIは企業を成長させ、関わる人に誇りと生きがいを与える行為だと考えています。

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