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【読書録】『57歳で婚活したらすごかった』石神賢介

今日ご紹介する本は、ライターである石神賢介氏の『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書、2021年)。

昨年、だらだらとネットサーフィンをしていたときに、偶然、この本が話題であることを知った。

私は今のところ、夫がおり、婚活を行う予定はない。しかし、アラフィフのお年頃となり、もし突然予期せぬことなどがあって、ふたたび1人になってしまうようなことがあった場合、新たにパートナーを見つけることができるのか。ふと興味がわき、読んでみた。

婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティー、婚活イベント。石神氏は、多様な手段で婚活に体当たりでチャレンジしている。いろいろな女性に会い、ののしられたり、いきなり高額ディナーをご馳走させられたり、性欲の強さを求められたり…。たくさんの仰天エピソード。事実は小説よりも奇なり、だ。面白い読み物として、興味深く読ませていただいだ。

この本の巻末には、付録として、実体験に基づく実用的な「婚活マニュアル」がまとめられている。婚活の色々な場面でチャンスをつかむコツが箇条書きにされていて、具体的でわかりやすい。婚活中の方や、これから婚活を始めようとされる方には、結構、役に立つのではないだろうか。

この本で私が書き留めておきたいと思ったのは、本書の終章に書かれていた次のくだりだ。

(...)婚活に費やすエネルギーと時間をもっと自分自身の質の向上に使ったほうが、結婚しようがしまいが幸せにつながると思った。その結果、誰かと手を携えて生きるチャンスがあればなによりだ。(...)(p206)
「誰かと生きたい」という気持ちには多分に依存心が含まれている。依存心が強いと相手に期待する。相手への期待が大きいと、アテがはずれたときの失望も大きい。そして、たいがいアテははずれる。男女とも自分が生きるのに精一杯だ。おたがい相手の期待に100%応えることなどできない。
 それを思うと、自我が育ち切ってしまった中高年の場合、一人で生きていく自信があってこそ、自分以外の人間に費やす時間と余力があってこそ、誰かと一緒に生きることができるのではないだろうか。
「誰かとともに生きたい」ではなく、「誰かのために生きたい」と思えるくらいの心のゆとり、経済的なゆとりを持ってこそ、婚活は成就するのではないだろうか。(p208-209)

私の周りには、婚活がうまくいかず、「ひとりで生きていく!」と決心した後に、ひょんなことから良縁にめぐりあって結婚した、という友人が、複数いる。

ひとりで生きる自信や経済力を持ち、誰かに依存しないでもよい、という余裕を持っていることや、結婚してもしなくても幸せになれる、と思っていることが、良いパートナーにめぐりあう早道なのかもしれない。逆説的かもしれないが。

ご参考になれば幸いです!

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