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【読書録】『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』永井千晴

今日は、とても楽しい本のご紹介。約500湯を訪問したという「温泉オタク会社員」、永井千春さんのご著書、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』(2020年、幻冬舎)。温泉旅行ガイド+エッセイというテイストの本だ。

永井さんは、ライターとしての温泉取材の仕事がきっかけで、温泉にはまったそうだ。その後、全く違うお仕事に就かれた後も、会社員としての勤務のかたわら、休日に温泉旅行に出かけられ、国内外あわせて500湯近くに浸かった、とのこと。筋金入りの、温泉マニアでいらっしゃる。

本書の特色は、全体を通して、女性のひとり温泉旅行ビギナーに向けて書かれていることだ。温泉旅行の客層としては、通常、家族、カップル、友人グループなど、複数人で訪れる場合が多いと思う。そんな中、女ひとりで温泉に行くと、寂しい思いをするだろうなと思い、あまり楽しそうなイメージが持てなかった。

だから、私は、そういう思い込みから、行きたい温泉が見つかっても、ひとりで行こう、という発想に至らず、家族や友人を、無理やり誘っていた。昔から大の温泉好きだったのに、である。そうすると、どうしても、マニアックな温泉よりも、同行者に配慮して小綺麗な温泉を選んでしまうし、行動にも自ずと制約が出る。

しかし、永井さんのこの本を読んで、その思い込みから、鮮やかに解放された!

永井さんが温泉を愛し、「女ひとり温泉」を心から満喫されている様子が伝わってきて、「楽しそう! 私もやってみたい!」という気になった。今までの心理的ハードルがぐっと下がり、実際、何度か「女ひとり温泉」にトライしてみた。

すると、どうでしょう! た、楽しい! 家族や友人と行く温泉も楽しいけど、またそれとは全く違った楽しさがあることが分かった。自分の思うとおりに過ごせる快適さといったら、このうえない。何でもっと早くやってみなかったのだろう。残りの人生の楽しみが、またひとつ、増えた。超ラッキーだ。

本書には、女ひとりでも温泉旅行を楽しめるコツや、ヒントが満載だ。例えば、以下のような項目が特に役立った。

●温泉旅行に適しているシーズン(p16)
●温泉が空いている時間帯を独り占めする方法(p68)
●最低限、気にした方がよい防犯対策(p70)
●グーグルマップとメモ帳でまとめる旅行計画(p83)
●女ひとり温泉の持ち物マストアイテム(p282)
●ビジホ×温泉銭湯という選択肢(p274)
●ひとりメシのさびしさを解消する方法(p294)
●「泊食分離」という考え方(p297)

いずれも、「女ひとり温泉」を楽しむために、すぐに実践できるお役立ち情報だ。

それに、本書は、温泉ガイドとしても素晴らしいのだ。全国各地にある温泉地や温泉宿のうち、永井さんの「推し」の温泉情報が大変充実している。それぞれの温泉地の特徴、温泉の成分や色や匂い、街の雰囲気、アクセスの良さ、などなど、とても詳しい。

そして、熱海、草津、有馬、などの有名どころのみならず、かなり個性的な、秘境といったマニアックな温泉地も紹介している。「あの湯のためだけにわざわざ行きたい」というこだわりのお宿の名前もたくさん掲載されている。これらの宿は、自動的に、私の「行きたい温泉リスト」に加えられた。このような温泉情報は、「女ひとり温泉」だけでなく、「男ひとり温泉」にも、温泉愛好家のグループの温泉旅行にも参考になると思う。

ところで、永井さんといえば、ツイッターで、20万件以上の「いいね!」を獲得している、温泉選びのフローチャートが話題になった。

こちらの「東京から1泊2日で行ける温泉フローチャート」のほか、「大阪から1泊2日で行ける温泉フローチャート」、「全国版おすすめ温泉チャート」も、本書に掲載されている。日本にあるたくさんの温泉地の特徴を、一瞬で俯瞰できて、なかなか秀逸だ。

ところで、私は、日本の神社仏閣巡り、お城巡りをライフワークとしているが、それと、温泉巡りが、とても相性がよいことが分かった。神社仏閣、お城に、長い歴史やドラマがあるように、温泉地にも、同じように、長い歴史やドラマがある。そして、神社仏閣やお城と、温泉地を兼ね備える地域は、日本にはとてもたくさんあるのだ。「神社仏閣+温泉」「お城+温泉」のオリジナルな旅を作り、楽しんでいきたいと思う。

永井さんの温泉愛の溢れるこの本は、私に、残りの人生の生き甲斐のひとつを見つけるきっかけをくれた。本当に感謝している。

温泉の好きな方、温泉巡りに興味のある方には、超絶オススメ。ご参考になれば幸いです!

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