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こころのトレンド──Jポップ歌詞に吐露される感情の分析

以下の文章は、

その時代に流行る音楽の歌詞=その時代の人の心の傷を癒す処方箋

という前提に基づいて書かれたものだ。

精神分析なのか、社会学なのか、文化人類学なのか、はたまたお笑いのあるあるなのか、それはぼくにはわからない。

ただ、そういう前提に基づいて書いた仮説を引き受けた上で読んでいただきたい。

本作は速読禁止です。

抽象と具体の粒の大きさにしっかり合わせて、

シートベルトをしっかりお締めください。
──読み飛ばすと話が飛ぶので、

振り落とされないように1行1行しっかりと。

タイトルは、

『こころのトレンド──Jポップ歌詞に吐露される感情の分析』


昔に売れた音楽を聴いたら、 

歌詞がめちゃめちゃストレートだった。

昭和の名曲というやつだ。

ぼくが聴いたのは、ブルーハーツの「人にやさしく」

僕はいつでも 歌を歌う時は

マイクロフォンの中から

ガンバレって言っている

聞こえてほしい あなたにも

ガンバレ!

作詞:甲本ヒロト作曲:甲本ヒロト編曲:ザ・ブルーハーツ

ぼく('93年生まれ)は、この曲が流行ってた当時(1987年)には、生まれていないのだけど、
この曲が流行る時代っていいなって思った。

この曲をみんなが受け取って感動してる時代ってもっとあったかくていい時代なんだろうなって思った。

そんなにアーティストがいない時代だがら、

国民全員でそれを受け取っていた、

そんなみんなが純粋だった時代。

大きな物語を共有していた時代だ。

では、今流行る歌詞はどうだろう。

なんというか歌詞が複雑だ
歌詞が複雑ってことは、届く人のこころのありようが複雑ということだ。

感情のセグメンテーションとマーケティングが隅々まで行き渡り、いろんな感情を刺さる名曲がたくさんある。

その曲の中には自分の最悪だった時代の支えになってくれた歌詞もあるはずだ。

たとえば、銀杏BOYZの歌詞なんか理解できる人は、学生時代すごく苦しんだやつだと思う。


すごく偏見だけど、

ブルーハーツの歌詞で感動して泣ける奴は、絶対いい奴だ。(バカだけど笑)

だって、あんな単純な歌詞で感動できるんだぜ。

(とか考えちゃうくらい、斜に構えたぼくの心にさえ染みこんでくる甲本ヒロトの歌声はやっぱり天才だ。

シンプルな歌詞なのにブルーハーツの歌声)

それに比べて、

これまたすげえ偏見だけど、

「ゲスの極み乙女」の川谷絵音の声で泣く奴は、

たぶんメンドクサイ奴だと思う(笑)

いや、メンドクサイ奴ってよりは、たぶん心の傷が複雑なんだと思う。

自分もそうだからよくわかる。

すごく歪な心の傷で、川谷絵音にしか癒せないような微妙な形の傷なんだと思う。

この世で川谷絵音にしか、そんな感情を表に出してくれるようなアーティストがいないくらい繊細で微妙で迷路のような心の傷だ。

──だから、ぼくは決してゲスの極み乙女ファンをバカにしてるわけじゃない。

ぼくがAO入試(総合型選抜)の指導をしていた時代に出会った生徒の1人がこんなことを言っていた

「私の心の傷の痛みセイコちゃんしか分かってくれない」

あ、もちろん松田聖子じゃないよ。

大森靖子(笑)

そう言って彼女は、誰にも見せられない感情をセイコちゃんにDMを送っていた。

──ちなみに、大森靖子はそんなDMに返信するらしい。

そのDMを見たわけではないが、

その生徒はそんなに小論文が上手な方ではなかったので、そんなに上手な文章が送れないはずだ。

そんなひとつの健気なDMにも長文で返事する大森靖子は、本当にファンを大切にしていると思ったし、真のアーティストなんだって思った。

大森靖子の歌詞なんて特にメンドクサイよね。

あの歌詞に共感するって──ぼくが使った「歪な心の傷」言葉のニュアンスわかってくれた?

現代は、どいつもこいつも売れてるアーティストは、

優等生みたいな顔しといて、けっこーこころに深めな闇を背負い込んでいる。

YOASOBIの「アイドル」の歌詞なんて見たら、

はいはいあの子は特別です

我々はハナからおまけです

お星様の引き立て役Bです

全てがあの子のお陰なわけない

洒落臭い

妬み嫉妬なんてないわけがない

これはネタじゃない

からこそ許せない

完璧じゃない君じゃ許せない

自分を許せない

誰よりも強い君以外は認めない
作詞:Ayase
作曲:Ayase編曲:Ayase

作詞:Ayase 作曲:Ayase 編曲:Ayase

これ読んだら、言ってること納得してくれるんじゃないかな。

この差ね。

承認欲求が溢れ出るような歪な心の腫れ様だ。


ブルーハーツに感動する人

YOASOBIに感動する人

ゲスの極み乙女に感動する人

大森靖子に感動する人

どんどんメンドクサそう度合いが上がってくるでしょ?笑

でも、この歌詞のメンドクサさを見れば、

現代に流行る音楽が昭和の名曲に比べて、

複雑で入り組んでることってことがわかると思う。

──このメンドクサイ人の心にしか刺さらない音楽が、その人の世界を救ってるんだから、決してバカしてるわけじゃない(2回目)

昔の人に比べて、複雑なのを理解できるぼくの方が頭いいとかマウントを取りたいんじゃない。


そうじゃなくて、

シンプルな言葉が突き刺さる甲本ヒロトの才能がすごいんだ。

そして、そんなシンプルな心を受け取れる時代がすごいんだ。

①まっすぐな歌詞を享受できる時代

②複雑で難解だがたまに自分の心にぶっ刺さる歌詞を発掘できる時代

どっちが楽しそう?

②の楽しさをよく知ってるけど、

選べるなら、ぼくは①かなー。

そっちの方がみんなと仲良くできそう笑

今の時代はむずかしい!

キャラとか距離とかラポールとか。

難易度が高い。

昔と比べると現代の方が歌詞(=その時代の人の心の傷を癒す処方箋)が複雑という話でした。

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