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【お金本】メイキング・お金本#5

こんにちは!文豪アンソロジー『お金本』の担当編集の梅原と申します。
メイキング・お金本は、本日が最終回!
〆切を落としまくり、気がつけば11月も終わり。
やはり「〆切」は私たちにとって逃れられない怪物なのでしょうか…(デジャブ)
満を持しての最終回です。最後に【おまけ】あります。
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『お金本』発売から1ヶ月。
発売してからというもの、
書店さんで展開いただいているのを見ては感涙し、
新聞はじめ各誌でご紹介いただいているのを見ては感涙し、
読んでくださった方の感想を拝見しては感涙しております。
この場を借りてお礼申し上げます。


さて、本連載ではこれまで資料調査目次づくり装丁・キャッチコピー検討会について取り上げてきました。
グッズ当選発表などはさんでみたものの、ネタ切れ感がいなめません。
誰だ全5回なんて言ったのは。(えぇ、私です…)

最終回、最終回、最終回にふさわしいネタはなんぞや〜
と逡巡していたところ、ふと思いました。

そもそも、なぜ「お金」だったのか?
そうだ、それを書こう。


「〆切」の次に「お金」。突如出現した「お金」。
正直に言えば、私も代表の小柳からこの企画を引き継いだときに「なぜお金?」と思いました。

「お金」というテーマは、昨今とてもシビアなものになりました。
以前はネタになったような貧乏話も、心の底から笑えないような時代になってしまった。私自身、漠然とした経済的不安を拭えずに生きているところがあります。

そんな時代に、
お金が儲かる簡単な方法が書いてあるわけでも、
上手な貯蓄の仕方が書かれているわけでもない本書。
人の貧乏話を延々と読まされて何が面白いのか!?どうなんだ!

とまではさすがに思いませんでしたが。
この本の面白さって何だろう?を自問自答しながら、大量のお金話に身を埋めること半年……

返そうと思っていたお金で酒を呑んでしまう坂口安吾。
貧乏がこうじて友にも妻にも見捨てられ、人生を問うてしまう国木田独歩。
頼れるものは親でも兄弟でも、義弟の友人でも頼る太宰治。
友人のために本を売る金田一京助。
金がなくても日記はハイテンション、な種田山頭火。
娘の結婚費用を原稿料で捻出しようとする室生犀星。
愛する人を身請けしようとする小林多喜二。
「ふん」と言って、内田百閒に金を貸す夏目漱石。
漱石先生の掛け軸を売ってしまう内田百閒。
家賃の取り立てにも冷静沈着な川端康成。
余分に書いた分の原稿料を受け取らない直木三十五。
編集後記に「親しい人には原稿料を払っていない」と暴露する菊池寛……


意地を張ったり、欲に負けてしまったり…
かと思えば、自分も困っているのに人助けをしたりする。

金がなくても今日を必死で生きる文豪たちの叫びを読んで、私は思ったのです。

これはただの「お金本」ではない。
「お金(に正面から向き合った作家たちの人間性を深く抉り出した、人間の人間による人間のための)本」だったのだと。

私たちはお金と無関係で生きることはできません(少なくとも今は)。
それ自体には何の価値もない紙切れなのに、人間関係、人生、そして人格さえも変えてしまうことがある。
お金が絡むからこそ、そういった人間の本質が明らかになるのです。

だからこそ「お金」だったのではないでしょうか。


「メイキング・お金本」最後までご覧いただき、ありがとうございました。
本連載は終わりますが、『お金本』を引き続きよろしくお願いします!

12月20日にはジュンク堂書店 池袋本店にて、『お金本』刊行イベントも行います。
ご登壇者は、町田康さんと穂村弘さんという豪華すぎるお二人です!
令和の文士のお金話をどうぞお見逃しなく〜!(詳細はこちら


【おまけ】「お金」相関図
本書から読み取れる文豪たちの関係性を示した図です。ダウンロードはご自由に〜

お金本相関図1126






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