左右社

2005年設立の、人文書・文芸書を中心に刊行する出版社です。左右社という社名は書家の石…

左右社

2005年設立の、人文書・文芸書を中心に刊行する出版社です。左右社という社名は書家の石川九楊先生に付けていただきました。亀のかめ吉を飼っています。

マガジン

  • 浅生鴨の短編Z

    月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばない) 過去のマガジン『短編三〇〇』をまとめた 第一集『すべては一度きり』 https://amzn.to/3MSgEOq 第二集『たった二分の楽園』 https://amzn.to/3P7uTRi 第三集『三万年後に朝食を』 https://amzn.to/4e0cf9X 発売中。 第四集も準備中!!

  • 池上晴之 『ザ・バンド 来たるべきロック』

    2024年11月1日より、元編集者で批評家の池上晴之さん初の書籍『ザ・バンド 来たるべきロック』を発売いたします。本書の刊行を記念し、試し読み、書評を無料公開いたします。

  • おしらせ

    新刊およびイベント・ワークショップの情報を掲載します。

  • 擬タイ日記

    タイ文学研究者・福冨渉さんが初めて記す〈自分〉と〈タイ〉のこと。発達障害を抱える著者が、まともな人間に“擬態”して生きづらさと向き合うなかでタイのカルチャーがどのような影響を与えたのか掘り下げていく、自己探求型エッセイ。月1回更新予定です。

  • 『#サーチして短歌ツイートすぐできる枡野浩一全短歌集』

    • 494本

    このマガジンの記事は『#サーチして短歌ツイートすぐできる枡野浩一全短歌集』一本のみです。あとの記事はおまけで、増えたり減ったりします。

最近の記事

福田和也さんを悼む 

池上晴之(いけがみ・はるゆき) 2024年11月1日発売の『ザ・バンド 来たるべきロック』の著者、池上晴之さんが、去る9月20日に急逝された文芸評論家の福田和也さんを悼み、福田和也さんとの想い出を語ります。 ─────────────────────────────────  福田和也さんが昨夜亡くなったという報せが届いた。  ぼくが最初に福田さんに会ったのは大学三年の時だった。その時すでに福田さんは伝説的な人だった。噂ではジャケットにネクタイを締めて、銀座の資生堂パーラ

    • 雪舟えま『地球の恋人たちの朝食』特典&サイン本取扱店

      【購入者限定特典つき書店様】ジュンク堂書店池袋本店(東京都) ★ジュンク堂書店池袋本店限定「まみからの手紙」ペーパー 著者の雪舟えまさんが「現在のまみ」から「あの頃のまみ」へのお手紙を書き下ろしてくださいました! ★装画ポストカード ★サイン本取扱あり ★刊行記念フェア開催中 紀伊國屋書店新宿本店(東京都) ★紀伊國屋書店新宿本店限定書き下ろし短歌ペーパー 著者の雪舟えまさんが、『地球の恋人たちの朝食』のキャラクターに寄せた短歌10首を書き下ろしてくださいました! ★装

      • 【試し読み】池上晴之『ザ・バンド 来たるべきロック』 「第一章 どうしてぼくは「ザ・バンド」を聴いているのか」

        2024年11月1日より、元編集者で批評家の池上晴之さん初の書籍『ザ・バンド 来たるべきロック』を発売いたします。 刊行を記念して、本書の「Ⅰ いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう 第一章 どうしてぼくは「ザ・バンド」を聴いているのか」を無料公開いたします。 【書籍概要】 ルーツ・ロックやボブ・ディランのバックバンドというイメージを覆す、日本初の本格的ザ・バンド論。 【書籍概要】ルーツ・ロックやボブ・ディランのバックバンドというイメージを覆す、日本初の本格的ザ

        • 擬タイ日記 第2回

          mixiからメールが来た。 若いひとは知らない可能性もある、あのSNSのmixiだ。 連載タイトルにも入っているけれど、昔から割と「日記」をつけている。とはいっても「割と」くらいなので、継続的に毎日つけているなんてことはまったくない。衝動性の塊で、あらゆるタイプの「継続」が苦手な人間である。 日記を書くなんて行為はどだい向いていない。でも書かないといろんなことを忘れていくし、たんに自分の経験とか感情を書きとめておきたいという欲望もある。 結果、数ページとか何十ページとかだ

        福田和也さんを悼む 

        • 雪舟えま『地球の恋人たちの朝食』特典&サイン本取扱店

        • 【試し読み】池上晴之『ザ・バンド 来たるべきロック』 「第一章 どうしてぼくは「ザ・バンド」を聴いているのか」

        • 擬タイ日記 第2回

        マガジン

        • 浅生鴨の短編Z
          初月無料 ¥640 / 月
        • 池上晴之 『ザ・バンド 来たるべきロック』
          2本
        • おしらせ
          5本
        • 擬タイ日記
          2本
        • 『#サーチして短歌ツイートすぐできる枡野浩一全短歌集』
          494本
          ¥1,000
        • 「ウェイリー版源氏物語」
          3本

        記事

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖2

          2024年9月、NHK「100分de名著」にウェイリー版源氏物語が取り上げられました! 放送を記念して、毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」第1巻より、「夕顔」帖から一部をご紹介します。 門から敷地内に乗り入れ、玄関前の欄干に横付けすると、馬車に乗ったまま部屋の準備ができるのを待ちます。ウコンは終始素知らぬふりをしていましたが、内心で、マダムのかつての逃避行と思い比べていました。先刻から、この新しい恋人に管理人が最敬礼しています。この方が誰なのか、ウコンに

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖2

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖1

          2024年9月、NHK「100分de名著」にウェイリー版源氏物語が取り上げられました! 放送を記念して、毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」第1巻より、「夕顔」帖から一部を紹介します。 ゲンジが、秘かに六区(ロクジヨウ)の女性[註1]のもとへ通っていたころのことでございます。 パレスからの帰り道のある日、昔の乳母(めのと)を見舞おうと思いつきました。この乳母はいまでは尼僧となり、もう長いこと重い病気に伏せっていたのです。住まいのある五区を尋ね回り、ようやく

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖1

          ところで、愛ってなんですか? [第8回]

          起きている時も、夢を見ているのかもしれない。ドラッグストアの光や交差点のクラクションにかき消されているだけで。 いつもは見えなくなっている昼間の夢。それが、あるきっかけで現実よりもはっきりと浮かび上がることがある。鍵を鍵穴に差しながら、郵便物をより分けながら、目の前のできごとが遠のいてゆき、別の世界が映し出される。 好きな人、ただその人のことを思ってしまうのだ。 思ってしまうんだから仕方がない。暑ければ汗をかくとか、走れば心臓が速く拍動するとか、そういうのと同じ。自分では止め

          ところで、愛ってなんですか? [第8回]

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「桐壺」帖

          2024年9月、NHK「100分de名著」にウェイリー版源氏物語が取り上げられました! 放送を記念して、毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」第1巻より、「桐壺」帖の冒頭を公開します。 「Kiritsubo キリツボ」 いつの時代のことでしたか、あるエンペラーの宮廷での物語でございます[原註1]。 ワードローブのレディ(更衣)、ベッドチェンバーのレディ(女御)など、後宮にはそれはそれは数多くの女性が仕えておりました。そのなかに一人、エンペラーのご寵愛(ち

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「桐壺」帖

          大和で盆ゴザ、アーコリャコリャ/町田康

           人違いで赤鬼の金平の一味と見做され、役人に追われた次郞長は尾張を逃れて水路、伊勢に趣き武蔵屋周太郎方に寄寓した。  武蔵屋周太郎と次郞長とは五分の盃を交わした兄弟分である。そこそこに力のある親分で伊勢では穴太徳(あのうとく)という人と結んでいた。だからそこに行けば安心に匿ってもらえる。ほとぼりの冷めるまでそこに居て、それからゆっくり清水へ帰れば良い、とこのように次郞長は考えていたのである。ところが。 「親分、ちーとばかしまずーござんすぜ」  と大政が言ってきた。 「なにがま

          大和で盆ゴザ、アーコリャコリャ/町田康

          【試し読み】瀬尾浩二郎『メタフィジカルデザイン —つくりながら哲学する—』「はじめに」

          2024年9月20日より、哲学カルチャーマガジン『ニューQ』編集長の瀬尾浩二郎さん初の書籍『メタフィジカルデザイン —つくりながら哲学する—』を発売いたします。 刊行を記念して、本書の『はじめに』を無料公開いたします。 何かを「つくること」と「哲学すること」。はたして、この二つの間には、どのような関係があるのでしょうか。 また、その二つをつなぐ何かがあるとしたら、一体どのようなものなのか。もしくは、視点をぐっと遠くへ移動させて「つくること」と「哲学すること」を俯瞰して、一つ

          【試し読み】瀬尾浩二郎『メタフィジカルデザイン —つくりながら哲学する—』「はじめに」

          ところで、愛ってなんですか? [第7回]

          この店をオープンした日を思い出していた。 たいていの場合、店を始める前には計画を立てるのだろう。いつまでに何がどれくらいどんなふうに必要なのか。 でも私はすべてが行き当たりばったりだった。ひかる看板も、開店してから買いに行ったのだ。計画性がまるでない、というより、未来を決めてしまうのが怖かった。映画の予約を取りたくない。旅行の行き先を決めたくない。私の未来が、私によって規定されてしまうことを、極端に恐れていた。 反対に言えば、未来を定めないことを、異常なまでに愛していた。 恋

          ところで、愛ってなんですか? [第7回]

          人違い/町田康

           保下田の久六は最終的に一の宮多左衛門と和解した。  和解と言うと、裁判所で裁判官に決めてもらったように聞こえるが、当然、そんなことではなく、大きい宿屋を借り切って、仲裁人が間に入り、方々の親分が証人として集まり、盃ごとをして、向後は争わないことを誓約する。  もしこの誓いを破ったら、その時は集まった親分全員が敵となるのである。  次郞長は安政三年正月に行われたこの手打ち式に、久六側の付添として列席した。  そして手打ち式が終わったらもう尾張に用はない。久六は次郞長に、 「

          ¥200

          人違い/町田康

          ¥200

          夏休みに新しいことや勉強を始めたい人、必見! 左右社おすすめ語学書5タイトル

          夏休みに新しいことを始めたい人、語学を勉強しようと思っている方、必見です! 左右社より、ぜひオススメしたい語学書を紹介。語学に限らず、勉強や新しいことを始めるモチベーションを上げてくれること間違いなしのタイトルを揃えました。 *タイトル、画像をクリックするとAmazonページに移動します。 英語を勉強したい人、必読! 新井リオ『英語日記BOY』 お金をかけずに英語をマスターしたい人、海外で活躍したいと考えている人、まずは「英語日記」をつけることから始めませんか? LINE

          夏休みに新しいことや勉強を始めたい人、必見! 左右社おすすめ語学書5タイトル

          ところで、愛ってなんですか? [第6回]

          風は相変わらず強い。 風は目に見えない。それなのに確かにそこに存在して、人を撫でたり、屋根を壊したり、海に波を立てたりする。 愛も目に見えない。愛はどんな形の手で人を撫で、肉体や心に波を立てているのだろうか。あるいはどんな温度の手で。 「恋人をふってしまったんです」 そう言って表情を失ってしまった彼女に、冷たくした水道水を出した。ここは、BAR〈愛について〉。BARといってもジントニックもシャーリーテンプルも用意していない。 「どんな理由で?」 「嫌いになったわけじゃない

          ところで、愛ってなんですか? [第6回]

          次郎長はなにかあっても久六を応援する/町田康

           安政二年十一月、八尾ヶ嶽宗七改め保下田の久六より次郞長の許に手紙が届いた。急ぎ封を切ると、  お元気ですか。実は一の宮の太左衛門とまた喧嘩になりました。現段階では向こうの方が人数が多いです。此の儘では負けてしまいます。それはとても嫌なことなので、至急、応援しに来てください。ではまた。                           保下田村 久六拝  長五郎様玉机下  と書いてある。次郞長はこれを鼻に押し当てた。大政が来て言った。 「親分、手紙は久六さんからでしょ

          ¥200

          次郎長はなにかあっても久六を応援する/町田康

          ¥200

          ところで、愛ってなんですか? [第5回]

          風が強い。季節が変わるのだろうか。 それとも、何も変わらないのだろうか。 〈BAR 愛について〉の看板に電源を入れる。四角い看板をひからせているのは、私じゃなくて電気だ。私ができることはコードを抜き差しすること。それだけ。 愛だってそう。私は愛の悩みに答えてはいるけれど、本当は愛について何か知っているわけじゃない。でも、いつか愛に傷ついたことがあるから、誰かの痛みの深さやかたちを想像することができる。それだけ。 強風はすべてのものを街から追い払っていた。風の音はうるさいのに、

          ところで、愛ってなんですか? [第5回]