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[小児科医ママが解説] おうちで健診:「乳児湿疹」ってなに?アトピーとは違うの?おうちでできることはある?

「教えて!ドクター プロジェクト」の「乳幼児健診を知ろう!」にそって、解説させていただいている「おうちで健診」シリーズ。

前回は便秘についてでした。

今回からは、複数回にわけて、湿疹について取り上げます。

「最近、皮膚にぶつぶつができてしまって・・・」
「赤くなってきたけど、このままで大丈夫ですか?」

1ヶ月健診や3~4ヶ月健診で、皮膚のお悩みは、非常に多くご相談をいただきます。

この記事ではまず
「乳児湿疹ってなんなの?」
「アトピーとは違うの?」
「皮膚が荒れたときに、おうちでできることは?」
そんなことを見ていきます。

アトピー性皮膚炎について、また、そのほかの皮膚炎・皮膚トラブルについては、次回以後の記事で、おって見ていきますね。

今回の参考文献はこちら。

●UpToDate
"Skin lesions in the newborn and infant"
“Vesicular, pustular, and bullous lesions in the newborn and infant“
“Treatment of atopic dermatitis (eczema)”

●ほか、以前の「保湿について」の記事で参考にした、各種文献。


「乳児湿疹」はアトピーも含めて、色々な状態をひっくるめた言葉。


お子さんの皮膚トラブルを相談したときに「乳児湿疹ですね~」と言われた、という方も多いと思います。

が、「乳児湿疹」という言葉は、非常にあいまいな言葉です。

【”乳児湿疹” にふくまれる、皮膚トラブルの数々】

・皮脂欠乏性湿疹
・脂漏性皮膚炎
・汗疹(あせも)
・接触性皮膚炎(よだれかぶれ、おむつかぶれ もこの類です)
・アトピー性皮膚炎
・新生児頭部膿疱症
・新生児ざ瘡
・・・などなど。


上にあげたうち、とくに「アトピーかどうか」は多くの親御さんが気にされることです。

アトピーについては次回の記事でくわしく書きますが、アトピーかどうかの判断も、実は1回パッと皮膚の状態を見ただけではむずかしいです。

しかも「かゆそうで、乾燥している」皮膚は、健康な赤ちゃんでも、見られてもおかしくないです。
赤ちゃんの皮膚は薄く、皮脂の分泌や・水分の保持も、まだまだ発展途上ですから、仕方のないことです。

そもそも、生後数ヶ月の赤ちゃんが本当に「かゆがっているのか」という判断もむずかしいです。
単純に眠るときのクセで、目や顔の周りの皮膚をこするお子さんも、多くいらっしゃいます。

・・・というわけで、アトピーにかぎらず、赤ちゃんの皮膚トラブルの原因は山ほどあり、パッと見ただけでは、どうしても診断がつけられないケースが多々あります。

そんなときに、ひとまず「乳児湿疹」ですね、という言葉を使わせていただいているのが現状です。


どんな「乳児湿疹」にも共通するホームケアは「洗浄」と「保湿」!


なんだか「乳児湿疹」という言葉でにごしちゃってる感がでちゃいましたが、「乳児湿疹」という言葉でまとめるのは、悪いことではないんです。

というのも、どんな原因の「乳児湿疹」であっても、基本のホームケアは「①洗浄と②保湿」で共通しているのです。

まず①洗浄について。

「せっけんをつけたほうが良いかどうか」は、医学的に絶対どちらが良い!という根拠はないです。

詳しくは別noteに記載していますが、赤ちゃんは皮脂の分泌が過剰になることでも湿疹ができるので、皮脂をしっかり落としたい場合は、せっけんを使ったほうがベターです。

またせっけんの洗い残しも湿疹の原因になるので、しっかりと洗い流すことも大切です。


つぎに②保湿について。

塗る量や保湿の効果、ほかお風呂の回数などについても、医学的な根拠をそえながら、前回の記事にかいています。ここではポイントのみ再掲しておきます。

【赤ちゃんの肌ケア「保湿」のポイント】

●たっっっっっっっっぷり塗る
・塗ったあとに、ボディビルダーみたいにテッカテカになるくらい。
・保湿剤の量を増やしただけでも、改善する皮膚トラブルは多い
・塗る量の目安などは、過去noteにアップしています。

●「1日2回塗る」「風呂後にすぐ塗る」は、できればでOK
・「1日1回よりは、2回のほうが良さそう」「最低、週に2回でも効果があるのでは?」など見解はバラつきあり。1日2回は「できれば」でOK。
・お風呂後にすぐに塗ったほうがいいかも、見解がわかれているので、ムリせず。

●市販の保湿剤でOK
・医療機関で処方する保湿剤と、市販の保湿剤とで、効果に違いがあるかは、日本においては研究データが乏しい。
赤ちゃん用のものを中心に、親御さん・お子さんにとって、使用感が良いものがベスト。
・ベタッとした(軟膏やクリームなど)が肌につきやすいので、保湿の効果は高いが、汗疹(あせも)の場合、悪化する可能性もある。ローションも適宜、使ってOK。

●お風呂後はやさしく水分をふきとる
・ゴシゴシふく、というよりは、やさしくパッティングしながら、水分をふきとるイメージ。
・なお保湿「入浴剤」にはまだ十分なエビデンスはなし。


いかがでしょうか。

皮膚は目に見えやすいぶん、赤みなどのトラブルがあると、より気になってしまいますよね。
そんな中、原因がはっきりわからないと、余計にモヤモヤすることもあるかもしれません。


が、赤ちゃんのお肌のトラブルはどうしても、原因がわかりにくいこと。
でも逆に、どんな皮膚トラブルにも、共通して、おうちでできるケアがあること。

こちらが伝われば幸いです。

次回は、上でもちらっと触れた、アトピーかどうか問題について。

アトピーの診断基準・アトピーだとしたら治るのか・追加でできるホームケアがあるのか。そういったことを見ていきたいと思います。

(この記事は、2023年2月20日に一部改訂しています。)

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