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真剣トラべローグ 極東から愛をこめて。〜トルコショックからの回復旅行記その1〜 絨毯の変


実はトルコに行ってきた。実はっていうか普通に行ってきたんですけど、一年ほど前。この地への想いを咀嚼するのに随分時間がかかりまして、今ようやく己の眼を曇らせることなく、一、異邦人としてイスタンブール・トラベローグを記すことができるようになりましたので、筆を取りたいと思います。両世界の愛すべき人々、そして神たち精霊たちよ。これは極東の島国からやってきた矮小イエローモンキーの、ごくごく個人的なモノローグである。

この旅はそもそもが、玉ねぎ屋根が見てみたい、オスマン帝国のお料理食べたい!バザールでお茶買いたい!おしえてトルコ、アラビアンナイト~~ʕ•ᴥ•ʔ ってぐらいの漠然としたエキゾチシズムへの憧憬から始まったものでした。(言い訳はしません、だってまあ旅なんて結構な割合でそういうもんでしょう)思い立ってツアーを最初調べたんですがどうもイスタンブールのみの良いツアーが見つからず、仕方なくポルトガル(リスボン)との周遊パックにしました。特にこれといった理由があるわけじゃなく選んだリスボン。本屋で気づいた。おしゃれ旅ムック本の多さ&面出しの面積よ...!!うーんリスボン、愛され感がすごい。で、反面トルコ関連、が全体的になーんか情報うっすいんですわ~(おしゃれムック本ゼロ&地球の歩き方去年版のみ(入荷予定なし))。ていうかこの辺りでわたし、何かを察するべきでしたね。

ということで先にリスボン(ポルトガル)に入ったんですが、リスボンね...... もうなんつーかきれーいに角の取れた、大変ピースフルな愛されリゾート地でしたよ...。ぼーけーっと蛸の足くわえながら海辺歩いたり(蛸がうまい)イワシ食べたり(イワシもうまい)...の話は、まあただただ良い感じなだけなんで(照)機会があれば今度することにして。とにかくそんなヘブンスリゾートで数日過ごし、なかば産まれたばかりの天使ちゃん、のような無防備な状態でトルコ入りいたしました。

イスタンブール1日目

さてイスタンブール空港には現地のお迎え担当アフメドさん(日本語堪能)という方が来てくれていました。空港-ホテルの送迎だけなんですが、到着夜中(0時過ぎ)でいきなり現地タクシーは結構不安だったんでこのツアーオプションは嬉しかった。んで、実は夕飯を食べ損ねていたんで、お腹が空いており、試しに市内に深夜やってるスーパーはあるかと聞いてみたんです。そしたらアフメドさん、疲れてなかったら行きつけのロカンタ(食堂)に連れてくよ、などと言うのですよ。ちょっと大丈夫かなーとはもちろん思いましたけど、まあこの流れで変な展開はないだろーと(日本の旅行会社の契約ガイドさんですからね)、是非連れてってもらうことにしました。

で、無事ついた食堂。ここ、どうやらタクシードライバーのオアシスみたいな場所のようで、ざっかけない良い感じのローカル食堂でした。かなりわたし浮いてたとは思うんですけど、内装が絶妙にキッチュでひとり静かに興奮していました。

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ご存知世界三大料理の一つ、トルコ料理ですよ!!!正直ケバブとヨーグルトぐらいしかわからない。なぜ三大。ほぼ全体が赤茶色の煮込み景色を前にして今!今の所!まだわかりません!

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しかしあえてうっすら知識でニュートラルに挑みたい。きたれ、オスマンキュイジ~ヌ~!

決してアジアでもヨーロッパでもない、異国の匂いが充満した店内で、説明されてもほぼ想像がつかない料理(これは豆の煮込みとチキンの煮込みと言われたけれど私の知ってる豆の煮込みでもチキンの煮込みでもないしそれ以上は説明してくれない)をカウンターごしに形状でいくつか選び(現物見ながら先オーダー制)席に着いた。パンは無料で出てきます(大量)。

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そして頼んだ料理は今思えば「キョフテ」の煮込みでしたね。キョフテはトルコ料理の代表格でミートボールのことです。このスープはたぶんレンズ豆のスープだったんで調べたとこ、クルムズ メルジメッキチョルバス(え、)って名前のスープのようですわ。ガイドさんのご指示で現地の方々の習慣、ルッコラ+黄色い唐辛子レモン汁がけを齧りながらお料理たべる、を実践。なにその文化、よくわかんないけど好み。

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スープは酸っぱくてどろっとしている。ほんのりミントのような香りもする。出汁はそこまで感じない。何より暖かくて質量のあるものが胃に落ちる喜び~~ キョフテは羊肉ということはわかりましたがやはり香辛料の配合がまったくわからない味付け。でも美味しかったです。

ただ味付けは全体的に日本料理のそれとは、というかアジアとは根本的に加減乗除の概念が違う感じではありましたね。まだまだオスマンキュイジーヌ計り知れず。というより、異国の深夜ローカル食堂、謎のシチュエーションで正直味よりも楽しさ先行でしたのであしからず。しかもその上トルコ流のウェルカムなのだと言い張ってアフメドさん全部おごってくれましたよ...(合計たぶん500円くらいだけども)ほえ~~親日って聞いていたけど、なになにただの親切じゃない!一瞬疑ってごめんトルコ!ごめんアフメド氏!瞳はきらめき、ボスポラス海峡の星々のようだよ!

その後も何事もなく、ホテルまで無事送り届けてもらいましたよ。別れ際、感謝の気持ちをあらためて伝えると、せっかくだから明朝ホテルでおすすめスポットを地図に記しつけに行ってあげる、などと申し出てくれまして。仕事の行きがけだし、トルコ流のウェルカムだから何も気にすることはないと。えーーなんだか悪いよ!悪いけども!旅は何より出逢いだよね!てことで調子にのった私はすんなりトルコ流にお願いすることにしました。あははは。ありがとうシルクロード!こんにちはイスタンブール!!

イスタンブール2日目

さて翌朝、ホテルのビュッフェは簡素だけれど種類は多くて使い勝手良い感じです。生野菜とチーズとパンがメイン、あとはベーシックな卵料理。ああただ、あれですね。基本的にパンもチーズも卵も全て味がしないですね。テーブルソルト文化かな。あ、訂正します、ハムは顔が曲がるしょっぱさのものもありますね。あとふりかけ的な赤黒いものが野菜の横に数種ありますね。ゆかりみたいな味がする。ドレッシングは塩、酢、ヨーグルト!ふりかけ!意外と素材の国なのかな??あと酸味を結構大切にしていることがわかってきました。コーヒーはかなり濃くて粉っぽいです。トルココーヒーというやつですね。お茶の種類は20種類以上(リプトンティーバッグ)ありますね。とりあえずホテルのモーニングということで諸々の判断は保留にいたします。

tukey9のコピー

さてホテルロビーにアフメド登場。おはようありがとう。今日も瞳きらっきら。地図を拡げると次々とおすすめスポットに記しをつけてくれてます。ほわーん親切!

バザールに行きたいと伝えたら何が買いたいのか聞かれ(バザールは広大、エリアに寄ってジャンルに分かれているらしい)、売り場のすみで埃をかぶった、小粒だけれどぴりりとウィットの効いた最高にキュートでファニーなファンシー雑貨(お手頃値段)が欲しい、といったニュアンスの想いは全く伝えられる自信も度胸もなく、ごにょごにょ「ちいさな雑貨など...」とつぶやくと、ああそれならおすすめのお店を教えようと!え、何、今のでなんか伝わった...?とりあえずバザールを案内するねと。

えっ連れてってくれるの?えーと、ていうかガイドしてくれるの...?大丈夫だよ?ていうかお仕事大丈夫ですか...... と思ったけどまあバザール本当に迷路っぽいので、こうなったらそれもありかなと。トルコ式ウェルカムにあやかろうぞ。

バザールに行くまでの道中はかなーり帽子かぶったしゃべる猿とかが出てきそうな雰囲気ですよ~!町中が出どころ不明の香辛料と羊の匂い。高ぶる。

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向かったバザールは近場の一番有名どころ、グランドバザールという市場。数少ないガイドブックの情報からは熱狂と喧騒のエキゾチック市場のようなニュアンス伝わってきましたが、印象としては、お声がけ&キャッチ、モラル的にぎりぎりアウト寄りのアウトな地方商店街・お土産物売り場(ただしすごい繁盛してる)という感じでしたね。何せ、日本語飛び交う飛び交う。無視すると中国語になってその後韓国語になる。最終的には私も片言の中国語で叫び返すという混迷っぷりに、肝心の商品は、実はかわいい、これ単体で普通に売ってたら絶対買うレベルのものが、最悪のバイアスがかかって絶対に騙されてやるものかこのジャファーの末裔が...に陥ってしまった。お値段的にもかなり安かった気がするけれど、あの中で気力が削がれてしまった。己の愚かさよ。くやしい。目覚めよ商人の血...呼び覚まされしソロモン王......!!(適当)

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などと己を呪っていたら、アフメドさん(わすれてた)が雑貨屋に案内するよと。すぐ近くだよと。ああそうそう、それがあったよ!え、案内するよてバザール内じゃないの?え、徒歩20分(小雨)て結構だね??(ていうかお仕事は...?)と半ば躊躇し始めた時、わたしアフメドの瞳の中の星に鉛色の小さな点が生まれたのを見逃さなかったよ。実は15分くらいだし本当にせっかくだから親戚に是非紹介したいと。 あー知り合い!ご親族なのね? でもね、この後、市内ぶらぶらしたいからとりあえず場所だけ聞いとくよ、どういうお店か教えてくださいと言いますと、メインは大変上質な織物だと。

あ、織物、織物ってあれかな?絨毯...だね?(日本で買うとトルコ絨毯、畳一畳で100万くらいするものもありますね。まあ安くても数万の世界。)ええとね、絨毯は買わないの。小さな雑貨...は売ってるかな?と質問すると、先ほどと一転、もごもごしながら「小さいといえば小さい、買いやすい中ぐらいの織物もあると思う」。それは... それは小さい絨毯てことかな?中ぐらいのもある... 小さい絨毯と中ぐらいの絨毯てことだね!!!!

案内させてくれ、見るだけでいいと頑とゆずらぬアフメドの瞳のきらめきは、このあたりで深く強い鉛色に、限りなく灰色に近い灰色に淀み始めとりました。小雨と不必要な異国語セールス交流で若干疲労がたまっていた私は、ここぞとばかりに日本人流・丁寧に笑顔で受動攻撃的に、ここまでの感謝を伝え、そして強めのお別れをいたしました。ありがとうイスタンブールさようならボスポラス海峡の星...

道端におかしなお声がけ人種がたくさんいるのは知っていましたよ、異国を旅する身として。ただこの人旅行会社の契約業務中の立ち位置でしたからね。まさかとは思ったのですよね。ていうかいつから始まった?怒れる日本人やじま!調べられる日本人やじま~!震える指先で迷った挙句検索。 絨毯 詐欺 トルコ で出る出る体験談。「親切」「お茶をご馳走してくれる」「楽しい時間を過ごす」「何日間か観光に付き合ってくれる」「絨毯の話は最後まで出てこない」 あれ...これ私の話...?(泣)1.5日で終わって、そして強面の人など出てこなくてよかったです。絨毯ね。別にね、普通に生きていたらいつか、っていうかこの旅で買っていたかもしれないよ。素敵なじゅうたんトルコじゅうたん...ランプの神様...

どっぷり疲れたわたくしはとりあえず何を考えるでもなく、近場のロカンタ(食堂)にふらふら入り、一番近くで煮込まれていた、赤茶色い煮込みとらくだ色の煮込み、象牙色の煮込みを注文いたしました。よもやどれが何の肉かもわからん。気がつけばどこもここもあいつもこいつも羊の匂いだ...。

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たくさんの羊たちの亡霊よ、おぬしらの魂我と共に今ここに煮込まれり浄化せり...(混乱) いただきます。(羊の肉は入ってませんでした)

2日目後半戦につづくʕ•ᴥ•ʔ


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