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劇評

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主に石川県金沢市での、演劇・ダンスの観劇記録です。
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2024年7月の記事一覧

(劇評)吐かれる息が安堵となるように

(劇評)吐かれる息が安堵となるように

演芸列車「東西本線」『窒息』の劇評です。
2024年6月30日(日)15:00 金沢21世紀美術館シアター21

演芸列車「東西本線」による公演『窒息』(作・演出:西本浩明)は、現実に起きた「京都伏見介護殺人事件」を題材にしたフィクションの作品である。2006年2月、当時54歳の男が生活苦から、86歳の認知症患者の母親の首を絞めて殺害した。母を殺害後、男も包丁で自殺を図ったが未遂となった。男は承諾

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(感想)流れゆくすえの、濁り

(感想)流れゆくすえの、濁り

(以下、筆者Xより転記した文章に追記)

少し落ち着かなくしていて遅くなった感想を。6/29に劇団アンゲルス『にごりえ』鑑賞。樋口一葉の原作から多分それほど変えていないと思われ、言葉づかいに慣れずに話が追えないストレスを感じていたのだが、そもそもこの作品はセブ国際演劇祭への参加作品である。

日本語を理解してそこから何かを思うのではなく、眼前に繰り広げられる情景と音としての言葉の流れを、そのままに

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