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(感想)流れゆくすえの、濁り

(以下、筆者Xより転記した文章に追記)

少し落ち着かなくしていて遅くなった感想を。6/29に劇団アンゲルス『にごりえ』鑑賞。樋口一葉の原作から多分それほど変えていないと思われ、言葉づかいに慣れずに話が追えないストレスを感じていたのだが、そもそもこの作品はセブ国際演劇祭への参加作品である。

日本語を理解してそこから何かを思うのではなく、眼前に繰り広げられる情景と音としての言葉の流れを、そのままに感じ取ればいいのだ。動作や表情、その緩急から彼らが何を思い、なぜそのように言動するのか、思いをめぐらせることができる。

正確にその意図を読み取れていないとしても、はっとする一瞬を、それぞれに認めることができる、そんな芝居なのだ。

(追記)
芝居を観てふと思い出されたのが「つぎつぎになりゆくいきおひ」という政治学者の丸山真男による言葉だった。ここからは独自に芝居に引きつけて解釈するが、「する」のではなく「なる」、その「なりゆき」が「いきおい」増していく。それは水の流れのように止まることがなく、もしその「いきおい」が失われることがあれば、その時、動きを止めた水は濁る。

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