見出し画像

初めて「しなさい」と言われた

小学生の頃から
カウンセリングをさせて頂いている
Aさんは、Aさんだけでなく
お父さん、お母さんのカウンセリング
家族カウンセリングをしてきた。

Aさんは、東京で
大学生 生活を送るようになり
Aさんと私は会う機会は少なくなったが
お父さん、お母さんのカウンセリングは
継続的に行ってきた。

この家族に
想像もしていなかった事が起こる。

家族を大切に大切に想って
人生を歩んできた
お母さんが「がん」の宣告を受ける。

「がん」の宣告を受けてから
ご夫婦のカウンセリングをしてきたが
お母さんの「がん」と闘うには
“家族の支え”が必要だと思った。

Aさんは、大学で心理学を専攻し
実習も始まる手前で
とても忙しいことは知っていた。

Aさんは、自分が
小、中学生のときの
トラブルで学校に行けなかった時
カウンセリングを受けていて

自分のように
小、中学校で学校へ行けない
子どものサポートがしたいと

「カウンセラーになりたい」と
児童心理を専門に大学へ進み
優秀な大人になった。

これまでのAさんの努力や
夢が大切なことも
“今”が大事な時期なのもわかっている。

でも、大事な大事なお母さんを
支えることは“今”しかできない。

勉強は、いつからでも取り戻せるが
お母さんとの時間は
取り戻せない可能性があるし

やり残したことがあると
そのことはずっと心に残るから
今は、お母さんのそばにいて欲しいと思った。

電話で連絡をし
「お母さんのそばにいてほしい。帰ってきなさい
と、伝えたら飛んで帰ってきた。

お父さんの想いや私の想いが
伝わったんだと、とても嬉しく

先日、カウンセリングルームに
顔を出してくれたので
「良かった~帰ってきてくれたから安心した」
と伝えたら

「先生のカウンセリングを受け始めて
10年以上が経つけれど
先生が初めて『帰ってきなさい』と
”指示的言葉”を使った。

だからびっくりして飛んで帰ってきた。

お父さんは
看病疲れで家のことが全然できてなかったし
お母さんは
今後の治療方針について悩んでいて
電話ではあまり聞いてあげられなかったから
本当に帰ってきてよかった」

と、帰ってきたという“選択”を喜んでくれていた。

それと同時に
先程の話の続き・・・・

先生が、初めて私に指示的な言葉
「〇〇しなさい」って言った。
『子どもの時から
先生は、いつも私に
「Aちゃんはどうしたい?」
「Aちゃんはどう思っているの?」
「Aちゃんはどう思うの?」
って私の意思を尊重してくれて

必ず私の気持ちを聴いてくれていたのに

初めて「帰ってきなさい」
って指示的言葉を言われて
ただごとじゃないって思った。

帰らなきゃって思った。

お父さんとお母さんに電話しても
Aさんには心配をかけまいと
お父さんもお母さんも
「帰ってきてほしい」とは言ってなかった。

でも、先生は
「帰ってきなさい」と。。。』

私は、Aさんに初めて
“違う言葉”を使ったんだ。

Aさんに言われてみると
確かに、私はいつも本人に
「できるか?できないか?」
「やりたいか?やりたくないか?」
確認しながら進めてきた。

先生は「どうしたほうが良いと思う?」と
Aさんに聴かれても
「自分がどうしたいか?」で決めようと
進めてきた。

それは、カウンセリングの基本であり
カウンセリングでは
「こたえは、その人の中にある」
考えているので

毎回、本人が選択し決断し
行動に変えていくのは当たり前のこと。

今回、とても嬉しかったのは
子どもの頃から受けていたカウンセリングの内容を
本当に良く覚えていて
私の言葉を
そんな風にすべて覚えていてくれる

子どもってすごい

カウンセリングルームで教えられることばかりだ。

子どもは、こちらが思っている以上に
大人のことを観ているし、聴いている。
全てわかっている。
感じる力が研ぎ澄まされている子どもたちを前に、
すべて見られていることを再確認した。

一つひとつの言葉
一つひとつの想いをもっと大切にしようと思った。

この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?