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ハロー!ジャパニーズメタル その11

デッドエンド(DEAD END)の「ブラッド・ミュージック」(BLOOD MUSIC)は、アルバム「シャンバラ」(shámbara)におさめられた一曲です。

デットエンドは関西出身のハードロックバンド。1980年代より活動を開始しています。

デットエンドはジャパニーズメタルにゲームチェンジをもたらした巨人です。巨人っぷりを3つの特徴からお伝えします。

①バンド全体のビジュアルの非統一性

メンバーの衣装の好みはバラバラです。例えば、ヨーロッパのハードロックギタリストが身につけそうな衣装のとなりに、グラムロックの影響を受けたセクシーなベーシストの衣装が自然にスチール写真におさまります。メンバー全員がジーンズとTシャツという衣装とはまるで異なります。


②アルバム毎にサウンドテイストが違う

メジャーデビュー後の1枚目はハードロックサウンド、2枚目はサイバーハードロックサウンド。インディーズ時代のアルバムはパワーメタル的。どうしてこんなに違うのか。テイストが変わっても、感情的な猛反発せずファンは受けいれる、もちろん諸説有りです。

③日本語なのに歌詞の内容がつかみがたい

アルバム「シャンバラ」におさめらた曲の歌詞を恣意的に抜粋してみます。「ばらばらの肉体が宙ぶらりんになり」、「輪廻の蛇」と歌詞を断片的にすくってもそれが何なのかイメージできない。にもかかわらず最高のサウンドだ!とファンはついていく。

ビジュアルの有機的非統一・サウンドの変動幅の大きさ・歌詞が指し示すイメージのしがたさ、どれをとってもデットエンドはジャパニーズメタルの何かを根本的に変化させたと思いますがいかがでしょうか?

至宝の一曲「ブラッド・ミュージック」

曲はスローテンポからはじまる。ベースとドラムのリムショットによるド・ド・ドを繰り返す。鼓動をイメージさせる。ワクワク感はまるで無く、とても乾いたサウンドです。

次に異常に歪みきったギターが加わりフレーズを奏でます。極めてノイジーでジリジリする音です。


鼓動から発生するノイズが充満しつくしたところで爆発したかのような張りのあるドラムプレイが起こりイントロから歌につなげます。

Aメロがはじまり歌が聞こえますが、歌詞の意味はつかみがたいです。サビに入っても、Bメロでも同じです。共感すること/されることを拒絶。歌詞の世界もイメージするのがやはり難しいです。

ベースの音は硬質でよく歌う、ドラムは張りの効いたスネアの音を軸にビートを築く、ギターは自在。ピッキングハーモニクスを使って随所にボーカル以上のシャウトを効かせる。

いま聞き直しても80年代らしさを感じることなく、現代のサウンドです。アルバム全体に視野を広げてみても、たいてい数曲は時代の洗礼を受けて古びますが、それが無いと思います、もちろん諸説有りです。

至宝のこの曲が扱ったのが外側というよりも内側のこと、もっと言うと内省的な状況を演奏していることも起因しているとは思います。

ジャパニーズメタルで「自己とは何か」扱っています。それをブラッドのレベルで、です。自己の問題はいつの時代になっても消えないと思います。

デットエンドは時代を超え続けていると思いますがいかがでしょうか?ゲームチェンジャーの影響力の深さを感じます。いまをもってしても、こうだと断定できない。


デッドエンド「ブラッド・ミュージック」(BLOOD MUSIC)、アルバム「シャンバラ」(shámbara)の一曲

ハロー!ジャパニーズメタル
シティポップが海外から注目されています。70年代後半から80年代の日本のポップス音楽です。特徴は都会的な雰囲気です。
同時代に流れた音楽にジャパニーズメタルがあります。特徴は世界を目指す音楽です。こちらだって起源はイギリス、アメリカで洋楽志向。ブルース、ロック、ハードロック、ヘビーメタルと様式起源は異なるけれども、同じように日本語に乗せるのに苦労している。ジャパニーズメタルの至宝の曲をどうぞ。


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