■ハマス対イスラエル戦争について - その5 : 平和実現のための実効的国連決議の試案・私案

■ハマス対イスラエル戦争について - その4 : 平和実現のための実効的国連決議の試案・私案
その1 -> https://note.com/sawataishi/n/n69a628d04754
その2 -> https://note.com/sawataishi/n/n1e657ab15199
その3 -> https://note.com/sawataishi/n/n47e37db9eb10
その4 -> https://note.com/sawataishi/n/n4eabc0e3545e
その5(本文章) -> https://note.com/sawataishi/n/n1c2c3e019e33

▼はじめに
 パレスチナ国民、イスラエル国民、そして世界にとって破滅的な第五次中東戦争を回避するために必要なことは自明なのに、それが実施される見込みはほとんどないように見えます。タイムリミットが近づいてます。
 イスラエル地上軍のガザ侵攻をなんとしても防がねばならない。アメリカが戦闘一時停止決議に反対したことで、もはや手遅れと決まったかもしれないが、2人の人質が解放されたことは良い方向への感情的契機をもたらすかも。
THOMAS L. FRIEDMANによる
Israel Is About to Make a Terrible Mistake
(10/19)に完全に賛同します。お読みください
https://www.nytimes.com/2023/10/19/opinion/biden-speech-israel-gaza.html
彼は主張します。イスラエルは人質解放に焦点を絞り、再度のガザ占領をしてはならないと。もしいすらえるがどうしてもそれをするならば、ガザとヨルダン川西岸を領土とするパレスチナ国独立の約束が実現してこそと。彼の悲痛な最後の言葉を引用します
The hour is late. I have never written a column this urgent before because I have never been more worried about how this situation could spin out of control in ways that could damage Israel irreparably, damage U.S. interests irreparably, damage Palestinians irreparably, threaten Jews everywhere and destabilize the whole world.
I beg Biden to tell Israelis this immediately — for their sake, for America’s sake, for the sake of Palestinians, for the sake of the world.

▼パレスチナ国とイスラエル国の平和共存のための国連決議(私案/試案)
(しばらくは前置きとなりすみません)
 私はいろいろと今回の戦争について書いてきました。私の文章を読んだ方(おそらくせいぜい5人)の少なくとも半分以上はイスラエル・ユダヤ寄りに過ぎると感じたことでしょう。見えているように、私は中立ではありません。ただし、「中立」が望ましいとは全く思いません。
 中立には主として二種類あり、両極端について表現します。

i) パレスチナとイスラエルのどちらについてもこれまでの人生において大して関心が無かった人の「冷淡」かつ「客観的」な中立 - どちらに対しても愛が無い
 この範疇の人達の言説は、ハマスによる蛮行が報道で莫大ならば、ハマス非難こそ中立的客観的に当然とみなし、逆にイスラエルの蛮行が報道で勢いを増したら、イスラエル非難が中立・客観的だと自らを見做す。つまり、立場が無い。フラフラするのみ。そんな人達を私は全く批判しません。99%の地球村住民はそうでしょう。何の問題もありません

ii) 両者の争いに関して長年にわたり心を痛め、勉強してきた人の結果としての中立 - 両者への愛あり。両者の言い分を理解し、同情する、和解を仲介したい。どちらか一方が圧倒的に正しいとは思えない。平和共存を心から願う

 私はユダヤ・イスラエルの歴史を15才(今61才)の頃から書物で勉強してきてますから、絶対に中立になれません。末尾に記すようにイスラエルの地を訪問した時、ユダヤとパレスチナの人と直接にふれ合ったことがあり、遭遇した両民族のどちらも生で好ましく感じました。だから、自分の立場というか気持ちは「両立」なのです。客観的にはそう見えないでしょうが、少なくとも感情は「両立」です。親ユダヤ AND 親パレスチナ(アラブ・イスラム教徒)、「両立」の立場なのです。自分の感情/思考/意思が一致して「両立」を私の心(heart)が私の精神(mind)に命じています。まずは両国の併存(パレスチナ独立!)、次ぎに平和共存を願います。
 中立ではなく「両立」とは具体的にどういうことか? 私がイスラエルに求めること、そして、自分が提案する国連決議の内容を記します(最初の方で求めるの主語が私であることに、無力な自分は恥ずかしいのですが・・)

  1. 私はオスロ合意を基礎としてのパレスチナ国承認をイスラエルに求める

  2. 私はイスラエルに対してヨルダン川西岸の入植地からの全面撤退を求める

  3. 私はイスラエルに対して、一方的戦闘停止を求める

  4. 1 ~ 3 が実現するためには、アメリカ、ロシアなどの拒否権を有する国連安全保障理事会常任理事国が一致して、パレスチナ自治政府 AND イスラエル AND アラブ・イスラム諸国に以下の諸項目を要求する決議を成立させねばならない

a. イスラエルに対して 1 and 2 の内容を宣言することを求める
b. 自治政府に対しては、1 and 2 をイスラエルが承認するならばイスラエル国の生存権を再確認すると宣言することを求める
c. イスラエルはパレスチナ自治政府が b の宣言をした直後に、戦闘を停止すると宣言する
d. 近隣のアラブ・イスラム諸国に対しては、a, b, c の宣言がなされたらば、イスラエル国の生存権を認めると宣言することを求める
e. aからc の宣言が実現した直後に、イスラエル以外の関係諸国は一致してイスラエル国の生存権を認め無い民間武装組織に対するいかなる態様の支援も中止すると宣言する。ただし、イスラエルがパレスチナ国民に対してこれまでのような軍事的・行政的攻撃を再開したり、イスラエル民間人によるパレスチナ人迫害の再開をイスラエル国家として鎮圧・処罰しないならば、イラン等の諸国政府の権利、すなわち「イスラエル破壊を求める民間団体」に対する援助再開の権利は留保されるとの但し書きも宣言に追加されねばならない
  ※以上の諸宣言は単なる言葉であるから、実効的ではない。
   それからが平和構築のための交渉となる。
f. 上述の諸宣言が実現した直後から、イスラエル、パレスチナ自治政府、アラブ連盟諸国 and イラン等の代表による「パレスチナの平和実現委員会」(仮称)を創設する準備を開始する
 ※アメリカ、フランス、英国の代表が参加するとしたら
 議決権なしのオブザーバーでなければならない

▼おわりに
以上、私見を記しました。もう少し解説せざるをえないと思いましたので、更にまた。
 私の提案・試案の内容はややこしいと感じる方は多いでしょう。しかし、ややこしい内容には現実的な根拠があるのです。問題解決の条件というややこしい内容を決議が含まないならば、言い換えると「停戦のみ求める国連決議」をたとえ関係国・民間団体のすべてが受諾しても、速やかに戦闘が再開されるでしょうから。
 そもそものことですが、即時停戦が国連決議となること、アメリカがそれを求めるのが望ましいと思う人が大多数でしょうが、アメリカが拒否権を発動することなく国連安全保障理事会が即時停戦要求を決議しても、ハマス/イスラエル/イラン/パレスチナ自治政府にもほとんど作用しないと考えられます。何故ならば、イスラエル AND ハマス等の民間団体 AND 反イスラエル諸国は、今回の戦争こそ、``最終的解決''をもたらす端緒になるとみなし、全力で闘う覚悟を固めている、そうしつつあるからです。だから、戦闘の一時中止に諸勢力が一致して合意する公算はほとんどないと思います。
 イスラエルはハマス絶滅ないし無効化さえできたら、安全が確保されると信じ、そんなことができないことを半ばわかっていつつも「最終的解決」を目指すという内閣の「決定事項」にみずからとらわれてしまってます。ハマス絶滅は不可能 AND ハマス絶滅ができても問題解決とならないことどころか敵の質×量をを増やす結果となるとこと AND ハマス絶滅のためのガザ侵攻がイスラエル国にとって致命的になること - これらすべてをイスラエルの指導層の大多数ははっきりわかっていると思います。しかし口に出すことは勇気がなくてできない。ついこの前、日本国の指導層の大多数は対米戦争が日本の破局となることをわかりつつも勢いで断行したように、イスラエル政府はやろうとしてます。
 ハマス・イラン等にしても、同じ。イスラエル国絶滅という至高の目的、つまり「最終的解決」を今次の戦争により、その戦争拡大により実現できる公算が小さくないと判断しているようです。賭けに出ているわけですが、内心では戦争でイスラエルに勝てると計算により判断、確信しているわけではないでしょう。勢いがついているので、自らを止めることができなくなっていると思います。
 繰り返しを含みますが、言います。イスラエル国は今回の戦争において軍事的に最強であり、ハマス/イスラム聖戦機構/ヒズボラ等の民間団体が一致して対イスラエル戦争を断行し続けてもハマス等の目標であるイスラエル国殲滅はできませんし、ハマス等はそのことはわかってて、イラン等の参戦によ第五次中東戦争の勃発に懸けているわけです。ハマス等は博打を打っているが勝つ見込みはほとんどありません。どちらの勢力も勝利することはほとんどあり得ない。両者が疲弊して力つきたら、交渉などなしで、自然に戦争は収まり、戦争の種はそのまま残るので、その後また同じことが繰り返されましょう。
 更にまた同じことを言います。歴史を振り返ると、敵対する両国共に疲弊した時、第三国による仲介で「戦闘の一時停止」が実現したことが幾度もありましたが、両者とも一時停止は相手に勝つための準備期間とみなし、実際にそうしてきたために、戦闘再開が再開し、それから一時停止、再開、そして両者が極端につかれてなんとなくあいまいに戦闘事態はおさまることがありました。けども、戦争の種は生きているので、その後に戦闘再開。
 国連決議の中味についての提案・試案はイスラエルの譲歩から始まる内容です。優位にあるイスラエルが先に譲ることなくして、ハマス・イラン等が決議を受諾することはあり得ないと思います。イスラエルが先に譲ったのに、ハマス等がそれに対応して譲らないことは政治的に感情的に現実的に困難となりましょう。言うまでも無いことですが、劣勢にあるハマス・イランが先に譲歩する姿勢をみせるならば、イスラエルは要求を高めることとなり、最終的に決裂するでしょう。

 以下は、私事。参考となるかもしれません。興味ある方はお読みください

▼1996年のイスラエル訪問にて、ユダヤ人とアラブ人に生で接して両民族に好感を抱いた
 私は1996年夏、新婚旅行でイスラエルに。諸国民の正義の人々としてイスラエルが認定した杉原千畝(元リトアニア領事代理、Visa for LIFE)の記念植樹参詣など。妻がクリスチャンということもあり、ベツレヘムのキリスト生誕教会に行こうとタクシー運転手に依頼したところ、そこは危険なので途中までしか行けないとのこと。最悪歩いていけばいいと覚悟して、イスラエル人のタクシーに乗り、途中で降ろされました。それからタクシーをなんとか確保。もちろん運転手はパレスチナアラブ人、そして無事に教会に。キリスト教諸派(3つ?)が分割支配するのがその教会。私はキリスト教大嫌いでしたが、感じいるところ大でした。その日の夕方だったと思います。イェルシャライムに戻り、ユダヤ人とアラブ人が構成する楽団のコンサートに行きました。両民族の混合楽団の演奏・歌は心に響きました。私はそのイスラエル旅行で、ユダヤ人とアラブ人の多くと、ほとんど買い物だけですが、ふれ合いまして、両民族の誇り高い有様(目つき、仕草等から感じました)を感じ取り、旅人への丁寧な心遣いに感動しました。イスラエル旅行に行く前、私はユダヤ人は大好き、アラブ人については(私のように)「強情なところが宜しい」との気持ちでしたが、ごく少数のアラブ人にしか接しなかったのですが、アラブ人が好ましいとなりました。その経験があるのでイスラエルとパレスチナの「両立」が私の信条となっているのです。
 次回はアラブ・イスラエルの二千年前くらいからの歴史について記載するつもりです。

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