■ハマス対イスラエル戦争について: その2 【ハマスは何であり、何でないのか。アブラハム合意】
■ハマスは何であり、何でないのか。アブラハム合意
1 https://note.com/sawataishi/n/n69a628d04754
2 本文章 https://note.com/sawataishi/n/n1e657ab15199
3 https://note.com/sawataishi/n/n47e37db9eb10
4 https://note.com/sawataishi/n/n4eabc0e3545e
5 https://note.com/sawataishi/n/n1c2c3e019e33
6 https://note.com/sawataishi/n/naa200d46a412
▼基本のキ: ハマスとは何か? 何でないか?
国内の新聞・テレビだけ見ているのみではおそらくわかりません。少なくとも一冊の解説書を読まないと。ハマスはパレスチナ人主流派のPLOのやり方に反対して、1980年代に創設されました。エジプトのイスラム同胞団のように、社会福祉に力を入れたのでパレスチナ大衆の支持を集めました。もちろん、社会的弱者救済をしつつも、政治・軍事組織であり、資金源はイラン、カタールなどのイスラム諸国とガザ住民からの徴税。
ハマス指導部はユダヤ人憎悪で凝り固まっており、イスラム原理主義、つまりはユダヤ教とキリスト教はもとより、イスラム教以外のすべての宗教を地球から根絶する決意であり、ユダヤ人とイスラエル国に対する憎悪感情にブレはなく、宗教的義務だと思考・感情・意志が一致してます。
今回の蛮行開始後、ハマスのある人物の声明が公開されました。
このような内容
「イスラエルに対する今回の攻撃は始まりにすぎない。最終的には
ユダヤ教徒、キリスト教徒は地球からいなくなり、イスラムが
地球を支配する。」
このような信念はイスラム国(ISIS)、アルカイダ、イスラム戦線、ヒズボラ、イラン国の指導部に共通してます。彼/彼女らは異教徒の殺害は完全なる善だと認識しており、一国内の法律、諸国間の条約、国連憲章などはどうでもよいのです。
ハマスなどの狂信者組織及びイラン指導部は、自らを「全人類がイスラム教共同体ウンマに統合されるための道具」だと自覚しており、そのためには自己犠牲を躊躇しません。自爆テロが自己犠牲をものともしない覚悟の証拠です。イランはシーア派であり、ハマスはスンニー派であり、二派は千年以上対立・敵対してきてますが、反「ユダヤ人・ユダヤ教・キリスト教」では同志。
まとめます。
▽ハマスは何なのか
・アラブ人、イスラム教徒の困窮者を真摯に支援する社会福祉団体
・政治団体であり、なおかつ軍隊でもある
・ハマスもイラン政府の指導部も現実世界を直視できる政治団体ではない
・どちらも断固たる信念を有しており、イスラエル国の消滅という目標を
放棄することはほとんど全くあり得ない。
・どちらも、ヒトラーの国民社会主義(ナチズム)やマルクス主義のごとき
全体主義原理を基礎としており、理念を現実により修正するという
帰納法を採用してなく(できなく)、理念を現実より優先する姿勢。
理念に合わない現在の事実、過去の事実を消去する(本を燃やすとか
遺跡を破壊するとか)ことに躊躇しない。理念からして「客観的」に
敵対する人々(現実に敵対するか否かは関係ない)の殺害を義務と
みなし、実際に実行する
・どちらも、イスラエル国消滅は第一段階にすぎないとみなしており、
次はキリスト教徒消滅、最終的にはイスラム帝国・ウンマの成立が
目標。ただし、シーア派のイラン指導層は、ユダヤ・キリスト教徒
を消滅させたあと、スンニー派(サウジ、イラク等、人口では多い)
と戦争する覚悟を持っており、最終的にはシーア派の教義が
人類を統一すると信じていると私は確信してます。
▽ハマスは何でないのか
・暴力を好む団体では無い(手段としての暴力行使は、仕方ない場合にするのみ)
・パレスチナ人の代表では無い
※ヨルダン川西岸を支配しているパレスチナ自治政府のみが国連はもちろんのこと、イスラエルと圧倒的多数の諸国がパレスチナ人の代表だと認定している
・オスロ合意によるイスラエルとの平和共存を目指す団体では無い
▽したがって、イスラエルとハマスを同列に扱ってはならない
イスラエルはパレスチナ自治政府とのオスロ合意により、パレスチナが国として独立することを容認してます。それまでの間にエルサレムの地位とか、領土などの交渉が必要であり、極めて困難なプロセスとなりますが。イスラエルはパレスチナ人の生存権を認め、条件が満たされたらの独立国家創設を認めている。
相手の存在を認める勢力と認め無い勢力とが同一地域で一国を形成することは不可能であり、ハマスとイランはイスラエル国消滅後にパレスチナにアラブ人のみの国を創設するのが目的なので、話し合いの余地がないのです。そのような二勢力に対して、第三者の国は「お互い様だ。自制しろ」と言うこと、両者を尊重することは間違いなのです。人道的見地からして、相手の存在を認め無い勢力だけを非難し、そのような勢力が無くなるための政治的努力をするべきです。そのような勢力の消滅の手段としての軍事力は無効です。外交的、経済的にそのような勢力の兵糧を枯渇させる方法を実施することのみが求められます。
▽アブラハム合意とそれに至る道筋
話しを転じます。アブラハム合意のこと。その合意の意義を知るためには、ヘブライ語聖書からの引用がどうしても必要ですので以下に。
アブラハムの妻サライには子供が生まれませんでした。跡継ぎがいないのは宜しくないので、サライはエジプト人奴隷・召使いのハガルをアブラハムに差し出し、ハガルは妊娠。するとハガルはいい気になりサライに冷たくなった。サライは夫にハガルを追い出せと要求。しかたなく、アブラハムはあなたの好きなようにしろと。
//以下、聖書協会・共同訳聖書(2018)より引用
創 16:6 アブラムはサライに言った。「女奴隷はあなたのものだ。好きなようにするがよい。」サライは彼女につらく当たったので、彼女はサライの前から逃げて行った。
創 16:7 すると、主の使いが荒れ野にある泉のほとり、シュルへの道沿いにある泉のほとりで彼女を見つけ、
創 16:8 尋ねた。「サライの女奴隷ハガル。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」彼女が、「私は女主人サライの前から逃げているところです」と答えると、
創 16:9 主の使いは言った。「女主人のもとに戻り、そのもとでへりくだって仕えなさい。」
創 16:10 主の使いはまた言った。「私はあなたの子孫を大いに増やす。それはあまりに多くて数えきれないほどである。」
創 16:11 主の使いはさらに言った。/「あなたは身ごもっており、やがて男の子を産む。/その子をイシュマエルと名付けなさい。/主があなたの苦しみを聞かれたからである。
創 16:12 彼は野ろばのような人となり/その手はすべての者に逆らい/すべての者の手は彼に逆らう。/彼はすべての兄弟と対立して/暮らすようになる。」
創 16:13 ハガルは、自分に語りかけた主の名を、「あなたはエル・ロイです」と呼んだ。「私はここでも、私を見守る方の後ろ姿を見たのでしょうか」と言ったからである。
創 16:14 そこでその井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれるようになった。それはカデシュとベレドの間にある。
創 16:15 ハガルはアブラムに男の子を産み、アブラムはハガルが産んだ男の子をイシュマエルと名付けた。
創 16:16 ハガルがイシュマエルを産んだとき、アブラムは八十六歳であった。
// 引用終了
そして、アブラハム90才の時、なんとサライから子供が生まれイサク(アイザック)と命名されました。旧約聖書でとてもとても多く繰り返し記述されていることは、長男ではなく次男が相続すること。
イスラム教徒・アラブ人はもちろん、ユダヤ教徒もイシュマエルがアラブ人の始祖と認定してます。ユダヤ人とアラブ人は母は異なり父が共通する兄弟(長男はイシュマエル、次男がイサク)。4千年以上(3000年?)前にユダヤ人とアラブ人は共通の父アブラハムから別れて別々の道を歩みましたが、両民族は兄弟だということは認識しており、その基礎があるからこそ、いつかアラブ人とユダヤ人の和解はあり得続けてました。なんと、2020年に和解が始まったのです!!
(話しの流れから外れますがユダヤ人の罪が幾度も繰り返され、神が罰し、その後赦してきたことを少し記します→ ユダヤ人が神に背いたためのエルサレム崩壊・バビロン捕囚 AND 諸国への離散。その後ユダヤが悔い改めたことによるエルサレム再建・王国再建、ユダヤ人が待っていたメシア(救済主)こそイエス・キリストなのにイエスを拒否したことによる、西暦70年のエルサレム崩壊、そして決定的な離散(ディアスポラ)。自業自得!
クウェート、エジプト、アラブ首長国連邦、シリア、イラク等のアラブ・イスラム諸国民とその指導部は、長らくイスラエルを消滅させることを第一目標にしてきましたが、四回にわたる対イスラエル戦争で負け続け、そしてまたイスラエルが地球で最も技術革新が速く経済発展が著しいことを見続けた結果、現実を直視するようになってきました。イスラエル国の姿勢(平和共存)に共感するようにもなってきました。砂漠で水を生み出す技術をアフリカ諸国にほとんど無償で提供するなど、イスラエルの善行を見てきていることもあります。
結果、2020年のアブラハム合意(アラブ首長国連邦[UAE]とイスラエル国間における平和条約及び国交正常化)が実現しました。アブラハム合意はUAEのみか、バーレーン、スーダン、モロッコとイスラエルの外交関係設立につながりました。そして、アメリカ政府仲介でサウジアラビアとイスラエルの国交樹立が目前となってきてます。もちろん、ハマス・イラン政府はそれを断固として妨害したくて、今回の蛮行に踏み切ったことは既に自明とみなされている通りです。
以上。その3は、これから
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