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20代女性の【けんか絶えない両親】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、相談者が「けんかの絶えない両親に振り回されている」事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#178

 20代の女子学生。実家で暮らしていますが、最近、両親のけんかが絶えません。私に飛び火することもあり、悩んでいます。

 父はモラハラ気質で、何か気に入らないことがあると、すぐ母にあたります。母も何度かは我慢しますが、そのうち耐えられなくなり、爆発します。しかも、もう済んでいるはずの昔のけんか話を持ち出してくるので、火に油を注ぐ感じです。私も耐えられず、友達の家に逃げようと思っても、母は「嫌なことから逃げるんだね」と言います。

 なぜ、親同士のいがみ合いに私まで付き合わされなければならないのでしょうか。2人が冷静に話し合いで解決しているところを見たことがありません。だいたい父がふてくされながら謝るのがオチです

 お互い考えることを放棄して、どなり合うことでしか解決できないのが、見ていて大人げなく、これが自分の親なのかとつらくなります。もう限界です。私はどうしたらいいでしょうか。(神奈川・S子)

(読売新聞2022年10月2日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者が話したい「困りごと」を受けとめ、まとめると

・実家で暮らしているが、最近、両親のけんかが絶えず、自分に飛び火することもあり、困っている。

・けんかに耐えられず、友達の家に逃げようと思っても、母が「嫌なことから逃げるんだね」と言い、困っている。

・お互い考えることを放棄して、どなり合うことでしか解決できない両親が、自分の親なのかとつらくなり、もう限界で、困っている。

▶︎「困りごと」を「願いごと」に転換して、話してもらうと

・両親のけんかが絶えず、自分に飛び火し、逃げることもままならない。どなり合うことでしか解決できないのが、自分の親なのかとつらく、自分としてはもう限界という状況において、自分はどうしたらいいのかを知りたい。

▶︎ 相談者の「困りごとのパターン」を考えてみると

  • 願いごとが不明確

  • 相手(けんかの絶えない両親)に振り回されている


🚩 ①相手の困りごと、願いごとの話を受けとめたうえで、 ②次の質問や展開をしてみること、を考えました

・まだ、学生の身であるのに、親同士のいがみあいに付き合わされて、大変な目に合われているということですね。

・ちょっと変わった質問かもしれませんが、もし、あなたが、今の状況で、何の制約(お金や、両親の考え方や行動、その他の制約)もなく自由に行動できるとしたら、ご自身がどのような状態になることを望んでいますか? あなたにとって、10点満点で、10点の状態とは、どのようなものですか? いろいろな方向から考えてみてください。

・もし、あなたとお母さんの二人の間で、お母さんに何でも言えるとしたら、どんなことが言いたいですか? また、おかあさんとの関係は、今後、あなたとしてどのような関係でありたいのですか?

おかあさんに、「あなたがいることで、ふたりのけんかにどのような影響があるか」を聞いてみたら、おかあさんはどう答えるでしょうか。「火に油を注いでいる」とか、「あなたのおかげで、もっとひどくならずに済んでいる」とか、どのようなことを言われそうですか?

・また、もし、あなたとお父さんの二人の間で、お父さんに何でも言えるとしたら、どんなことが言いたいですか? また、お父さんとの関係は、今後、あなたとしてどのような関係でありたいのですか?

そして、お父さんに、「あなたがいることで、ふたりのけんかにどのような影響があるか」を聞いてみたら、お父さんはどう答えるでしょうか。「火に油を注いでいる」とか、「あなたのおかげで、もっとひどくならずに済んでいる」とか、どのようなことを言われそうですか?

・子供の目の前で、両親がけんかをし、それを子供に見せることは、子供に対する一種の精神的なハラスメントにも当たると思います。

また、両親のけんかは、両親の責任で解決すべきものであり、両親のけんかの責任を、子供のあなたがとらなければならないということはないと思います。

・それはそれとして、一方で、あなたは、「3人の家族」が、今後どのようなものであってほしいと願われていますか?

また、あなた自身の、これからの経済的な自立や、精神的な自立、物理的な自立、将来のご自分の人生をどうしたいと願われているのでしょうか?

・あなたの選択肢として、もし、望むのであれば、両親の架け橋となって、なんらかの仲裁役の役割を果たすことを試してみる、そのための必要なコミュニケーションの学びをしてみる、ということもできるかもしれません。

そのようなコミュニケーションの方法をあなたが身に付けることができたら、ご両親との関係だけでなく、これからの将来において、あなたはとても大事な人間関係とコミュニケーションの知識と技術を身に付けることになり、未来に向って、いろいろなところで役立てることもできるでしょう。

一方、そのような仲裁役は、必ずしもうまくいくかどうか分りませんし、今のあなたには荷が重すぎる、ということであれば、両親との距離感(精神的、物理的、時間的な距離)を調整することもできるかもしれません。

例えば、学校やその他の場所での勉強時間を増やす、良い友達と交流する、アルバイトの時間を増やす、社会人になったときに必要なことを学ぶ、などの方法も考えられると思います。

それらの経験は、どれも、未来に向って、あなたにとって役立つ経験となると思います。

・また、両親の状況は、あなたにとって、将来に向けて、家族関係や、人間関係の貴重な「反面教師」としても役立つでしょう。

あなたは、どんな自分でありたいですか? ぜひ、思いつくことをいくつでも挙げて見てください。

・そして、「十分に自立できているあなた」であれば、今のような状況に、どのように対応できそうですか? また、そのような「十分に自立できているあなた」に成長していくために、今の状況は、どのようなきっかけにできそうですか? 

しんどいかもしれませんが、あえて、プラスの目で、未来に向う目で、あるいは、例えば、3年先、10年先の「未来のあなたの目で振り返って」、今の状況を捉え直してみてください。どんなことが見えますか?

「自立」のスピードが、促進されるかもしれませんね。

「未来のあなた」から、「今のあなた」にどんなことを言ってあげたいですか?

・また、あなたが、例えば、別居されれば、ご両親の関係に何か変化がうまれるかもしれませんね。ご両親が、あなたに甘えているということはありませんか?


✅参考:回答者(海原純子さん)の言葉です💖

 両親の夫婦げんかをみせられるのは本当に嫌ですね。「なぜ親同士のいがみ合いに付き合わされなければいけないのか」というその言葉をはっきり両親に伝えましょう。「自分の親なのかと思うとつらくなる」と付け加え、「夫婦げんかをみないという権利と、そこから去る権利があるから、友人の家に避難します」と、おっしゃってはどうでしょうか。

 親しく、信頼できる大人、たとえば親戚や大学の教授などをみつけて、ふだんから相談しておいたり、友達とも悩みを共有したりしておくことも必要です。

 家族の問題や悩みを外部の人に話すのは恥というような風潮がありますが、うわさ話などをしない信頼できる第三者を味方にしておき、サポートしてもらうことで気持ちを楽にすることができるものです。

 いずれにしても親に遠慮せずに、「ただどなり合うだけの親の姿は見ていて情けない。大人とは思えない」と、はっきり伝えてください。そうすることで、親があなたに否定的な発言をするならば、心の中で「親との縁切り」をなさる必要があると思います。

(読売新聞2022年10月2日)

💟新聞の人生案内の回答は一種のティーチングに当たると思います。「本人から本人の答えを引き出す対話」としてのコーチングとの違いがよく分りますので、コーチングが、より社会に認知される一助になればと思います。


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

              😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たすと幸せ感が増ず基本的欲求(ニーズ)

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい。人間関係、結びつき、親密、メンバーの一員など)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい。コントロール、達成、競争、影響力など)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい。自立、移動、選択、創造など)

  • 楽しみの欲求(楽しみたい、学びたい、追求したい。面白い、喜び、笑い)

  • 生存の欲求(生存に必要なことを満たしたい。安心、安全、健康、生殖など)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理 
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・効果的な行動を選択するために、「自分が満たせていない基本的欲求(ニーズ)が何か」を、自分に問いかけましょう。

・自分の行動について、「自分はこの行動を選択している(他の行動も選択理論できる)」というひとり言を口癖にしましょう。

🌻 選択理論の第2の原理 
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わることを決める」と考える)

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・相手の外的コントロールに対する自分の抵抗や逃避も、そして、「自分」の気分や感情、生理反応、症状なども、「自分で自分を守るための精一杯の行動」なのだと捉えて、受けとめましょう。

・同じ行動をするなら、いやいやでなく進んで行動をする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。

🌻 外的コントロールをやめて、人間関係を近づける
・「自分の正しさを押しつけると相手は反発するか逃げる」、「相手の考えを受けとめると相手は近づいてくる」ということを理解しましょう。

・いやがる相手を変えようとしても、相手の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・(本人を外側から変えようとして)相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・相手との関係が良くなると、こちらのリクエストも聞いてくれやすくなります。

・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いについて交渉する、などの行動です。

・「人間関係を害する行動」をやめましょう。具体的には、強制する、批判する、責める、脅す、文句を言う、ガミガミ言う、罰を与える、ほうびで釣る、などの行動です。

🌻 「一番気になる人間関係」に気づいて、関係を改善する

・「今、自分が1番気になる人間関係の相手は誰か」を、自分に問いかけましょう。

・「2番目に気になる人間関係の相手は誰か」を、自分に問いかけてみましょう。

その人との現在の関係で、自分の基本的欲求(ニーズ)がどの程度満たせていないか、叉は、満たされているかを考えてみましょう。

・自分の中の大切な基本的欲求(ニーズ)が何かに気づいて、それを満たせる行動をとりましょう。

・自分の中の基本的欲求(ニーズ)が満たせるような相手の具体的な行動を、相手にとってくれるようにリクエストしてみましょう。

🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動や反応(抵抗、攻撃、逃避など)も、自分のと同じく、相手が本人のニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。

相手も、あなたとの関係で、相手の中のどのような基本的欲求(ニーズ)が満たせていないか、について考えてみましょう。

・相手の中の大切な基本的欲求(ニーズ)を考えてみて、相手がそれを満たせるように、「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し、支援しましょう。

・相手が相手の基本的欲求(ニーズ)を満たせるように、自分にリクエストしたい具体的な行動が何かあるか、を相手に聞いてみましょう。

 
🌻 自分の「現状(のステージ)の知覚と将来の願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入っていて)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。


🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、

そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。


🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・辛い思いをしている「自分」は、どうなりたい、本当はどうありたいと望んでいるのか、「自分」の心の声を聴いてみましょう。

・もし、第3者が「今の自分」の状況だったら、自分は「その第3者」の状況をどのように考え、どんなアドバイスをするかを考えてみましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・もし、自分の願いが実現したら、今とどう違ってくるか、そのときは、今と違う何をしているかを考えてみましょう。

🌻 現在とっている行動の自己評価と、これからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。

・「願いごとを実現するために、今、自分はどんな行動をとっているか」
「今している行動を続ければ、願いごとや欲求が満たされるだろうか」
という、自分の行動や状況についての「自己評価」を口癖にしましょう。

・「もし願いが実現したときは、今と違うこんな行動をするだろう」という具体的な行動を考えてみて、先どりしてやりましょう。そして、どんな変化があるかを見てみましょう。
 

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