J1第2節J2第3節J3第2節レビュー

皆様おはようございます、こんばんは、こんにちは。先週末にはJ1も開幕しましたが、いかがお過ごしでしょうか?

さてさて、先週末はJ2を1試合、J3を3試合観戦いたしました。早速その4試合分のレビューをしていきましょう(またタイトル詐欺してるし)。
水曜にはJ1もあるので今週から投稿間隔が狭まりそうですね。まあ、頑張りましょうw

1.石川啓人が出色の出来、今治はゲーム運びがもったいない

J3第2節
FC今治0ー1ロアッソ熊本
MOM:石川啓人(熊本)
記念すべき今治のJリーグ初ホームゲームになりました。かねてよりの大雨により残念ながら瀬戸内海は雲に隠れてしまいましたね。
しかし、そんな呑気なことを言ってられる場合ではありません。熊本県ではこの日、球磨川の氾濫により甚大な被害が生じました。そんな中でもアウェイの地でサッカーができるというのは、ひとえに関係する全ての方々の努力の賜物だと思います。被災された方々には心からお祈り申し上げます。
さて、試合の方はと言いますと、共に4バックでありながら、2トップの今治に対して熊本は前線に3枚を並べるより攻撃的なシステムでした。
前半を支配したのは熊本でした。これぞ大木サッカーと言いますか、後方でボールを繋ぎながらサイドのスペースを有効活用していく形。両SBも常に高い位置取りを続け、前線に人数をかけながら相手ゴールに迫っていきます。
特に左SBの石川啓人選手と前線の左に入った谷口海斗選手の関係性が非常に良かった。前節この2人で3得点をあげられた理由もわかってきます。
得点も左サイドからでした。石川が対面の玉城を外して右足でクロスを上げます。このクロスに高橋利樹が頭で合わせネットを揺らしました。高橋選手はこれがJ初ゴール。飯泉もついていたのですが、見事な体の入れ方でした。
石川の相手を外すタッチ、高橋の相手の前に入る入り方、どちらも素晴らしいものでした。
この後も熊本が試合を支配していきます。今治は相手の両SBが高い位置を取るためここを狙えればチャンスになるのですが、熊本のネガトラもカバーリングも素早く前半は全く好機を作ることができませんでした。
この状況を打破するため、リュイス監督が動きます。HTでCFの林を投入。彼を2トップの一角に入れ、CFスタートだった有間をサイドに移します。前線にタメを作れる林が入り、サイドにスピードのある有間が開いたことで、後半から今治が流れを掴み始めました。
これな対してすかさず大木監督も動きます。後半10分で上村に変えて伊東を投入。中盤でタメの作れる伊東が入ったことで熊本も流れを呼び戻します。
後半は互いに見応えのある試合運びでした。しかし、最後まで足の止まることがなかった熊本が今治の猛攻をしのぎきり、開幕2連勝を飾りました。
熊本は追加点こそ取れなかったものの、自信を深められる白星を手にしたことでしょう。一方、今治にはゲーム運びに課題が残りました。後半の戦いぶりを前半からできていれば間違いなく勝てていたはずです。ここは実に惜しかった。
MOMは左SBでフル出場した石川啓人選手を選出しました。両SBが共に高い位置を取る熊本にあって、彼らの運動量は戦術の要となる部分です。その中でフル出場、アシストも決めた石川は出色の出来だったと言って良いでしょう。非常に調子が良さそうでした。この先楽しみですね。
また、プレビューで名前をあげた注目選手は今日は得点やアシストなどの結果は残せませんでした。しかし、駒野、谷口、有間とみな良い動きはしていました。後は浅川選手に出番が欲しいですね。早く使ってくれ〜。

2.課題山積みの水戸と、してやったりの千葉

J2第3節
水戸ホーリーホック0ー3ジェフユナイテッド千葉
MOM:下平匠(千葉)
試合前からガルパンフルグラフィック痛ユニフォームを発売したりバックスタンドにガルパンビッグバナーをデカデカと掲載したり試合前からアニメオタクサポーター(オタサポ)を何かと騒がせていた水戸様でございます。が、しかし。試合前で全て力を使い果たしました。そのくらい試合内容は厳しいものでした。
共に4-4-2で臨んだこの一戦。今季志向する戦術的に、水戸が持ち千葉が守るという構図は大方予想されていたと思います。まあ、その通りの形になりました。ただ、結果は好対照でした。
この試合、1つ目のポイントは千葉の先制点です。高い位置でボールを奪ったカウンターから山下が沈めます。前半6分という早い時間帯でした。今の水戸が絶対やっちゃいけないことですね。これで千葉はまず引いてブロックを作って守り、奪ったら縦に早くカウンターという割り切った戦い方を貫くことができるようになりました。
対して水戸はこの引いたブロックを崩さなければならなくなりました。しかし、今の水戸に引いたブロックを崩す術は持ち合わせていませんでした。
とにかくスピードが遅い。パススピードじゃありませんよ。パス回しのスピードです。テンポが悪い、リズムが悪いとも表現できましょう。とにかく遅いんです。
あと、判断。判断も遅い。何もかもが遅いから千葉はすぐにスライドできるしすぐに対応できるんです。おかげで全然得点の気配がしませんでした。
これは明らかな課題ですね。
よく速攻と遅攻って言いますよね。水戸が今年取り組んでるのはこの遅攻です。とはいえ、ただゆっくり攻めれば良いわけではない。相手のブロックが崩れたときにはテンポやスピードを上げて素早く攻めなければすぐに立て直されてしまいます。そしたら、崩せるものも崩せません。
今年から本格的に遅攻に取り組んでる水戸に3節、しかも中断期間もあった中で千葉のブロックを崩せというのは難題かもしれません。ただ、これを超えられなければ成長できない。大きな課題を突きつけられました。とはいえ、早い段階で向き合うことになったのは、むしろ好都合と捉えられるかもしれません。
それにしても千葉の守備ですよ。流石に尹晶煥監督です。守備の整備が非常に上手い。カウンターも鋭かった。
田口と前線との関係性はまだまだなように見えました。それでもこの守備力があれば今年の千葉は一味も二味も違うでしょう。攻撃が噛み合えばもっと怖くなるはずです。
後半、水戸は元々攻撃的な選手の山谷を左SBに入れて、より前がかりに攻勢に出ます。ただ、こういうときに怖いのがセットプレーからの一発なんですよね。まさにその形から追加点を献上しました。
そして、攻撃的なカードを次々と切り、前線のシステムも変えて更に前がかりになる中で、終盤にカウンターから被弾。もう千葉がしてやったりという試合でしたね。
試合後、水戸の秋葉監督が会見で静かに怒りを発露していました。水戸は若手の多いチームです。伸びしろは十分にあります。秋葉監督と共にもっともっと崩しの質を高めてほしいと思います。
MOMはあえて下平匠選手を選びました。やはり水戸が攻めて千葉が守るという試合だったので、守備の選手を選出しようと思いまして。その中でデータを見て下平選手にしました。
というのも、彼のプレー指数が高かったからなんですね。まず、全エリアでのプレー回数がチームトップ。パス成功数チームトップ、成功率76%。アタッキングサードでのパス成功数もチーム2位で成功率は83%でした。
エリア別のプレー回数的に基本ミドルサードからディフェンシブサードでのプレーとなりましたが、アタッキングサードで9回のプレー回数のうち6本のパスを通していました。
守備ではこぼれ球奪取の回数がチーム2位の3度。そして、ブロック数がチームダントツトップの7回でした。
以上のような指数から、最後方で体を張りながらカウンター時には起点の1つにもなっていたということで下平選手をMOMに選出しました。
ちなみに、クリア回数では増嶋選手がダントツトップでチャンミンギュ選手が2位ということで彼らとも迷いましたが、攻守両面での指数を総合的に判断して下平選手にしました。
いやいや、この選手も良かったよ、なんて思う方もいらっしゃるとは思いますが。まあ、人によってどこを重視するかは変わりますし、独断と偏見なので色んな意見があっても良いかなと思います。それだけ千葉の選手はどのポジションも良かったのですよ、ええ。

3.今年の八戸はスペインサッカー?

J3第2節
ヴァンラーレ八戸2ー0いわてグルージャ盛岡
MOM:高見啓太(八戸)
プライフーズスタジアムと名前が変わってから初めての公式戦。今シーズン最初の南部ダービーは相性の良さを見せた八戸が勝利を収めました。まあ、正直相性以前の問題のようにも見えましたが。
この試合、八戸は4-3-3気味のフォーメーション、すなわち前節と同じシステムで臨みました。一方、岩手は4-4-2。これも前節と同じですね。メンバーは両チーム何名か変更はありました。
で、私が注目したのは八戸の戦い方。八戸がどんな攻撃をしてくるのかが非常に楽しみでした。さてさて、いざ蓋を開けてみると……。
率直な感想は「スペインサッカーっぽい」という感じです。プレビューでマジョルカに似てるなんて話しましたけど、マジョルカ云々というよりスペインサッカーっぽさを感じました。
まず、ピッチをワイドに広く使う点。WGがワイドに広がりSBも押し上がり、徹底してサイドを起点に仕掛けていきます。この日は左サイドからの攻めが多かった印象です。
で、この戦い方。パッと思い浮かんだのは鈴鹿のミラ監督っぽいな、と。JFL・鈴鹿ポイントゲッターズを率いるミラ監督はスペイン出身の女性監督です。就任にあたっては結構話題になりましたよね。彼女もピッチをワイドに広く使って攻めていく戦術をとります。私にスペインサッカーっぽさを感じさせたのは、この点ではないでしょうか?
更に、中口監督の面白いところは選手の配置にもありました。この試合、前半途中でインサイドハーフの村瀬選手が怪我により交代を余儀なくされます。すかさず切ったカードはDFの佐藤和樹選手。
おや?と思いました。佐藤和樹選手は守備的なプレイヤー。インサイドハーフに使うのか?と疑問を感じました。恐らく選手の配置変更が入るのだろうとも予想できました。
案の定、配置が変わります。で、この配置変更が面白い。佐藤和樹選手を左SBに入れるところまでは良いんですが、左SBの丸岡選手をなんと右のWGに移動させたのです。めちゃくちゃ驚きましたよ。左SBから右WGですよ。余程器用な選手じゃないとできませんよ。
このタスクを丸岡選手は完璧にこなしていました。高い位置を取る右SBの國分選手と共に左WGの高見選手と全く遜色ないプレーを見せていました。これには脱帽です。丸岡選手も中口監督もお見事。元々左サイドのプレイヤーである丸岡選手のマルチなタレントを垣間見ました。思い切った起用を見せる中口監督も素晴らしい。
ちなみに、この丸岡選手、C大阪やドルトムントでプレーしていた丸岡満選手の弟さんなんだとか。大卒1年目のルーキー、将来が楽しみですね。
さて、試合のほうに戻りましょう。前半は高見選手の2アシストから八戸2点リードで折り返します。特に2点目の細かくかつダイナミックなパスワークは惚れ惚れするものがありました。スペインサッカーっぽさを感じさせる要因はここにもあったのです。
ところが、後半は一変します。流れを変えたのは八戸・國領選手の退場。中盤の底に入っていた國領選手が抜け、数的不利になったことで流れは一気に岩手に傾きました。
八戸はインサイドハーフと両WGを一列下げ、4-4-1、もしくは5-3-1でブロックを作って引いて守る形になりました。当然、岩手は怒涛の攻めを見せます。
でも、ちょっと待ってください。この試合を見てたそこのあなた。そう、あなたですよ。岩手に得点の気配しましたか? 残念ながら私は感じることができませんでした。
八戸は元々守備から入るチームです。だから、引いて守る形には高い信頼性がありました。実際、守っている選手たちは自信を持って守れているように見えました。
ただ、それ以上に岩手が良くないのです。恐らく秋田監督は組織的なものを落とし込むのが激烈に下手なのでしょう。そのためチームがバラバラのように見えるのです。
だから、守備も軽い。攻撃でも最後の部分が個々の選手に委ねられてしまっているので崩し切ることができない。とても数的有利とは思えない形で試合終了の笛を聞くことになりました。
岩手にもキラリと光る部分はありました。例えば、前半。八戸がワイドにポジションを取る分、個々人の距離感は開きます。そこで前線の選手がDFの間でボールを受ける動きは頻繁に見せていました。ただ、そこから先がない。非常にもったいないです。
1失点目もそうです。簡単に新井山にスペースを与えすぎです。DF陣が声をかけ合っていれば防げたミスかもしれません。
とにかく、岩手は組織的な戦い方が全く落とし込まれていません。これではどんなに素晴らしい選手が集まっても結果はついてきませんよ。チームがバラバラなんですから。もう少し長い目で見てあげる必要はありますが、タイムリミットは前半戦終了まで、なのかもしれません。個人的な予想ですが。
MOMは2アシストの高見選手を選びました。前線で献身的な動きを繰り返していた安藤選手、複数ポジションで光るものを見せた丸岡選手、アップダウンを繰り返し続けた國分選手も高評価です。

4.アタッキングサードが迫力満点のグリーンダービー

J3第2節
ガイナーレ鳥取2ー3FC岐阜
MOM:川西翔太(岐阜)
いやー、やっと勝てましたね。岐阜ちゃんの勝利を見るの、めちゃくちゃ久しぶりな気がします。
今週末は水戸様もノリッジもクソみたいな(おい)負け方をしたので最後の最後に岐阜ちゃんが勝ってくれてめちゃくちゃ嬉しいです。この後、マンCがクソみたいな負け方するけどそれは無かったことにする。
この試合、鳥取は3バック、岐阜は4バックで挑みました。システムにズレが生じる形になりますね。
序盤から見てて思ったのは、岐阜ってオーソドックスにサイドを使うタイプの4-4-2なんですよね。そうなってくると、鳥取の5バックを攻略するの、ちょっと苦労しそうだな、と。
なぜかと言うと数的有利が取れないからです。普通に構えた状態でマッチアップした場合、鳥取は5バックですから最終ラインに5人います。岐阜は4-4-2ですから両SMFが上がったとしても前線は4枚。片方のSBが上がっても5枚なんです。数的有利が作れないんですね。
両SBを押し上げる超攻撃的な戦法もありますが、リスクが高すぎるので普通はやりません。少なくとも岐阜はそうしない。となると、鳥取のボランチが落ちたりしたら最終ラインに6枚ですから、まず数的有利を取ることってできないんですよ。
じゃあ、どう攻略するか。カウンターです。この日の岐阜はカウンターが1つのカギになると見ていました。
鳥取の両WBは攻撃時に高い位置をとります。すると、3バックの脇のスペースが空く。ボールを奪って素早くこのスペースを突ければチャンスになりそうだ。そんな風に見ていました。実際、ゼムノビッチ監督もカウンターをチームに求めていたそうです。
はてさて、岐阜の先制点はそのカウンターからでした。裏のスペースに抜けた富樫がGK田尻のクリアミスもあってネットを揺らします。まさにこれこそ狙っていた形です。鳥取のラインが高いこともあり、裏のスペースへのロングボールが効きました。
2点目は5バックの大外のスペースに入り込んだ粟飯原へのロングボールを直接頭で叩き込んだものです。これはお見事としか言いようがないでしょう。鳥取はどうしようもないです。
鳥取のもったいなかったところはボールロストの多さでした。アタッキングサードの質は非常に高いものを感じました。崩しの質は素晴らしい。得点には繋がりませんでしたが良い崩しを見せていました。
ただ、高い位置でのボールロストからカウンターを招く場面が散見されました。本当にもったいないです。でも、これさえ改善できればもっと怖いチームになると思います。
そんな中でしたが、鳥取も意地を見せて追いつきます。前半ATの得点、そして後半に入り58分の同点弾。どちらもPA内の混戦からでしたが、坂井選手がお見事でした。1点目では空いたスペースに顔を覗かせ、2点目は粘り勝ち。岐阜のDF陣も頑張っていたんですがもったいない。強いて言うなら、2点目はクロスが入った時に中にギャップを作ってしまったのが痛かったですね。
こうなると流れは一気に鳥取に傾きますが、しかし岐阜には1人で流れを変えられる男がいます。川西翔太です。63分、川西の豪快なゴールが決まり、これが決勝点となります。
この場面、左サイドで鳥取の選手が4人くらい引きつけられてました。こうなると、流石に5バックといえども中が空いてしまいます。ただ岐阜の選手も3人くらい同サイドで絡んでいたので上手く中の選手を引っ張り出すことができたんでしょう。
ニアのスペースにいた川西がもらい、反転してDFを剥がしてシュート。決めるまでの一連の流れは本当にお見事でした。やっぱり川西がエースです。彼は10番にふさわしい。そう思わせるビューティフルゴールでした。
この後、鳥取はフェルナンジーニョ・ハモン・田口と攻撃のカードを次々と切ります。この後の攻防も見応え抜群で本当に素晴らしかったんですよ。フルタイムでの視聴をおすすめします。とにかくすごい面白いです。
結局、逃げ切った岐阜が今季初勝利を収めました。岐阜は反省点もありながら、ようやく攻撃が機能して手応えを掴めた一戦ではないでしょうか。鳥取も攻撃でかなり迫力を持って戦えてましたし、崩しの質も素晴らしかったので、下を向く必要はないと思います。
この両チームの攻め手やアタッキングサードでのやり取りは他のチームでも是非参考にしてほしいですね。そのぐらい素晴らしいものがありました。とにもかくにも、岐阜ちゃんが勝てて良かったです。安心して眠れました。

今節は以上となります。流石に4試合見て書くのは疲れますね。次は少し減らしましょう(笑)。
次回は7/8水曜日、J1第3節から1カードをピックアップしたいと思います。また次回も是非読んでくださ〜い。


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