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さつき@読む温泉
2021年3月2日 06:08
彼女は明るくやさしい。誰にでも。こんな地味な私にも。(もっと私としゃべって。笑顔ももっと。どこにも行かないで。他の人としゃべらないで──)蜘蛛の糸のような思い。ずっと自分のそばにいてほしいと願う。他の人をすべて排除したいという思い。これは嫉妬だ。友情ではなく。自分を恥じた。都会への大学進学を機に、引っ越しをすることに決めた。「行かないで」駅のホームで涙ぐむ彼女。「またね
2021年2月25日 05:54
母のタンスに、ウールのロングコートがある。真っ白で、ギャザーとリボンがついてる可愛いものだ。でも着たのを見たことがない。着ればいいのにとうながすと、綺麗すぎてもったいないと逃げる。それが数年続いた。今年、季節の衣替えでタンスの中身の入れ替えをする時、あのコートがないなと思ってたずねると、母は「処分した」と答えた。「どうして? 気に入ってたんでしょう」「……」実は一度着たという。それ