新卒就活の説明会でSES(準委任契約)かどうかを聞いても意味がない
はじめに
こんにちは。
来年春から元請けSIerのSEになるSatoです。
新卒就活生にとって、下流工程しか扱わない2次受け以下のSIer(いわゆる世間で言われているSES)は魅力に乏しいものです。本稿では、下流工程しか扱わないSIerかどうかを見抜くにあたって必要な知識をまとめています。
注意点
本記事では、準委任契約のことを「その業務の遂行が目的であり、結果や成果物の完成については責任を求められない」と記載しています。ですが、2020年の改正民法により、準委任契約の場合であっても成果が求められるケースが発生しています。詳細は下記条文をご確認ください。
定義の確認
SIer・請負契約とは
SIer(読み方:エスアイヤー)とは、System Integrator(システム・インテグレーター)のことを指します。システム・インテグレーターとは、システムの導入を検討している企業に対して、コンサルティング・企画・設計・開発・運用保守までを一気通貫で請け負う企業のことを指します。
請負契約とは、仕事の成果に対して報酬を支払うタイプの契約です。ですので、使い物にならないシステムが顧客にされてしまった場合は、原則として報酬は支払われません。請負契約の厳密な定義については、民法632条をご確認ください。
SES・準委任契約
SESとは、System Engineering Serviceの略で、システムの開発・テストに対してエンジニアを派遣するサービスのことです。
一般的なシステム開発では、コンサルティング・企画・設計・運用保守などのフェーズでは、エンジニアは少なくても何とかなるらしいです。一方で、開発・テストの段階だと、一時的に多くのエンジニアが必要とされるケースが多いです。SESは、臨時でエンジニアが必要になった企業(多くの場合、元請けSIer)に対して、エンジニアを派遣するサービスです。
SESで利用される契約形態が準委任契約です。準委任契約とは、業務委託契約の一種で、特定の業務を行うことを定めた契約です。あくまで、その業務の遂行が目的であり、結果や成果物の完成については責任を求められません。具体的には、医者との契約で用いられることが多いです。医者の場合ですと、診断を依頼しても病気の症状次第では完治不可な場合もありえます。このように必ずしも結果が出るとは限らない仕事において用いられるのが準委任契約です。
請負契約と準委任契約の使い分け
定義でも確認しましたが、請負契約と準委任契約の違いは以下の通りです。
その上での話ですが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、請負契約と準委任契約は以下の通りに使い分けることを推奨しています。
ご覧の通り、下流工程であるシステム開発(プログラミング・ソフトウェアテスト)などのフェーズでは、請負契約が推奨されています。これに鑑みるに、「請負契約だからSESじゃない!」と考えるのは早計ではないでしょうか?
なお、こちらの詳細につきましては、下記記事をご確認ください。
元請けと2次受け以下の見分け方
「じゃあ、どう見分けたら良いねん!」となると思うので、方法をお伝えいたします。大きく分けて4つあります。
「プライム案件」の定義を確認する
よく新卒説明会では、「我が社のプライム案件は〇%を超えています!」などと宣伝するケースが多いです。ですが、これは多くの場合、元請け・2次請けを合算した数であることもあるようです。ですので、「プライム案件」の定義を聞いておくと良いかもしれません。
*正直に回答してもらえるかどうかは不明ですが…。
取引先がどこか?
取引先の中に、SIer企業がある場合も2次請け・3次請けの可能性が高いです。例えば、NTTデータやSCSKなどの会社名が書かれていたらほぼ黒と見て間違いないでしょう。
ですが、この方法も浸透しつつあるので、企業側はSIer企業の取引先として明示しないケースがあるかもしれません…。
どういったキャリアプランを歩まれる方が多いか
技術寄りのキャリアを歩まれる方が多い or 会社が技術寄りのキャリアを推奨している場合も、2次請け以下の可能性があります。ただし、技術にも強いマネジメント層の育成を考えている元請けも同様のことを考えているケースがあります。なので、この1点だけで2次請け以下であることを断定するのは困難だと思います。
同業他社のOBOGからヒアリングを行う
この方法が確実だと思います。他社に関する評価であれば、OBOGもある程度は本音で話をしてくれます。
最後に
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