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今夜も死後硬直|その3【すっとこどっこい】

今回の死語は「すっとこどっこい」です。
「この、すっとこどっこいがあ!」っていうアレですね。

言われた方は、なにやら責められているのはわかるのですが、
自分のどこが「すっとこ」でどこが「どっこい」なのか
よくわからないものです。

と、何気なく書きましたが、
これはホントに「すっとこ」と「どっこい」を
プラスしたコトバなのでしょうか?
ひょっとして「すっとこど」「こい」なのでは・・・
「すっとこ度」が「濃い」。
うん。ようやく見えてきました。
これなら責められているわけも、なんとなくわかります。
自分はこの「すっとこ度」が人より高かったんですね。

さあ、問題はこの「すっとこ」です。

平安期、朝廷には帝に仕える要職として、
「ひょっとこ」「やっとこ」「すっとこ」の三職がありました。
まあ、要職と言っても、まつりごとに直接かかわると
いうわけではなく、いわば帝を楽しませるための、
今でいうコメディアン的な存在であったと考えられています。

「ひょっとこ」は、現代で言うところの「ボケ」です。
容姿そのものにおどけたところがあり、
(まあ、ぶさいくだったわけですね)
存在そのもので笑わせます。
この顔はその後もお面などにそのカタチを残していますから、
みなさんもよくご存知だと思います。

「やっとこ」は「ツッコミ」ですね。
その鋭いツッコミは、まるで優れたボクサーの繰り出す
パンチのようであった。と言われています。
これは現代に「♪やっとこやっとこ繰り出した~」
という歌にとして歌い継がれています。

そして問題の「すっとこ」ですが、
この役割はあまりハッキリしていません。
トリオ漫才の宿命ですね。
古いところではレツゴー3匹の長作、コント赤信号の小宮。
シティボーイズの斎木しげる。B21スペシャルのMr.ちん
新しいところ・・・は、ちょっと思いつきませんが、
そういう、なかなか思い出せないような存在でした。

いる・・のはいいんだけれど、いなくても、まあいい。
そんな扱いに、ある日すっとこは我慢できなくなったのです。
おとなしく温泉番組のレポーターとかを
やっていればよかったものを、ある日高座で、
(高座:あのカラフルなヘリのついた畳の上ですね。
 百人一首でよく見るヤツ)

ある日高座で「ひょっとこ」が言うはずのオチを言ってしまった。
怒った帝が「それはおまえのすることではない」と言って
(すること)→(するとこ)→(すっとこ)
となったという・・・

それでもしらんぷりをしていたすっとこから、
「すっとぼける」というコトバも今に残っています。
・・・ふう

う~ん。死語硬直・・・

ではまたの機会に

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