──日記とは、人が持つ人生そのものである。 赤木 結子はごく普通の社会人だ。日々の仕事に疲れ、毎晩のビールを楽しみにしているだけのただの一般人。好物はイカの塩…
身の毛もよだつ恐ろしい怪異。 引き返すなら今のうち。 後ろを振り返ると、奇妙な文字の看板がこちらを向いていて、彼とボクは森を抜けた。 「さ、ここからは一本道…
里見 瞭
2023年10月21日 02:03
──日記とは、人が持つ人生そのものである。 赤木 結子はごく普通の社会人だ。日々の仕事に疲れ、毎晩のビールを楽しみにしているだけのただの一般人。好物はイカの塩辛で、趣味は日記を書くこと。変わったところと言えば、少しだけ霊感が備わっていることくらいである。 結子が持つ霊感とは、心霊番組や掲示板で語られるほどの大仰なものではない。人とは違うものが見えることもなければ、それにまつわる怖い体験をした
2023年7月1日 21:13
身の毛もよだつ恐ろしい怪異。 引き返すなら今のうち。 後ろを振り返ると、奇妙な文字の看板がこちらを向いていて、彼とボクは森を抜けた。「さ、ここからは一本道だ。しかし、あの図書館にお客さんが来るのは本当に久しぶりだったよ。私も長くあの図書館にいるが、君みたいに若い子が来るのは珍しいね」 青年の彼は嬉しそうに笑う。 今から数時間前、ボクは背後に広がる森の中で図書館を見つけた。 その図書館