【ホラー小説】日記と私と夢うつつ
──日記とは、人が持つ人生そのものである。
赤木 結子はごく普通の社会人だ。日々の仕事に疲れ、毎晩のビールを楽しみにしているだけのただの一般人。好物はイカの塩辛で、趣味は日記を書くこと。変わったところと言えば、少しだけ霊感が備わっていることくらいである。
結子が持つ霊感とは、心霊番組や掲示板で語られるほどの大仰なものではない。人とは違うものが見えることもなければ、それにまつわる怖い体験をしたこともない。
「霊感があるなんて言っても特別なことは何もないですよ。気圧が低くな