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PR手法から学ぶデザインの着想

先日、いいオフィスにて開催された「博報堂ケトル出身のPRディレクターが教える「クリエイティブPR」とは何か?」に参加してきました。
スピーカーは神谷製作所代表の、神谷準一氏。

PRとはなんぞや?からの事例紹介、独自の思考など丁寧なセミナーでしたがデザイナーとしてもアイディアやデザインに着想に役立ちそうな内容でもあったので、まとめてみようと思います。
※主に進行をなぞったメモから記事にしていくので部分的に若干事実とのずれが生じたりする可能性があります…機会があれば皆さんぜひ神谷さんのセミナーへ

今回の対象読者としておすすめなのは、

・プロモーションが絡んだクリエイティブを担当するデザイナー
・LP、バナーの制作を行ってるデザイナー
・コンセプトに軸をおいてアイディアを出したいデザイナー
・キーヴィジュアルデザインのアイディアを広げたいデザイナー
・コピー、ワーディングも任されたデザイナー

の方々といったところでしょうか…?

まず、PRとは?

PR = Public Relations

会社の存続や繁栄のための情報を届けることをPRといいます。
また、たとえば仮想通貨取引所の○社が金融庁に働きかけ、法律を動かしていこうとする取り組みなどPRの一貫とも言えます。

PRを行うというのは、「ニュースになる情報を持ち込んで届ける」「情報のフレッシュさ、価値を届ける」仕事、ということだそうです。

この日のお題「クリエイティブPR」事例紹介

この日いくつか事例の紹介をしていただきました。本記事の大筋とはそれますが、せっかくなのでメモからご紹介します。

クリエイティブPR事例:本屋大賞

登壇された神谷氏が博報堂に在籍しているときに手がけた企画。「ベストセラーを生んでほしい」という要望のもと。

○○賞、✗✗賞を獲っても売れなかった事実。一方、売れてる本とは?を探ると、「街のカリスマ書店員のおすすめ」などというPOPが立てられる本が爆発的に売れているという現状が見えてきます。
本が売れるために働きかけるべきは、この「街の書店員」の方々でした。そこで「本屋大賞」と称したアワードを設けることで、現在のような盛況につながっています。

クリエイティブPR事例: Cartier スタジオ アミュレット

カルティエといえば若者というより、少々年齢層の高いイメージ。それを払拭して20代の方にも買ってもらおうよ!と新しいアプローチをした企画が「スタジオアミュレット」だそうですが、インフルエンサーとなるタレントを起用し、SNSでの話題を作ることでYahoo!ニューストップへ掲載されるという道筋を予測してのキャンペーンでした。

感度の高いインスタグラマーの方を招待したイベントも開催されたそうですが、インフルエンサーであるその方々のインサイトを探り、働きかけることで「デジタルの時代だからこそ、形になるものに魅力がある」ということがわかり、後の物販への展開にもつながったそう。

真木よう子さんをキャスティングしたのもターゲット層を広げる施策の布石だったそう。「未知なる世界へ旅に出たい」という意味深(?)な投稿内容もドカーンと話題を読んだようですね。この計算された感じ、すごい…面白い…

情報の価値を引き出すためのポイント。
クリエイティブPRに大事な(クリエイティブに大事な)3つの「セイ」

素晴らしい事例ばかりで前置きが長くなりましたが、ここからがデザイナーの方にも役立つと思われる話でした。

事例のようなPRを行うには、3つの「セイ」がキモになります。

・What you say?(何を言うか)※A
・How to say?(どのようにして言うか)※A
・ニュース性 ※B

※A:広告制作の基本 ※B:PRのフック

個人的には、これが知れたことがグッと来ました。
僕は、生み出したデザインが売れるためには、デザイナー1人では決して成り立たないと考えています。対象物が火種であれば、その着火役とも言えるPRを熟知している方が「情報の価値を引き出すための3ポイント」を挙げているのであれば、デザイナーが参考にしない手はありません。

そもそもどのクリエイティブにおいても価値のあるであろう情報を届けて反応を得たいものだと考えれば「PRである」とも言えるでしょう。そこに関わる方とシナジーを起こし続け、最大限の効果を狙いたいのであれば、デザインのポイントはここであるとも考えることができるのではないでしょうか。

この3つの「セイ」を、ガリガリ君値上げのPRを事例に、デザインにおいてどのように解釈するか?を考えていきます。

1.クリエイティブに大事な「What you say?」

「何を言うか?」ということになります。事例の場合は

What you say?:「値上げ」

つまり、
「最も伝えたいことを隠さないクリエイティブであることが前提となる」と解釈できるでしょう。

さらに言うと、デザイナーとしては「最も伝えたいことを理解する、理解しようとする」「隠す/隠喩する必要があるのか?を問う」べきであるとも考えることができます。ほか関係者の方はそれを伝える義務があるとも言えますね。

2.クリエイティブに大事な「How to say?」

「どのように伝えるか?」ということになります。事例の場合だと

How to say?:「社員総出」

社員の方が総出でこのニュースに対し謝罪するCMである、という方法だということです。

デザインに置き換えるのであれば「数値でアピール / コピーライティングでアピール」「エモーショナルな表現 / リアルなシーンの写真を使う」など、持ちうる手札でどのように攻めるかを考慮すべきであるでしょう。

ここまでの2項目が「広告の基礎」だそうです。
なるほど、いろいろな思考法があると思いますが、この2点が軸だな、友感じます。

3.クリエイティブに大事な「ニュース性」

この「ニュース性」は神谷製作所においては数十種類定義されているらしく、どのようなニュース性があるかどうかで、広告の効果や種類を分類する指標として用いるそうです。

「ニュース性」の種類
・歴史性(○周年記念)
・新規性(○○新登場)
・時事性(今流行の○○、秋といえば○○)
・共有性(○○に参加できる)
・唯一性(世界最高の○○)
・ローカル性(地元○○で〜、ロサンゼルスで〜、秋田で〜)
・意外性(意外な○○に挑戦)
・社会性 / 公共性(○○税UP〜、○○の日に〜)
・突発性(○○分完売、○○が急接近)
・希少性(○○限定)
etc…

ちなみに優れたPRはこの中で3つ以上の「セイ」当てはまっている場合が多いとのこと。

事例の場合だと

ニュース性:キャストに社長が居ることによる、「緊急性」、「意外性」etc…

企業の不祥事などの会見の場合、社長が出てくるというのは相当な大事であるという判断ができます。視聴者側からは直接理解しがたいかもしれませんが、「社員が値上げについて謝る」→「社長も出て、社員総出」ということがこのPRの面白さであると同時にキモであると言えます。

デザインにおいては、与えられた情報から「どのニュース性があるか」を読み取って構築できるか?または「どのニュース性を優先してアウトプットするか」が重要であると考えることができます。

まとめ

以上、PRにおいて3つの「セイ」からデザイン着想に活かす思考をまとめました。この3つの「セイ」を並び替えるのであれば

1.What you say?(何を言うか)
2.ニュース性 ( 3 )
3.How to say?(どのようにして言うか)( 2 )

でしょうか。2⇔3はフレキシブルに置き換えて考えられそうですね。

基礎的なことに帰結しましたが、いかにそれが大事であるかを実感しますね。収益をあげるためのチーム、真実を伝達するためのデザイナーであるために役立ちそうなセミナーでした。


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