マガジンのカバー画像

10
運営しているクリエイター

#海外文学のススメ

英文学とラノベの融合【読書感想文】ジャスパー・フォード『文学刑事サ-ズデイ・ネクスト (1)ジェイン・エアを探せ!』(2005)

英文学とラノベの融合【読書感想文】ジャスパー・フォード『文学刑事サ-ズデイ・ネクスト (1)ジェイン・エアを探せ!』(2005)

初回は20年以上前、訳本を読んで強く印象に残っていたが、今回は Jane Eyre を読んだのをきっかけに、満を持して原書で読んでみた。

内容はほとんど忘れてしまっていたが、まごうかたなき傑作だった。

舞台は、第一次大戦も第二次大戦も起きておらず、クリミア戦争(史実では1853-1856)が今も延々と続き、ウェールズが独立し、飛行線が空を飛び、シェイクスピア劇を本当は誰が書いたのかが人々の最大

もっとみる
年末大そうじ【読書感想文】ソン・ウォンピョン『三十の反撃』

年末大そうじ【読書感想文】ソン・ウォンピョン『三十の反撃』

ふと「クリスマスケーキ」という言葉を思い出した。

知らない方のために簡単に説明すると、二十五を越えると売れ残り、という意味だ。「オールドミス」なんて言葉もあった。最後に耳にしたのは、それこそ四半世紀ほど前のことだろうか。

しかし今や三十にもなって、まだ結婚もしてないどころか、どんな大人になりたいだとか、自分探しだとか、他の人と違う自分らしさとは何か、などと言ってるわけである。

クリスマスどこ

もっとみる
【本の話】SFの正しい装丁について

【本の話】SFの正しい装丁について

いまさらだけど、ハヤカワ文庫のフィリップ・K・ディックの装丁って、かっこいいよね。

私が昔読んだ『マイノリティ・リポート』って、こんなんだったなあ。これはこれで味わい深いんだけど。

それに引き換え、ロバート・A・ハインラインの原書は、いまこんな事になってる。

『月は無慈悲な夜の女王』

『異星の客』

『宇宙の戦士』

これはダメでしょう。これじゃイメージ湧かんよ。

もしかしてあちらではイ

もっとみる